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清く正しくいやらしく。

貴女は人生で泥水啜って生きてきたわりに楚々として見えるからね。騙されてんだよ、そのMさんも元彼も。

酷い言われように大笑いをした。

泥中の蓮ってこと?いやだ照れちゃう、と嘯いたら、その人は、そーゆうとこだよ、と嘆息した。


ドメーヌ・ヴァンサン・ドーヴィサ

仰々しい名前のシャブリを一緒に飲めるようになったんだな、と思う。
この人も、同じくらいお酒を飲んでくれる。たぶん、私よりずっと強いのに。


私がワインより泥水を啜っていた頃(笑)から、この人はそばにいた。

私の境遇を私よりよほど真摯に受け止め傷ついて怒ってくれた。
何も出来なくてごめん、と泣きそうに俯いたことが本当に不思議で、優しい人はすぐに傷付くから出来るだけ距離を取ろうと思った気がする。上手く出来なかったのは見ての通りだけど。

私がどんなに最低なことをしても、否定も肯定もせず、一定の距離を守って、そばにいた。

私は、その距離がとても好きだった。
掠めもしないから、手に入らない。手に入らないから失くしも壊しもしない。こんな安全で安心な人は他にいない。

1度も寝なかった。手すら握ったことがない。
こんなに好きなのに、とお互いに笑い合う。


きっと、この人が、言うわけないけど、
それでも、この人が私に向けて「助けて欲しい」なんて言おうものなら地球の反対側にいたって最短で駆けつけると思う。

夫が死んだ時、1番に駆けつけてくれたもの。
泣く私を抱きしめることもなくそばにいた。その後、駆けつけた義母が蒼白な顔で私を抱きしめるまで、この人はただ居てくれた。


来世があるなら出会いたくないね、なんて私たちは言う。もう十分よねぇ。


この人は、騙されてくれないから私の手には負えないしね。

劣情を抱えたままの片思いも一生に1回なら悪くない。


また飲もうね、とか
近いうちに、とか

そんな言葉は別れ際にも交わさないけれど、今夜も楽しかったよ。

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ぐぐこ
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