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「そしてセカンドへ」全曲解説

セルフライナーノーツみたいな、楽曲解説みたいなのを書きます。全部自分で曲も作ってるし歌詞も書いてるので、曲だけで伝えられるの が理想、というのは重々承知しているのですが、まぁそうもいかないじゃないのさ。俺は長々説明くさく自分の作ったものの素晴らしさを 喋って、誰からも無視されている先輩 in 深夜3時の居酒屋が好きだったし。こういう文章を書いて誰かが読んでくれることによってもっと もっとさよならミオちゃんの曲なり僕たちのことを好きになってくれたらいいな、という気持ちで書きます。 


1.和らぎ水もないこんな部屋で

アルバムの1曲目を飾る曲です。アルバムの1曲目は短い曲が良かった。俺の好きなアルバムが大体そうなので。和らぎ水と言うの は日本酒などを飲む際に、酔っ払いすぎない様に飲む水、のことらしい。チェイサーだ。
その言葉を知った日は、京都の友達の家で何人もで泥の様に飲み、朝起きたらみんな床に倒れ込んでいた。テーブルにはストロング缶やら飲みかけの麦焼酎やらが乱雑に並んでいて、頭は割れるように痛かった。ただ前日の夜は酸欠になるくらい全員で笑って、何で笑ったのかも覚えていない何気ない日だったが、なぜかずっと記憶に残る日だった。札幌に帰ってきて、また一人で麦焼酎を飲み、4時と5時の間に、京都の思い出と共にこの曲を作った。 

2.マンジュリカ 

2分20秒のシンプルなパンク。2分20秒というのはTwitterに載せれる動画時間の限界なので、この曲はTwitterでフルに消費することもできる。それくらいのシンプルな曲が作りたかった。コードも4つくらいしか使ってないし。スタジオで1回合わせたくらいでライブでやり始めたが、自分でもとても好きな曲になっている。ご時世が終わったら全員でサビを叫びたい、そんな曲。 

3.僕の苛立ちは精子と共に君の中へ消えてった

「愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない」くらい長いタイトルの曲。Bメロのm7-5から始まり、半音ずつコードが下がっていく進行が我ながら好きすぎる。1:09~くらいの「フオオオオオオ↑」みたいな叫び、レコーディング中に全員で爆笑しながら録った。未だにそこで笑うので聴いて欲しい。なんかゆったすが某バンドのフレーズをサンプリングして弾いたりしてるので、そこら辺も分かった人は不敵に微笑んでください。

4.ボクキミ合唱曲

このアルバムの中で一番古い曲、っていうか19歳の時に、俺が人生で2番目に作った曲。19歳という大人というには子供すぎるし、子供と言うには大人すぎる微妙な年齢の時に「何者ナンダカ」というバンドを組んで、その時にVo.のヤハタくんに「日野くんもなんか曲作ってよ!」と言われて作った曲。この発言がなかったら、俺は曲を作ることもなく、このアルバムの9曲も生まれていない、と思う。コード進行もとてもシンプルだし、歌詞もストレートすぎるくらいストレートだが、10年前に作ったこの曲を今も色んな人の前で歌えることを幸せに思っている。

5.童貞に戻りたい

童貞ソー・ヤング、ドーテー島などの童貞ソングはこの世に数あれど、童貞に“戻りたい”と言っている曲はこの曲だけなのではないかと自己讃美。もうあの頃みたいな頭爆発するくらいのリビドーに苛まれる事も無くなったが、あの頃の気持ちはLike a 伊集院光深夜の馬鹿力よろしく、尊いものである。「童貞」というのは男も女も、全員心に抱えている奴はずっと抱えていて、一生抱えないまま生きている人もいるけど、俺は抱えている人が男女問わず人として大好きだし、この曲がそういう人に響けばいいなと思っている。

