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パレスチナ*イスラエル①ウエストバンクに侵攻

こんばんは、さっかです。

時々風がまだ唸り雨も降るけれど、少し涼しさを感じ始めた部屋からお伝えします。シャンシャン台風(台風10号)は居座り続けて風と雨が数日続き、低気圧のせいか妙に疲れましたが、明日には晴れ間も覗くかなと期待しています。

ところで、ずっと、イスラエルのパレスチナ攻撃のニュースを伝えたいと思っていました。でも、どんどん状況が移り変わり、世界の情勢も変わってゆき、どこから何をどう伝えたら良いのかわからなくなり、そのままになっていました。

けれど、一つだけはっきりしているのは、ガザからの報告が日本ではほとんど上がっていない、と言うことです。さまざまな理由が考えられますが、日本は国としも、そして、わたしたちにも実は密接に関係しているし、知りたい人もいるのではないかと思うので、書くことにしました。

とりあえず、知っていること全部は到底無理でも、できる範囲で伝えてゆこうと思います。まず、ざっと全体の状況説明をして、至近のニュースから伝えて行きたいと思います。

パレスチナとイスラエル

皆さんのほとんどが知っていると思いますが、イスラエル軍はガザ区のハマスを駆逐し全滅させることを目標に、昨年10月からガザ区を攻撃をしてきています。ハマスが、イスラエルにゲリラ攻撃をしたことに対する復讐と、ハマス軍が捕えた人質を返してもらう、と言うのが、イスラエル側の言い分いいぶんです。

ガザ自治区とウエストバンクと呼ばれる二つのエリアに、パレスチナ人の多くが住んでいます。どちらも、イスラエルの中にあります。自治区、と言っても馴染みのない人も多いかもしれません。一番身近で言うと、例えば、韓国にチェジュ島と言う島がありますが、チェジュ島は韓国(大韓民国)の中の自治区です。それから、チベットは以前は独立した王国でしたが、中国の軍事侵攻により中華人民共和国の一部になりました。知っている人もいるかもしれませんが、当時ダライ·ラマ14世がチベットからインドに亡命しましたが、チベットの多くの僧侶や尼僧が中国軍に殺されています。今は中国の自治区です。

イスラエルは、もともとパレスチナ人たちが住んでいた場所にユダヤ人たちが侵攻してゆき、そこを自分たちの領土としました。第二次世界大戦すぐ後の1948年のことです。建国のために、パレスチナ人の大虐殺を行なっています。パレスチナの人々は、その時の大虐殺のことをNakbaと呼んでいます。アメリカ合衆国も、ヨーロッパの人たちが、もともと住んでいたアメリカ原住民たちを大量殺人して200年以上前に建国しましたが、同じような感じです。

イスラエルは、基本的にユダヤ人の国です。ユダヤ人は、長い間、領土を持たない民であり、主にユーラシア大陸とアメリカ各地に住んでいます。自分たちの国、あるいは領土はなかったため、宗教と血統で繋がってきた人々です。非常に頭がよく、実は、日本人と共通点がある、とも言われています。特に、母親が息子を猫っ可愛がりするところはよく似ていると言われます。息子を甘やかす母親のことを、人種に関係なくアメリカでは「あの人はJewish mother だよね」と言ったりしますが、日本人の母親は、ユダヤの母親みたいだということです。

ユダヤ人といえば特に有名なのが、第二次世界大戦でドイツのナチス軍によって大量虐殺された話し。日本でも「アンネの日記」という本が知られてると思います。まだ10代の女の子の日記で、どんなふうに、ナチス軍に追われながら生活していたかが伺える本です。彼女も、ナチスに虐殺されています。大戦中に約600万人のユダヤ人が殺されたと言われています。

人間は、人種や宗教の違いで殺しあったり、一方的に大虐殺することがあります。

今回も同じ。

ユダヤ人もパレスチナ人も遺伝子的には同類の民で、先祖は同じだろうと言われていますが、パレスチナ人は中近東の土着の人々で、ユダヤ人は元は中近東の人たちでも、ずっと欧米を中心とした世界各地で暮らしてきた人々。そして、パレスチナ人はイスラム教で、イスラエル人はユダヤ教。宗教が違います。

そもそも、1948年に、それまでずっと何千年もパレスチナの人々が住んでいたところにどうしてイスラエルが建国されたか···簡単に言えば、欧米、特にアメリカとユダヤの人たちの利害が一致して、パレスチナ人を追い払ったり殺したりして作ったのがイスラエル、と言うのが、わたしがアメリカの大学で教わったことです。

イスラエルは、建国当時から莫大な支援を金銭面や軍事面などでアメリカから受けてきています。そして今も、膨大な軍事支援をアメリカはイスラエルにしており、つい最近も(数週間前)バイデン政権は、日本円にして約130億円相当のパレスチナ攻撃の軍事支援をイスラエルに送ることに合意しています。

ものすごく簡単に言えば、アメリカの支援のもとにできたイスラエルが、自国内の原住民自治区ガザ区を攻撃していて、今もアメリカはイスラエルの支援をしている、と言うことです。

ハマスとは?ガザとは?

