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RINGOMUSUME「幻の20周年ライブ」もきっとすごかった

「20th+1ライブ」はいいライブでした

2021.9.22「RINGOMUSUME 20th+1 ANNIVERSARY LIVE ~りんごの木~」の開催から1カ月が経ちました。

DVD・BDの発売は年末あたりでしょうか?とても楽しみです。
せっかくなので、副音声でメンバーのコメントを入れたり、カット割りや音にもこだわって、生配信とはまた別のすごい映像作品に仕上げてほしいと思います。

「20th+1ライブ」が有観客だったら?

このライブについて、多田慎也さんは東奥日報の取材に次のように述べています。

いい意味で発展途上の姿を見せてくれた。私たちはきっとまだまだやれる。無観客というイレギュラーな状況の中で、そんな手応えをつかんだはずだ。
パフォーマーとしての成熟を感じたのは私だけではないと思う。有観客なら相互作用でさらにメッセージは伝わっていたはずだ。

パフォーマーとして成熟 りんご娘21周年記念ライブを見て/音楽家・多田慎也(Web東奥。全文を読むには登録が必要です)

もし有観客で開催されていたらどうなっていたのでしょう?

実際に、観客の大多数が感動すると、劇場全体が震えます。客席が揺れ、どよめき、観客全体が放つオーラが劇場空間に満ちます。

(鴻上尚史「演劇入門」第4章 一人と大勢)

弘前市民会館が震え、揺れ、どよめき、すごいことになっていたかもしれない。もしそうなら見たかったと切実に思います。

観客との相互作用の条件

ただし、「相互作用」がその力を発揮するためには演者が観客の「気」を見る力量が必要になります。

世阿弥は、プロならば、会場を見ればその日の公演が上手くいくかどうかわかる、そして、会場の気に応じて演じるべきと言います。

座敷の競ひ、後れを考へてみること、その道に長ぜざらん人は、左右なく知るまじきなり。
【拙訳】会場の気が乗っているかどうかは、プロでない人では、簡単に知ることが出来ないだろう。

そもそも一切は、陰陽の和するところの境を、成就とは知るべし。(略)これ面白しと見る心なり。
【拙訳】そもそも、会場の陰・陽の気に調和するように演じられてこそ成功と言えるのである。(略)これが、観客が面白いと感じる心のもとである。

(「風姿花伝」問答条々)

そうした力がどうやって磨かれるかと言えば、やはり観客の前で場数を踏むことです。
会場の雰囲気を感じ取り、押したり引いたり、呼吸を合わせていくことは、実際にやってみてはじめてできるのです。

押しすぎてもダメ、引きすぎてもダメだと感じた俳優は、毎ステージ、試行錯誤を続けます。そして、自分にとっても観客にとってもちょうどいいバランスを見つけられた時、演技は成熟します。
劇場というインタラクティブな空間が、俳優を育てるのです。

インタラクティブであることの一番の短所は、観客に影響を受けて、作品の水準が落ちることです。
観客のあくびひとつで、未熟な俳優は動揺します。それ以降の演技がメタメタになる、なんて悲劇が起こります。

(鴻上尚史「演劇入門」第3章 ライブであるということ)
【余談・鴻上尚史の思い出】
私が大学生のころ、小劇場ブームが起きていて、鴻上尚史の「第三舞台」も人気劇団のひとつでした。
しかし、私が鴻上を知ったのは演劇を通してではなく、ラジオ「オールナイトニッポン」でした。

今でも覚えているのは「日比谷公園でジェンカ」です。
鴻上が「俺はこのあと日比谷公園でジェンカを踊るが、お前らは来るな」と言って番組を終わります。
それで、朝6時、日比谷公園に集まってきたリスナーに鴻上が「来るなって言っただろ~」とツッコみながらジェンカを踊るという実にくだらない企画が好きでした。

引用している「演劇入門」は、ライブと映像の違いとかとても参考になりました。副題が「生きることは演じること」で、生活全般にわたって示唆に富む内容です。

場数がメンバーを育てる

改めて思い返してみると、
2020年は、RINGOMUSUMEデビュー20周年を記念して、全国20か所20公演の「RINGOMUSUME 20th ANNIVERSARY LIVE TOUR 2020 ~りんごの木~」を開催する予定でした。

場所によってはハコが埋まらないこともあっただろうと思います(前乗りで行った沖縄では客の少なさに衝撃を受けていたようです。)。

沖縄での認知はまだまだですが、これはマイナスにとらえず、伸びしろがあるということです!!!!
りんご娘ブログ2020年02月16日「にふぇーでーびる」王林

現地の方も数名はいましたが、もっともっと頑張らないといけないと思いました。
りんご娘ブログ2020年02月17日「OKINAWA」とき

しかし、そんなことすら成長の糧にして、全国ツアーの経験は、ライブのスキル、「相互作用」という点で、RINGOMUSUMEを大いに成長させたはずです。

そして、弘前でのFINALは、メンバーの成長の集大成として、満員の観客との相互作用で、過去最高のすばらしいパフォーマンスとなったことでしょう。

過去最高は更新されていく

弘前でのFINAL、大きな会場を満員にしてのライブをやりきる経験は、メンバーにさらに大きな自信と成長をもたらしたはずです。

「逃がした魚は大きい」の諺ではありませんが、返す返すも残念でなりません。
しかし、嘆いたところで時間は戻ってきません。

足りないこととか 手に入らないものとか
数えて生きるよりも 今を育みたいね

(RINGOMUSUME「りんごの木」作詞作曲:多田慎也 編曲:島田尚)

全国ツアーを始め多くの有観客ライブの機会を失いましたが、その代わりにTV番組やYouTubeに出演したり、オンラインライブを何度もやって、その面での成長もありました。
むしろ、有観客ライブの機会を失ったことで、ファンが増えたとも言えます。
(Youtubeチャンネル登録者2020.2:約1万人→2021.10:3.17万人)

なにより、多田さんが「パフォーマーとしての成熟を感じた」「まだまだやれる」と言っているのですから、この先も「過去最高のライブ」を見られる機会はまだまだあると思うし、期待したいです。

farmerにも場数が必要

すばらしいパフォーマンスが「相互作用」によるものならば、観客側の問題も考えないといけません。

まず、(私を含めて)本格的なライブを経験していない新参ファーマーが多くなっています。
また、声出しやタオルを振るなどといったことが引き続き禁止される可能性が高いです。

つまり、観客側もこれまでと違う状況になるわけで、「メンバーと観客」、「観客と観客」が、なんとなくかみ合わないことが起こる可能性もゼロではないと思います。

「メンバーと観客」はそんなに心配していませんが、「観客と観客」はなかなか難しい問題です。
実際に「私が○○ファンをやめた理由」系のネット記事をみると、「ノリの違いについていけなくて」みたいな理由が散見されます。

そんなことにならないためにも、観客も慣れが必要です。
farmer(RINGOMUSUMEファン)にとっても、有観客ライブの場数が必要なのです。

<(_ _)> 有観客ライブの開催をお願いします。

おわり

これぞライブの「相互作用」と感じた動画があるので、紹介したいと思います。
MISIAの「逢いたくていま」のMVと中国の歌番組での有観客ライブです。比べてみてほしいです。

ライブの方は、最後にMISIAが泣いているようにも見えます。
感情の押し付けだったら観客は引いてしまうと思いますが、観客と演者が相互に気をくみ取って、会場全体が徐々に高まっているところが、ライブならではだと思いました。

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