6.濃厚接触 令和版

まさにコロナ渦に作った曲。全ての日常が変わってしまったし、そんな時でも会いたい人には会いたいし、会える訳もなく、未だ見ぬあの娘に会うために妄想だけで作った。サビの最初はクリシェ進行、超好き。俺はコード進行で白米が食えるくらいコード進行が気持ちいい曲が好き。久松のサビのコーラスが最高なのでそこを沢山聴いてほしい。ラスサビで半音上げるよくあるやつ、さよならミオちゃんでこの曲で初めてやったので、出来て嬉しい…。ラスサビで半音上げる曲マニアなので…。これもこんなご時世が終わったら、全員で叫んで歌って踊りたい、ライブハウスで!

7.もうビールじゃ酔っ払えないし

「1分くらいのシンプルな曲が作りたいンゴねぇ…」という気持ちで、マジで10分くらいで最初から最後まで作った。2番Aメロに出てくる「主人公にはなれなくてもネッドくらいになれたらいいのにな」という歌詞、超お気に入りで、ネッドというのはスパイダーマンに出てくる主人公の親友。でもやっぱ主人公になりたい人生だ、自分の人生くらいは!サビ裏のギターのフレーズがBUMPの天体観測くらいハーモニーが良くて超良いのでそういう所まで聴いてほしい。俺は本当にビールで酔っ払うことがないのだが、俺がビールを飲んで酔っ払っていたら本当に楽しい人と楽しい時間を過ごしている時なので、そういう俺を見たら「こいつ、今超楽しいんだな…」と思って笑ってください。

8.台灣公園

僕たちは元々女の子がいる5人組バンドで、諸々ありその女が抜け、色々な事が上手くいかなくなった時期があり。それまで割と順調に進んでいた全ての梯子を外された様な気分になり、人生で初めて「死にたい」と思った。昼夜逆転して、夜は寝れずSNSを見る位しかやることがなく、偶々その時俺らを好きだったお客さんもよく朝4時に「死にたい」と呟いていた。その後に「さよミオ聴いたら元気出るし明日も生きてみる」って呟いてくれて、そんな事で、俺の「死にたい」という気持ちはどこかに消えた。俺が何か思ったことで誰かの陰鬱な感情が少しでも緩和されるなら、それがバンドをやってる意味なのかも知れないと思った日、昼夜逆転は治らず、朝までこの曲のデモを作った。スタジオに持って行った時、Dr.の太朗くんが「日野くん、大人になったね」と言ってくれたのがなんか小っ恥ずかしくもあり、でも嬉しくて、未だに覚えている。 この曲はたみちゃん(ポテトそれがし)という大天才にコーラスをしてもらっている、たみちゃんの声が入るととっても曲に深みが出て、自分でも何回も何回も聴いている曲。

9.りめんばみ

今まで人生で何曲作ったか分からんが、この曲は俺が酔っ払って一人で家まで帰る時に何気なく口ずさんでしまうくらい、自分が作った曲なのに誰かが作った様な気もするくらい、大好きな曲。demo版をTwitterに上げたら自分でもびっくりするくらい反響が来て、今まで俺たちを知らなかった人にも届いて、自分の自分による自分のための曲が、誰かの曲になる瞬間が本当に嬉しかった。イントロにはそのdemoの、偶然録れたギターのハウリングをそのまま使っている。絶対あの時、あの場所じゃないと録れなかったであろう音。
この曲もたみちゃん(大天才)にコーラスをしてもらっているし、サビは15個声を重ねている(?)本当に大好きな曲なので、あなたの大好きな曲になったら本当に嬉しい。あなたよ、もっと愛してくれ!


という訳で、ありがとうございました、こんなに長々と文章を。俺はこのアルバムが大好きだ、ファーストをこの内容で出せてよかった、青春パンクというには青くないし、邦ロックという程にはキレイじゃないし、「さよならミオちゃんのファースト」として完璧なアルバムが出せたと思います。沢山聴いてほしい、あなたの心の名盤になりますように。

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