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「その先の角屋の奥を左に曲がると」

「おかあはん、ちょっと私でかけてきますんで」

「はいはい、気つけて」

のれんを分けて外へ出ると左に向いて、島原の奥へ向かう。

左のたけ長椅子で将棋を打つ二人に声をかける

「あんたら?今日は非番かえ?」

「ああ、太夫そうでっけっど」

「まあよかったらあとで和菓子こうてくるさかい、居間にあがってきてよ?」

「いや、ええわ、そんなん悪いですわ、まあここでお裾分けしてくれたらいいんでまだ丁度、序盤ですから」

「ほな、そうするわ、まあまってて」

「ん?」

「今日もネコ多いとおもたら翔平おるわ、翔平?何してんの?」

「ああ、太夫か?見たらわかるやろ?エサやっとるんや」

「お父はん、店、手伝えてゆわへんの?」

「うん、邪魔になるみたいや」

「そうか、ちょっとこっちおいで」

「なんや?」

「ちょっとお前らどいて?」

「なん?なんでんの?将棋途中やのに???」

「いいから奥にあがっていいから」

「せっしょやな・・・ほなしゃーないないこか?」

「おう、おう!」

「翔平ここ座り」

「どないしたん?」

「あんた大きなったら私と結婚したいっていうてたやろ?」

「うん」

「ええのか?私28やけど?あんた6歳やで?」

「いや別にええよ」

「それ、本気なんか?あと12年したとしても?私40歳やで?」

「別にええよ?」

「ほな床屋、次ぐんか?」

「うん「ミナミノ」やろ?お前やれていうてたけど?」

「そうかほなら私むちゃくちゃがんばるから、約束やで?」

「うん、ほならお父のとこいく?襟でもそってもろたら?」

「そうするわ!!みんなに和菓子買お、おもたんやけど?早速挨拶いかなな?」

「うん、なんかしらんけど?別に産毛剃ればていうてるんやけど?」

「そやな、いつも店先で話すけど、緊張してきたわ」

「うん、なんでかしらんけど、おいでよ」

「うん・うん、早速いこ」

翔平を中腰で背中を押してあるきだした。

「ちょ、ちょっとそんな押さんといて」

カランコロンカラン

「どうもお父はん、翔平が私、身受けしてくれるいうんよ、どうしてもらしいわ!!」

「はぁ?いや!!そらあかんで!!??そんな無理やわ!!こいつアホやから間に受けやんといてよ???」

「僕、別にいいで?」

「アホ、だまっとけ」

「いや、子供のいうことやで?太夫?そんなん無理やろ?」

「いやでも私、昔から床屋の才能あるとおもてたんよ?」

「いや、うちそんな金ないし・・・」

「いや、大丈夫、12年やったら丁度上がるから」

「いや、そういう問題ちゃうやろ?」

「まあ、考えといて?翔平は私のこと好きすぎるみたいやから?」

「なんか吹き込んだんかいな?」

「いや、自分でいうてるんよ」

「そうなんか・・・おい翔平?そのころもう太夫、エライ年になってくるで?」

「いや、お父、よう働くほうがええていうてたやん?めちゃくちゃがんばるていうてるし」

「そう、そうよ、たぶん大将よりうまなるとおもうわ」

「いやまあ40前後か・・・すぃ~~~~~・・・」

「まあ、その時まだこいつがそう言うなら、こいつの事やから、こいつが決めるとおもうわ、すぃ~~~~・・・まあそういうことならしゃーないな?そのときこいつにきてくれ?」

「そう?!ほんまに?ほなそうするわ、翔平ほな、私、嫁いじゃるからな?浮気すんなよ?」

「うん、なんかわからんけど」

END









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