ライスボール「景 -ひかり-」【歌詞解釈】#2 メッセージ
1 はじめに
ライスボールの「景 -ひかり-」の歌詞については、RINGOMUSUME「夏ノ蜜柑」に絡めて恋の歌と解釈した記事を前に投稿しました。
ただ、アルバム「NIPPON」全体のコンセプトを考えると、広く日本、世界へ向けたメッセージととらえることもできるので、そちらの解釈もしてみたいと思います。
(コロナ禍の状況を踏まえた解釈になります。)
「NIPPON」の紹介記事 ↓(Web東奥。多田さんやメンバーのコメントが載っています。全文を読むには登録が必要です)
2 歌詞解釈
景 -ひかり- 作詞・作曲:多田慎也 編曲:島田尚
季節は巡るのに この2年間の思い出は同じ景色ばかり
分断や差別の日常 きれいごとでは済まないこともあると知った
意見の違いで 大事な人と別れてしまったこともあるでしょう
それでも、愛するって希望の光だ
自由に会えない日々だけれど 希望の光を届けたい
街で見かけたあの人たちも みんな普通じゃない今を生きている
お願いだから 希望を失わないで
すごく明るくできなくてもいい
朝陽、木漏れ日、烈日、薄日…太陽だって、いろんな表情があるんだから
きっと明日はいい日になる だから微笑っていて
幸せになろうよ
こんな時代に生きることを不幸だとは思わないから
思い出が詰まった街も いまは寂しい風景
でもそれもいつかは終わる
つらい経験を強さに変えて
そんなこともあったねと語り合える日が来るよ
何気ないおしゃべり ふとした表情 つないだ手のぬくもり
ありふれた日常が奇跡だったと今はわかるよ
あしたは君と並んで 同じ世界を見ていたい
お願い 希望を失わないで
会えない日が続いても
一緒に過ごしたまぶしい日々を思い出して
いつも 微笑っていて
過去を振り返らないで
これから新しい世界が始まるんだから
花は季節ごとに咲き誇り 風は季節の香りを運んでくる
自然の営みが続いていくように 人は変わらない愛を心に生きていく
お願いだから 希望を失わないで
すごく明るくできなくてもいい
朝陽、木漏れ日、烈日、薄日…太陽だって、いろんな表情があるんだから
きっと明日はいい日になる だから微笑っていて
幸せになろうよ
こんな時代に生きることを不幸だとは思わないから
3 YMO「Perspective」
何気ない日常から不条理に引き離されるということで思い出すのは、
YMO「Perspective」(作詞:坂本龍一、ピーター・バラカン 作曲:坂本龍一)です。
毎日僕は窓を開けて、歯を磨いて…という何気ない日常の光景が続いた後、急に意味深な歌詞が出てきます。
“torn apart”は、無理に引き裂かれるといったニュアンスもあります。
それを美しい黄昏の光の中で見ていることからすると、「死」という人の力ではどうにもできない別れのことを言っている気もします。
「死も特別なことではない。別れが来ることも仕方がない」
そんなある種の達観みたいなものも感じます。
(YMOの散開時に作成されたアルバムの収録曲なので、当時のYMO内の空気(修復しがたい意見の相違)を反映してるのかなあとも思います。
坂本さんが「倦怠期を通り越した、ドロドロした別れの曲」と言っていたような…(うろ覚え)。
あまり背景を強調するとイメージが崩れるのでこのへんで。)
どこか切なくて、それでいて癒されるような、まるで美しい黄昏の光を思わせる旋律が淡々と続きます。
(よく聴くと、裏でシャカシャカ鳴っている音(L側)のリズムがずれていて、それがまた曲に不思議な印象を与えています。)
派手な展開はないけれど、ぐっと心がつかまれる名曲だと思っています。
おわり