我に才略無く我に奇無し
幕末の四賢侯、越前国福井藩主・松平春嶽公が残された名言です。
正確には漢詩『偶作』の一節で
「我無才略我無奇
常聴衆言従所宜
人事渾如天道妙
風雷晴雨豫難期」
の七言絶句です。
※書き下し文
「我に才略無く我に奇無し
常に衆言を聴きて宜しき所に従ふ
人事渾 (すべ) て天道の妙 (たえ) の如し
風雷晴雨 豫 (あらかじ) め期し難し」
訳
「私は知恵や謀に長けていないし、特に優れているところもない
日頃から皆の意見を伺い、最適だと思う事に従っている
世の中のことは全て天の道理であり
天気のように前もって予期するのは難しいのだ」
何故急にこの漢詩を出したのか?
僕の撮影に関するスタンスを表現したかったからです。
ポートレート撮影を始めて1年が経ちます。
初めて行った撮影会で、モデルさんに的確な助言を出来ず後悔したこと。
あまりの悔しさに翌月写真セミナーに参加し、講師の先生に技法を教授頂き、各撮影会で実践したこと。
この1年間自分なりに試行錯誤しましたが、やはり元来のコミュ障とセンスの無さが混じり合い、モデルさんを困惑させかねないという結論に…。
んじゃあ、どうするかと言うと…、
モデルさんへ自由を持たせて一任する
などという、責任放棄型の撮影が続いています。
…とは言え撮影させて頂く以上、撮る者としての責務は常に持っていますし、自分の意思を投影させたい時はセンスが無いなりにも、助言はしています。
また幸運なことに、これまで撮影させて頂いたモデルさんは「このポーズに撮って欲しい!」や「あの場所で撮りたい!」というオーダーをくれる方々ばかりだったので、センスの無さをカバーして貰えたのも大きいです。
そこで最近思いついたのが、上記の漢詩となる訳です。
自分は才能や斬新さは持ち合わせていない、だから撮らせて頂く方々の意見を聴いて、自分の技量の中で出来る最大限の努力を惜しまない、そうすればある程度は実るだろう。
これから先、このままで良いとは思いません。
しかし写真を本職にする訳では無いですし、趣味のままでありたいと思うので、スタンス自体は崩さず、少しずつ技量・コミュ力も磨きたいです。
取り敢えずは12月のとある展示会に向けて、一年間の総まとめを行いたいと思います。
駄文、失礼しました。