「ハマス」という言葉をよく聞くと思います。

ハマスは、アラブ語の Ḥarakat al-Muqāwamah al-ʾIslāmiyyahの略語でHAMAS。英語で言うとIslamic Resistance Movement。日本語だと、イスラム抵抗勢力。

イスラム教の主勢力であるスンニ派イスラム教徒のパレスチナ人が作った、イスラエルへの抵抗勢力のことです。そしてハマスは、2007年からガザ地区を治めている政党でもあります。

下の図にもあるように、エジブトに隣接したガザ地区は、地中海に面している小さなエリアです。パレスチナの都市部で、人口密度は世界でもトップレベルに高いところ。前にもどこかで書いたような気がしますが、平均年齢はなんと18歳。今回の戦争(内紛と呼ぶのが正しいんじゃないかとわたしはずっと思ってるけど。同じ国内の戦争だから)が始まった当時、約5万人の妊婦がいたそうです。わたしの住む町の3倍近くの人数です。過疎地域で超少子高齢化のこの町に、妊婦はほとんどいないと思いますけど··。

個人的に言えば、わたしの住む町とは全然環境も条件も全く違うところが、ガザ区。

イスラエルの中にあるパレスチナ人居住区のガザ自治区とウエストバンク。茶色がパレスチナ人統括地区、ベージュがイスラエルとパレスチナ共同統括地区、ブルーがイスラエル統括地区。ガザは完全にパレスチナの統括下でハマスが政治を行ってきている。
しかし2023年10月以降、ガザは一部イスラエル軍事統括となっている、と注意書きがある

上にも書いたように、ガザ区はイスラエルの国の中の自治区で、政治的に治めているのはハマス。ハマスには独自の軍事グループもあり、そのグループが今回イスラエルをゲリラ攻撃しました。

2023年10月7日のことでした。突然のゲリラ攻撃だったと言われていますが、ハマス軍は1,139人を殺し、250人のイスラエル民間人と軍人を拉致し、人質にしています。それに対して、すぐにイスラエル政府は即刻復讐攻撃を始め、今日まで10ヶ月以上攻撃を続けています。もう少しで11ヶ月になります。

パレスチナ保健局の発表では(8月30日現在)この11ヶ月弱の間に40,600人が死亡、9万4000人が負傷。その多くが女性と子供で、この数字よりずっと多くの人々が死亡し怪我をしているだろうと言われています。瓦礫の下に埋もれたままの人もいるし、病院に行けておらず数えられていない怪我人も大勢いるからです。そして、200万人の人口の大多数が家を失っていると言われています。

また、イスラエルは合計7,000人以上のパレスチナ人を拘束しています。そのほとんどが罪状のない人たち、要するに罪のない人たちで、多くが女性や18歳以下の子供達だったそうです。(今は、大人も多く入れられている様子)そもそもハマスがイスラエルを攻撃した理由の一つが、イスラエルに拘束された人々の解放を求めていた、ということです。要するに、人質の解放を最初に求めたのはパレスチナだったのです。

最新ニュース、わたしの心を動かしたこと

ところが、ここからがイスラエルーパレスチナの最新ニュースですが、今回、イスラエル軍は、ウエストバンクにも攻撃をし始めました。けれど、ウエストバンクはハマスの統治下ではありません。

イスラエルは、ハマスに攻撃され、ハマスを撲滅するためにガザを攻撃してきたはずです。けれど、ハマスの統治下ではない、イスラエルの占領下にあるウエストバンクを攻撃し始めたのです。

これが、パレスチナーイスラエル問題のことを、もし日本の誰にも伝えなかったら、わたしもイスラエルとアメリカに加担したことになる、と思い、書き始めたきっかけです。

オリーブの生産でパレスチナ地域は昔から有名だそうですが、フランスの新聞 Le Mondeに、こんな記事がありました。(要訳しています)

後ろ姿の男性は、パレスチナ人Battir村の地元有力農民の一人。
代々大切に守ってきた土地が、オリーブ畑と葡萄畑が、ユネスコ遺産が、
破壊されてゆくことを憂いている。写真は、下のLe Mondeの記事から。
Photo by Lucien Lung

