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劇団の公演ツールのデザインプロセス

GMOペパボでカラーミーショップのデザイナー・PMをしている りん です。
1年ほどの育休を経て、10月から職場に復帰した一児の母です。

現在、とあるプロジェクトのプロダクトマネージャーをしておりまして、そちらについてはリリース後に改めて記事にするとして、今回は育休中に携わった、劇団の公演ツールのデザインについて書きたいなと思います。

何のために作るのか

友人の将軍(ニックネーム)から依頼を受け、将軍が局長を務める 劇団歴史新大陸 の本公演「真・信長公記」の公演ツールをデザインしました。
(将軍が局長って字面がややこしいな)

公演のメインビジュアルから、公演前にお客さんに告知をするためのフライヤーやパンフレット、当日にお客さんに配布するためのチケットやパンフレットを制作しました。

作ったものはこちら

・メインビジュアル
・フライヤー
・チケット
・ポスター
・パンフレット

必要なものから、上記の順番に制作を進めました。

最初に決めたこと

当時の私は育休中で、日中は子育てと家事をしていたので、このお仕事を受けるときに、以下のことを最初にお伝えしました。

・期日が短かったり急な対応はできないので余裕を持ったスケジュールを
・原稿は基本的に支給してもらう(役割分担)
・やり取りは基本リモートで(なかなか気軽に外出できないため)

以上のことが大丈夫か、難しそうなら逆に迷惑をかけてしまいそうなので確認しました。結果問題なさそうだったので、お仕事を進めることとなりました。

スケジュール

依頼を受けたのが6月末で、公演本番が9月中旬でした。

・制作物のボリュームは(特にパンフレットは何ページ数想定か)
・制作の順番(何が先に必要なのか)
・原稿はいつ頃支給してもらえそうか
・印刷業者の確認(いつも依頼しているところがあるか、入稿の方法は)

以上のことを、この時点でわかる範囲で教えてもらい、スケジュールを逆算して制作を進めました。

本当にスキマ時間での作業だったので、なるべく前倒しで、都度スケジュールを宣言して作業を進めました。
(夏休みの宿題を最終日まで残しちゃうタイプ)

メインビジュアルの作成

フライヤーを作るにあたって、最初にメインビジュアルを制作しました。

①方向性を決める
最初に作品のプロットをもらって目を通し、登場する主人公・信長のキャラクターからイメージを考え、お互いのイメージと大きく差がないかを擦り合わせました。

↓実際のやり取りを再現

決まった方向性はこんな感じ。

・「第六天魔王」と呼ばれる強いだけの信長ではない
・孤独だけど天下泰平を目指す覚悟が見える

そこで、写真は「背を向けている信長の横顔が見える感じで」とお願いしました。横顔のバランスや表情はお任せしました。

②イメージを膨らませる
方向性は決まったけど、そこからさらにビジュアルのイメージを膨らませるために、 Pinterest でフライヤー等を検索してイメージボードを作成。

③デザイン案を作成
過去のフライヤーを参考に、この時点で揃ってる情報でレイアウトして、デザイン案を3パターン作成。

ビジュアルのデザイン案を提案する時、意図を聞かれたら説明するけど、基本的にはあまり説明せずに見てもらうことが多いです。

方向性や伝えたいメッセージはすでに擦り合わせられているので、その上で先入観なくパッとビジュアルを見てもらって、素直に良いと思ったものを選んでもらいたいなと思っているからです。(実際にターゲットの目に付くときも、何の情報もなくこのビジュアルを見るはずなので)

劇団のみなさんで検討していただいた結果、A案で進めることに決まりました。実はA案が私の推し案でした。(B案もやってみたかったけど)
複数案を提案する時「推し案が通るといいな〜」と思いながら提案順を決めたりしませんか??今回は推し順に提案しましたが、場合によっては推しを最後に持ってきたりもしますよね。

