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りんご娘100年戦略

はじめに

「りんご娘を100年続くグループにする」

この言葉は、いろいろな場面で語られています。

10年前なら、ご当地アイドルが何を言っているんだとバカにされたと思いますが、FOURsと称される先代RINGOMUSUMEの活躍により、一気に可能性が高まりました。
すごく大きな目標で、夢のある話ですので、ぜひ実現してほしいと思います。

さて、
100年続くグループへの試金石ともいえる、新体制となったりんご娘の初ワンマンライブが2022.8.11に開催されました。

私は勝手に保護者のような気持になって、とにかく無事に終わってくれればそれでいいと思っていましたが、想像を超えるすばらしいパフォーマンスでした。

大成功だと知っているのに、緊張して見てしまった。↓

彼女たちなら「はるか夢球場で1万人ライブ」も実現できるでしょう。
そして、いつか卒業する日が来ても、次の世代へちゃんと引き継いでくれることでしょう。

とはいえ、
浮き沈みの激しいアイドル界で100年生き残るのは簡単ではありません(あのジャニーズですら、50年でほころびが見え始めています。)

大げさな言い方を許してもらえるなら、もはや「りんご娘は青森県の文化」です。
これを絶やしてはいけないんです。
そのためにどうすればいいのか、考えてみようと思います。

1 100年続くための要素

「りんご娘100年戦略」を考えるに当たっては、さすがに妄想だけでは説得力が出ないので、宝塚歌劇団を参考にしながら話を進めたいと思います。

宝塚歌劇団を参考にするのは、実際に100年以上続くエンタメであり、劇団とアイドルグループという違いはあるものの、構成員を交替しながら存続しているという類似点もあるからです。

「エンターテイメント事業の比較分析 : 宝塚歌劇とAKB48」(西尾久美子)によると、長く人気が続いている要件として、次のようなものがあげられています。

① サービスを消費者に届ける「場」を当初から設定している
 ・専用劇場と定期公演
② サービス提供の責任を担う人材育成の仕組みの制度化
 ・宝塚音楽学校における選抜と育成
③ ファンとの関係性構築による付加価値の創出
 ・女性だけの劇団という特殊性によるファン層の限定。公式ファンクラブが存在せず、私設ファンクラブによる関係性構築
④ 選抜のプロセス明示による差別化の創出
・トップスター選抜プロセスの見える化

※ 宝塚歌劇団で検索すると数多くの文献が見つかります。西尾論文が簡潔で、自分には一番しっくりきたので引用しています。

私は、これらの要素にあとふたつ加えたいと思います。

ひとつは、
「変わらない理念がある」
です。
これは、いわゆる長寿企業に共通する特徴でもあります。
また、「清く正しく美しく」という宝塚音楽学校の校訓、宝塚歌劇団のモットーが運営上非常に大きな役割を果たしていると思うからです。

もうひとつは、
「コンテンツ提供の内製化」
です。
「元・宝塚総支配人が語る「タカラヅカ」の経営戦略」(森下信雄著、角川oneテーマ21)によると、

宝塚歌劇団の・・「団員」である作家・演出家がほぼ全ての宝塚歌劇作品を作っているのであり、・・タカラヅカ独自・独特の「美意識」「世界観」を醸成することに直結している

とのことです。

りんご娘も他との差別化を図りつつ売れていくためには「独自・独特の「美意識」「世界観」」を表現する楽曲・MV・ライブパフォーマンスが必要になると思います。

では、章を改めて、それぞれについて、りんご娘に当てはめて考えてみたいと思います。

2 りんご娘へのあてはめ

(1)変わらない理念がある

Cool & Country のコンセプト、音楽・芸能の力で地域を元気にという理念はずっと変わることがないでしょう。
ていうか、これが変わったらりんご娘じゃなくなってしまうのでは?