『ウェストバンクのBattirという村にはおよそ5000人のパレスチナ人が住んでいて、古代からずっとブドウやオリーブを育てて暮らしてきた。村人たちは、村の中心部にある泉を利用して、畑を耕し茄子、柘榴、きゅうりなども育てている。19世紀以降は、遠くの街まで農産物は売りに出されてきた。この村は、聖地エルサレムにも近く、聖地に果物を提供してきただけでなく、パレスチナ人たちにとっては、日々の喧騒と生活から逃れ、骨休めにゆく避暑地でもあった。

砂漠地帯の水辺で畑を耕し、石造りの白い独特な建築物を建て、文化を築いてきた彼ら。人類の素晴らしい暮らしの営みの叡智を表していると、このBarrir村は、2014年にユネスコの世界遺産に認定された。ところが、この村にも、8月下旬にイスラエルが侵入し、古くからある叡智と文化が失われようとしている。』

(Le Monde 紙 2024年8月30日 パリ午後4時07分 「イスラエル、ウエストバンクの領域を広げ、世界遺産を破壊か?」)

そして以下が、関連ニュースの要訳です。

『少なくとも9人のパレスチナ人が殺され11人が負傷。イスラエルの占領地区、ウエストバンクでイスラエル軍が、過去20年で最大の軍事攻撃を始めた。大量の兵器を積んだトラック、ブルドーザー、戦闘機、そしてドローンと共に何百人ものイスラエル兵が侵入し、北部のジェニンとトルカンを同時に攻撃し始めた。』

【ニュースキャスター Amy Goodman】

『何百人ものイスラエル兵がウエストバンクで、飛行機、戦車を使って、パレスチナ一般市民を相手に一方的に戦闘を始めている。

彼らの目標は明確だ。イスラエルの外務大臣が「パレスチナ人の民族浄化(撲滅)をする」とハッキリ言っている。

これは戦争国際法に大きく違反している。ウエストバンクは、イスラエルの占領地域だ。自分の国の占領地域に攻撃をかけるのは、犯罪である。武器も何も持たないパレスチナの一般市民に、大勢の兵士が一方的に武器や戦車で攻撃しているのだから。

イスラエルのこのファシスト政府は、ファシストの政治家たちばかりでできている。』

【パレスチナ人医師·政治家 Mustafa Brghou】

(以上 Democracy Now! 2024年8月28日アメリカ東海岸時間放送 
「Nakbaを繰り返そうとするのか:イスラエル20年来で最大のウエストバンクの軍事攻撃」)

ガザ南部の都市、ハンユニスのレストランの爆撃前と後の写真
BBCビデオからインスタグラムに挙げられていたもの

確かに・・。日本は、大戦後アメリカの占領下に(1945年〜1957年)なっていたけれど、アメリカ兵が何にもしていない日本人を、戦争が終わって占領した後に攻撃したらおかしいし、犯罪になる。ギブミーショコレート!って叫んで日本のお腹を空かせて走っていた子供達を、米兵が撃ちまくったら?戦争も人殺しだから大きな意味で言えば犯罪だけど、自分が占領している場所の人たちを殺すって・・民族浄化と言われても仕方ない。

ギブミーショコレート!と、戦後お腹を空かせた子供達が米兵に群がった
(写真は出典不詳 米軍のものと思われる)

そしてファシストは、中央集権の独裁リーダーで、反対勢力を許さず、軍事政治を行い、階級を重視し、個人の自由は許さない政治を行う人のことを指します。それで、世界のファシストって例えばどんな人がいたかな、と調べてみたら、スターリン、ヒトラー、ムッソリーニ、などと並んで、日本天皇ヒロヒト、と出てきて、目を惹きました。

昭和天皇とファシストが一緒にならなかったのです。けれど、確かに大戦中に、戦争反対をした人は殺されたり激しい拷問受けたりしたし、戦争ゆきたくないなんて言えなかったし、プーチンなんて可愛いものに見えるくらいの勢いで諸外国に侵攻したし、歴然とした階級の差別もあったしなぁ、戦争は軍部が勝手にやったことで天皇は関係ない、とは国のトップとしては言えない··と、納得し、でも、日本全体がファシズムだったのかも··などなど、瞬時にして思ったのでした。

外のことがわかると、内側のこともわかるのが物事の常ですが、日本という国の多面性の一部を見たような気がしました。

と、少し話しがずれましたが、以上がイスラエルーパレスチナの最新ニュースでした。

目(さっか)


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