④タイトルロゴ
この案件をいただいたときに、以前から個人的にやってみたかった「筆文字」にチャレンジしました。( ばらかもん の影響もあり…)

ビジュアルのイメージから、力強い筆文字をタイトルに使いたいなと思っていたのですが、なかなか理想の書体が見つからず。。。

ないなら書けばいいじゃない!と思い、しかし昔のように書道セットは持っていないので、文具屋さんで筆ペンを購入し、自分で字を書いてみました。

・どんな文字だといい感じに見えるのかググって参考にする
・筆ペンで書いてもダイナミックに見えるように小さく書く
・とにかく何回も書いてみて良さそうな文字と出会えるまで書き続ける

一文字ずつ、他の文字とのバランスを見ながら書いていきました。
何十回も書いた文字もあれば、慣れてきて3回くらいで書けた文字もありました(成長)

あとはスキャンしてPhotoshopで加工して完成。

⑤ブラッシュアップ
文字のバランスや背景の色味などを微調整して完成。

フライヤー作成

表面はメインビジュアルで作ったイメージを流用。裏面は情報が多いので、一旦雑にレイアウト。

その際、もらった原稿そのままの順番でレイアウトすると違和感があり、やっていいのかわからなかったけど自分が見やすいと思う順番に変更しました。両方提案して、結果順番を変更した案に決まりました。

文字の調整や軽微な修正を経て完成。

チケット作成

メインビジュアルができているので、それをもとに実際のサイズ感を確認しながら文字サイズやレイアウトを調整。

ポスター作成

フライヤーの表面をもとに、ポスターの各サイズに合わせてレイアウトや文字のバランスを調整。最初に画像を大きめに作成しておいたので、解像度も割と耐えられました。(ポスターの画像はのちほど)

当日パンフレット

今回の制作物の中で一番ボリュームの大きかったのがパンフレットです。(A4仕上がりの8ページ)

パンフレットで使用する役者さんの写真の撮影が、入稿の4日前だと事前に聞いていたので、そこ以外は先に終わらせようと考えて進めました。

●原稿のやり取り
公演日まで一ヶ月を切って劇団のみなさんも忙しく、原稿が来始めたのが2週間前で、用意できたものから随時もらっていたので、抜けや認識違いが発生しないように、原稿支給状況確認表を用意しました。

●中ページはフォーマットを作成
中ページの共通部分はフォーマット化しました。

●相関図
一番大変だったのはこちらの相関図。基本的には支給された原稿どおりで、なるべく見やすいようにレイアウトを考えました。(実際の公演を観たときに、相関図を何度も見てたから各キャラクターの関係性がわかって面白かった)

ちなみに、最初は役者さんの写真はダミーを使って相関図を作っていて、私がいつもダミーに使う人物写真は三上博史です。

●完成
何度かのやり取りや修正を繰り返して、なんとか予定通りに入稿データを納品。(超滑り込みだった…)

こちらが後日いただいた実物。

おまけ:公演当日

リモートでやり取りしていて、入稿データを納品したら完了、というお仕事だったので、完成した実物を見るのは公演当日がはじめて。
公演を観に行ったのに、最初は制作物がちゃんと仕事してるかをドキドキしながら確認しました。。

制作者近影

安心したところで実際の舞台を観て、迫力に圧倒されたり、胸を打たれたり、笑ったりと、観客を楽しませるための工夫が随所に散りばめられていて、歴史が苦手な私もとても楽しませていただきました!

おわりに

今回、作業の役割分担ができていたからか、デザインの部分はほぼ私の意見を尊重していただき限られた時間の中でも楽しくお仕事を進めることができて、本当に感謝です。

ツールはお客さんのための物ではありますが、より良い物を作ることで劇団員のみなさんのテンションも上げられれば嬉しいなと考えて作りました。


そんな劇団歴史新大陸の将軍が出演する舞台が年明けにあるそうです。気になる方はぜひチェックしてみてください〜!
KARASAWA時代劇【うそつきお扇】


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