(2)コンテンツ提供の内製化

① 作家の確保

現在のりんご娘があるのは、多田慎也さんから継続的に楽曲提供を受けられることになったことが大きいと思います。
もちろん、地元の音楽家(社長やhiroさんなど)の曲も素晴らしいですが、曲数が少なかったのも事実です。(メンバーが短期間で入れ替わっていたことが影響しているとは思いますが)

多田さんは、最近、妹ユニットのライスボールやアルプスおとめにも楽曲を提供し、両グループの活動も活発化してきました。
やはり、メンバーの成長のためにも、ファンを増やすためにもタイムリーな新曲が必要だと思います。

MV制作、ライブの企画、ステージングについても同じことが言えます。
りんご飴マン(下田)さん、平井さんのカッコいいMV、羽田さんのライブ企画、HIROMI先生のダンス・ステージングの相乗効果として、りんご娘の人気が上昇しているのは間違いないでしょう。

多田さんと飴マンさんは、同じように都会から弘前に移住して、地元と外部の両方の見方・感性で、良い作品をつくっています。
とはいえ、
お二人が100周年までずっといてくれるわけではありません。
こちらも代替わりさせる必要があると思います。

りんご娘が売れれば、スポット的に楽曲やMVをつくってくれる人は出てくるでしょう。
(りんご娘15周年企画「コージィニアス×りんご娘コラボ」3か月連続新曲リリース「りんごのね」「ぐぐっ」「好きみたい」もありました。)

しかし、
グループを100年続けることを考えると、お二人のように「リンゴミュージックの活動自体に共感して、楽曲やMVを継続して提供してくれる人」が出てくるのが一番良いと思われます。

となれば、メンバーを育成するのと同じように作家さんを育成する仕組みも必要なのではないでしょうか。

※ こんなこと書いてたら、Jさんのコンピレーション企画スタートのお知らせが。(展開早いわ~)

② プロデューサー

一番大きな問題はプロデューサーかもしれません。

これまでは樋川社長がその任にあたってきましたが、最近のクレジットを見ると、樋川社長はエグゼクティブプロデューサーということも見られるようになっています。
より大所高所からのマネジメントに徹して、細かいことは下田さんに任せようということかもしれません。

昔のファンの方のブログ等を見ていると、樋川社長の運営方法について否定的な意見もあったようですし、FOURsの売り出し方についても色々な意見があったと思います。

しかし、樋川社長の思いがあってこそのりんご娘ですし、その独特な発想が(「マメコバチ」を歌にしようとか)りんご娘の独自性を生み出していることも確かで、誰でもができる仕事ではありません。

勝手な希望ですが、王林さんがやったらいいんじゃないでしょうか。

インスタのコメント見ても、歌への情熱はまだまだ熱いです(あ、プロデューサーじゃなくて、自分で歌っちゃうか😅)

でもね、王林ね、音程バーを見て歌いたいんじゃない。お客さんを見て歌いたい。
上手い歌が届く歌とは限らない。人に届く歌を歌いたいです。

③ OGのマネジメント

宝塚OGは芸能界にたくさんいて、そのことが宝塚のステイタスを上げている面があると思います。

FOURsのメンバーは卒業後も芸能の世界に身を置いているので、このことを活用しない手はないと思います。

王林さんが番組に出るときは、MVをちょっとでも長く流してもらうとかできないものだろうか。
(沸騰ワードで持ち歌を歌わなかったのも、宣伝とみなされてギャラが出ないからという話があります。結局、お金の問題なのか…?)

※ 9/2の沸騰ワード10に王林さん、ジョナゴールドさん、金星さん出演します。(歌あるのかな?)

