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RINGOMUSUME「トレイン」MV ~銀河鉄道の世界観~

RINGOMUSUMEの卒業の日の深夜に公開された「トレイン」のMV。

卒業ライブの余韻の中で観て、号泣したfarmerも多かったことでしょう。
(職場の人もfarmerじゃないけどウルウルしたと言ってました)

トレインを津軽鉄道で撮る企画も、
どこかノスタルジックな感情を呼び起こす映像も、
成長した4人に合わせてアレンジされた音楽も、
4人のRINGOMUSUMEが終わる直前の公開というタイミングも、
全てが完璧なMVになりました。

制作陣も、これまで4人の活動に関わってきた方々が総登場で、4人の門出に花を添えています。
(「トレイン」のリミックス(RINGOSTARS mix)をしたAZUMA HITOMIさんにアレンジを担当してもらうキャスティングに胸アツ)

東北新幹線を応援するために作られた曲が、
東日本大震災が起こって、
人と人とのつながりで困難を乗り越えようと人々を勇気づける歌になり、
そして、
RINGOMUSUMEの卒業を迎えて、
4人の新たな旅立ちへエールを贈る曲になりました。


企画の下田翼さんが、夜行列車シーンの撮影現場の裏側を紹介しながら、「銀河鉄道のような世界観を実現」とツイートしていました。

MVには、雲の上や海の中を走ったり、宇宙から地球を眺めるシーンなど、地上に敷かれたレールを飛び越えて、果てしない空間をどこまでも進んでいく列車のイメージが表現されています。
「銀河鉄道のような世界観」は、下田さんのオーダーでしょうか、平井監督のアイデアなのでしょうか。その想像力・創造力に脱帽です。

このMVの夜行列車のシーンを見て、私の頭に浮かんだのは「銀河鉄道の夜」(ますむらひろし原作の劇場版アニメ映画。1985)です。

「銀河鉄道の夜」は、宇宙を走る汽車に乗って友人と一緒に旅をしていたはずが、現実に戻るとその友人は亡くなっていたという話なので、4人の新たな旅立ちのモチーフとしては、暗くて、ふさわしくないかもしれません。

ただ、このアニメ映画は、エンディングで細野晴臣の音楽に合わせて常田富士男さんが、詩集『春と修羅』の「序」の一節を朗読し、最後に

ここよりはじまる
NUN KOMENCIGAS

という文字がスクリーンに映し出されて終わります。
(NUN KOMENCIGASは、世界共通言語として開発されたエスペラント語)

もしも、下田さんがこのアニメ映画を観ていたとしたら、銀河鉄道の世界観の中に、「RINGOMUSUMEという4人一緒の旅」の終わりと、それぞれの旅が「ここよりはじまる」という意味を込めたのではないかという気もします。

また、「春と修羅」には、「青森挽歌」という詩があって、次のような一節から始まります。

こんなやみよののはらのなかをゆくときは
客車のまどはみんな水族館の窓になる
   (乾いたでんしんばしらの列が
    せはしく遷つてゐるらしい
    きしやは銀河系の玲瓏レンズ
    巨きな水素のりんごのなかをかけてゐる)
りんごのなかをはしつてゐる

「きしやは銀河系の玲瓏レンズ / 巨きな水素のりんごのなかをかけてゐる」

りんごは銀河。
りんごは宇宙……。

トレインMVの中で、自分たちのこれまでのMVを列車の窓越しに見ているシーンがありますが、まさに4人は自らが大きく広げてきたRINGOMUSUMEという銀河を旅してきたんだなあと思うと感慨深いものがあります。

さて、
トレインMVは、4人がいたボックス席に誰もいなくなって終わります。

きっと、次の駅で新生りんご娘が乗ってきます。

そして、新たな「りんご宇宙」の旅が始まるのです。

おわり

何年後かに、また4人が集まって、今度は満員のfarmerと一緒に列車の旅をして、このMVは完成します!!

なんていうことは夢ですよね。

……

夢ですかね……。

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