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ビジュアルが私たちの意識を変える?ストックフォトが果 たす社会的責任の話。

Getty Images でシニアリサーチエディターをしている川村真麻です。
9 月 29 日、「21_21 DESIGN SIGHT」で開催されている「ルール?展」の関連イベントにスピーカーとして参加してきました。
ほか、参加者は本展覧会ディレクターの菅俊一さん(多摩美術大学統合デザイン学科准教授)、水野祐さん(法律家・弁護士)。

「ルール」は時代によって変わるもの。ただそれを「守ること」に重点が置かれて膠着化すると弊害につながってしまいますが、本来は人間のポジティブな行動を促すための機能を持っています。

ルール?展ではその考えのもと、わたしたちの身の回りにあるルールの役割や、価値を見つめ、捉え直し、未来への可能性を投げかけるものです。
私が参加したオンライントークは、「良い」とされるビジュアルのルールについて紐解くものになりました。

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「ルール?展」には「群れを生むルール」という展示があり、虫、鳥、哺乳類などがなぜ美しい群れをつくることができるのかを考察しています。

そこで使用されたのが、Getty Images のコンテンツ。菅さんたちからご相談を受け、我々リサーチチームが「群れ」の動画素材を検索し、提案しました。
世界中の動物の群れを、個人がゼロから体制を組んで撮影していくことはほぼ不可能に近いことですが、このようにストックフォトというプラットフォームを利用すれば目的に適う素材を容易に手に入れることができます。

クオリティだけではない「良いビジュアル」の定義

さて、トークで話題になった「良い」ビジュアルの定義は、次の 2 つを網羅するものでした。

1) 権利問題をクリアしており安全という意味での「良い」ビジュアル。
2) 変化する社会通念(言語化されていないルール)を捉えているという意味での「良い」ビジュアル。

まず1)に関して。

ストックフォトとは、写真 / 映像 等の素材を「販売したい人たち」と「使いたい人たち」を仲介する存在です。撮影者の著作権、被写体の肖像権など、一つのコンテンツの背景には、あらゆる権利に関する問題が存在し、わが社では、知的財産や技能のクリアランス行う専門チームがいます。

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商業利用、報道利用の線引きをもうけ、例外が発生する場合は状況に応じて免責補償というサービスも視野に入れながら対応します。

続いて、2)の「2) 変化する社会通念を捉えている」に関してですが、GettyImages では「オーセンティシティ(真実性)」という感覚を重視しています。世界中のコントリビューターやパートナーには、「身の回りのありのままのものを撮って欲しい」と伝えています。そのことで進化する社会通念が自然に表現されるのです。

5 年で「女性」のイメージはどう変わったのか。

何が「真実に迫ったもの」と見なされるかは、時代によって変化していきますよね。ですから、Getty Images ではそれをビジュアルから読み解くデータ分析にも注力しています。

たとえば、Getty Images における「5 年でのビジュアルトップセラーの変遷」を見てみると、「働く女性」というキーワードでは、2015〜2016 年、アシスト業務をするイメージが人気でした。しかし、2020 年〜2021 年には、職場で自らの存在意義を発揮して働くイメージに人気がシフトしています。

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「母親」というイメージでは、家で家族のケアに集中している様子から、仕事と子育てを両立している様子へ、「高齢者女性」のイメージでは、結婚などのステータスに依存する状態から自立した権限を持った存在が求められるようになりました。

同じような変化は「男性」のキーワードでも見られます。たとえば、女性に対してリードを取るような描写からセルフケアを大事にする描写。年配の男性が真ん中にいて会議を取り仕切るような旧来的のオフィスのイメージから、カジュアルな服装で 1 人でリモートワークを行う様子への変化もありますね。

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ストックフォト=当たり障りのない綺麗な画像、ではない?

スピーカーの菅さんからは、「今まで 『暗黙知』だったものが、こうしてデータで明確に言語化されて、みんなに『良い』ものがわかる、ということは興味深いですよね」という言葉が。

Getty Images では外部のパートナーやコントリビューターに対して、社会のニーズや撮影する際に参照するべき規範を示すためのガイドラインもつくっています。その際、当事者団体と一緒に制作にあたるのが Getty Images の特徴です。

女性を表現する際のガイドラインでは SEEHER / ANA(全米広告主協会)と共に、そして LGBTQ+のビジュアルのためのガイドラインでは、GLAAD(Gay & Lesbian AllianceAgainst Defamation)という団体と協同しました。

たとえば、LGBTQ+のガイドラインで盛り込んだ注意すべきポイントは、「写っている人は当事者か」「恋愛の場面に偏らず日常生活を取り上げているか」などでした。

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まさしく、Getty Images がこういうことをしている、ということが社会に認知されていくのは喜ばしいことだと思います。私たちのビジョンは、「ビジュアルの力で社会にポジティブな変化を生み出す」というもの。

ストックフォトと聞くと、当たり障りのない、綺麗なビジュアルをイメージされる方も多いと思います。

ですが、ご覧いただいたように、Getty Images はデータ分析をもとに、より真実に迫った、見る人の共感を呼ぶビジュアルを生み出しているのが特徴です。
「ガイドラインがあることで、集まる表現が似てきてしまうのでは」という指摘もありましたが、菅さんが「ガイドラインがあることで、そこを踏まえた表現ができるようになりますよね。だから、僕たちが今まで『多様性を表現するビジュアル』と想像していたものを、超えてくる可能性が生まれるんだと思います」と、まさに私が言いたかったことを分かりやすく伝えて下さいました。

「ビジュアルの力で社会にポジティブな変化を生み出す」という私たちが大切にしている理念については、今後も機会があればいろいろなところでお話ししたいと思います。

ルール?展は 11 月 28 日まで開催中です。まだご覧になっていない方はぜひ行ってみて下さい(※現在新型コロナウイルス感染拡大防止のため事前予約制となっています)。

Getty Images の資料にご興味ある方はこちらからお申し込みいただけます。
申し込みはこちら

<プロフィール>
川村真麻 Maasa Kawamura
ゲッティイメージズ シニアリサーチエディター。二級知的財産管理技能士。
日本大学芸術学部写真学科にて4年間写真を学んだ後、グラフィックデザイナー、広告フォトグラファーアシスタントを経て、フリーランスフォトグラファーとなる。2年間渡英し、帰国後 2013 年ゲッティイメージズにリサーチエディターとして入社。自社が保有する膨大な量の写真・映像素材の中から顧客のリクエストに合ったビジュアルを提案するという業務の中で、現代社会が求めるビジュアルニーズを常に意識した、より質の高いキュレーションを目指している。

21_21 DESIGN SIGHT企画展「ルール?展」
会期:2021年7月2日(金)- 11月28日(日)※事前予約制
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2
休館日:火曜日(11月23日は開館)
開館時間:平日11:00 - 17:00、土日祝11:00 - 18:00(入場は閉館の30分前まで)
入場料:一般1,200円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料
主催:21_21 DESIGN SIGHT、公益財団法人 三宅一生デザイン文化財団http://www.2121designsight.jp/program/rule/

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