(3)サービスを消費者に届ける「場」を当初から設定している

りんご娘には宝塚のような専用劇場はありませんが、定期公演としてはPOWER LIVEや毎年出演している桜まつりのステージなどがあります。

しかし、グループが大きくなればなるほど、祭などでのステージは難しくなると思われます。

また、ファンが全国に拡大すると、県外での拠点づくりも課題になると思われます。

解決策は、よくわかりません😅

もちろん、YouTubeなどオンラインに「場」を設定することで、ある程度は問題の解決になると思います。
しかし、いくらバーチャルな世界が進化しても、リアルへの需要はなくならないのではないでしょうか?(むしろ、リアルに会いたい気持ちが増してくる)

キャパが500人くらいの専用劇場があってもいいのかもしれません。
建造費いくらかな?出せないけど😅

(4)サービス提供の責任を担う人材育成の仕組みの制度化

宝塚音楽学校における選抜と育成と同様に、リンゴミュージックでは、人材(メンバー)の長期育成システムが「一応」確立しています。
「弘前アクターズスクールオーディション」で将来性のある女子を選抜し、レッスンやステージで研鑽を積んでいくというものです。

「一応」と書いたのは、少子化の影響で対象となる子供の数が減り、アイドルを目指す人数も減っていくと考えられるからです。
(ちなみに、とき・王林が生まれた1998(平10)の青森県の女児出生数は6388人でしたが、2020(令2)は3387人と、半減しています。)

ということで、まずはスクール生を増やす(維持する)ことが必要です。
そのためには、りんご娘が子どもたちの目標にならなければなりません。

リンゴミュージックでは、りんご娘.と同じステージに立ったり、一緒にねぷたを運行したりする「りんむすキッズ」を募集していたこともありました。
また、コロナがなければ2020年には青森で女性・子ども限定のライブが行われることになっていました。

はつ恋ぐりんさんがそうだったように、子どもの頃の楽しい思い出は、りんご娘を目指す動機にもなります。

子どもやその親にアピールする地元の活動は継続していく必要があると思います。

(5)ファンとの関係性構築による付加価値の創出

宝塚の戦略は「コアなファンを多数抱えること」に集約されます。

りんご娘に当てはめると、コアなファンを獲得して、CD・グッズの売り上げやライブの集客を安定させ、アイドル活動をビジネスとして成り立たせるのです。
(お金の話をすると下世話な感じを受けるかもしれませんが、アイドルも経費を賄えなければ活動が続きません。)

しかし、強固なファン組織はファンの新規参入をためらわせる原因にもなります。
「宝塚 ファン」などで検索すると、ネガティブな情報(「ファンクラブ会員と非会員」「古参会員と新参会員」などさまざまな階層(?)での葛藤や軋轢)を掲載しているページも多くヒットします。
その内容は真偽不明ですが、メリットばかりではないことは確かなようです。

また「そもそもファンは一枚岩ではない」ともいえます。

年齢層も幅広いし、イベントやライブに足しげく通う人、もっぱら家でCD、YouTubeなどのコンテンツを楽しむ人…、さまざまな楽しみ方があります。
ライブに行く人の中でも、サイリウムを振りまくりたい人もいれば、パフォーマンスをじっくり見たい人も。

このように多様な「ファン」をひとくくりにした対応はなかなか難しいです。
できるだけ細かく対応していくしかないですが、線引きは難しいと思います。

しかし、よく言われるように「アイドルの姿勢(雰囲気)がファンに反映される」とするならば、それほど心配するような問題ではないのかもしれません。

(6)選抜のプロセス明示による差別化の創出

これは、りんご娘の卒業がどのようになるかで変わってきます。
FOURsのように全員一斉卒業なら、アルプス全員昇格で何も問題ないでしょう。
そうでない場合は、一波乱あるかもしれません。
(同様の問題意識で以前記事を書いているので、そちらをご覧ください)

3 おわりに

長々と書きましたが、私が運営に携わるわけではありません。
できることといえば、ただ応援することだけです。

なので、
この文章は、壮大な独り言のようなものです。

しかし、
もはや青森県の文化になった「りんご娘」を絶やしてはいけないと思うと書かずにいられないのです。

私はりんご娘の100周年を見ることはできません。

願いが叶うなら、100周年のときにこの記事のアーカイブが見つかって、
「昔はずいぶん心配性な人がいたんだね。100年どころか200年も300年も続くのに」
と未来の人に言われるようなグループになっていてほしいものです。

おわり

1年前にこんなの ↓ 書いてた 
(;^_^A

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