ミュージカルの起源を探る3~レビューとバーレスク

今回はレビューとバーレスクについてです。

レビュー

起源(名称)

元来は「再び見る」という語源を持つフランス語”ルビュ(調査・検討・議論)”に由来し、年末にその1年の出来事を再現して見せる時事風刺劇を意味した。

起源(形式)

中世における卑俗な笑劇(ファルス)を源流とした風刺的な見世物が19世紀初頭に1つの形態を作り、各地のキャバレーなどで上演され、更にパリのポルト・サン・マルタン劇場を拠点に発展。その後カジノ・ド・パリ、フォリー・ベルジェ―ルといった大きなミュージックホールに取り入れられた。1900年の第5回パリ万博を機に国際色も加え、群舞による踊り子の性的魅力を売り物にした演出法が盛んになり、グランドレビューの流行期を迎えた。踊り、歌、寸劇などで構成され、ショー、バラエティ、ヴォードヴィル、ミュージカルなどと厳密な区別が出来ない事が多い。映画などに押され、1930年代を境に次第に衰退、キャバレーやクラブなどで小規模に上演される事が多くなった。

アメリカにおけるレビュー

18世紀にイギリスから移入されたバラエティを母体に華やかさを売り物にした芸能として発展。1894年にニューヨークで初演された『パッシング・ショー』や、それに啓発されたフローレンツ・ジーグフェルドが1907年から24年間にわたって上演した『ジーグフェルド・フォリーズ』の成功によって、アメリカンスタイルのレビューが確立した。ガーシュイン、バーリン等の作曲家の活動と相まって、1920年代に黄金期を迎えた。1932年にはラジオ・シティ・ミュージック・ホールが開場。映画のアトラクションとして上演されるロケッツのダンスショーは、長年にわたってニューヨークの名物となった。
(出典:日本大百科全書ニッポニカ)

余談ですが、ミュージカル映画『アニー』(1982年版)の"Let's Go to the Movies"で、アニー達が映画を見に行くのがラジオ・シティ・ミュージック・ホールでした。このシーンでは、上記で触れている「映画のアトラクション」としてのレビューが組み込まれていて、幼かった私は初めてこの映画を見た時に「なんで映画を見に行ったはずなのにこんなショーまであるんだろう」と、すごく不思議に思ったのを覚えています。

バーレスク

起源(名称)

「悪ふざけ」「冗談」の意味のイタリア語、ブルラ(burla)から発生したブルレスコ(burlesco)が、フランスに入りビュルレスク(burlesque)となり、更に英語化したもの。

起源(形式)

各種のショーの間に挿入されるコントや物まねなど大衆的な演芸を称して言う。元来、既存のジャンルや作品の特徴を茶化したパロディ作品の事を言った。古代ギリシャのホメロスの作品にも同種の物は見られるが、16世紀のイタリアでこの種の傾向が生まれ、1630年頃からフランスに入って流行した。

現在では

19世紀にはいると単なる大衆向けの娯楽劇と化し、本来の風刺精神を失った。アメリカではヌードショーと同義である。

5つの要素の”洗練”と”衰退”のリフレイン

貴族の物として誕生したオペラと違い、オペレッタは民衆の物としてスタートした。しかしオペレッタも徐々に洗練され、スノッブの物となった。他の4つの要素も、出発点は民衆の物だったが、その進化・変化の中で洗練された物はやはりスノッブの物となり、洗練されなかった物は時代遅れとなり、新しい物に吸収されるか消滅した。
現在のミュージカルは正に洗練され、スノッブの物になった状態である。しかし、ミュージカルは構成に柔軟性があるので、時代に合わせて様々な物を取り込んで、常にマイナーチェンジを繰り返している。ロック、R&B、ラップ、POPsなどの新たな音楽を次々と取り入れたり、2.5次元ミュージカルのようにアニメや漫画やゲームを題材とするなど、豊かな広がりを持つことで裾野を広げているのである。これを続けて社会からの乖離を防ぎ、新しい世代を惹き付けてゆくことができれば、ミュージカルは常に第一線の娯楽たり得る。

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