【010】ポポ
お話を伺った相手:ぎね美さん
よくフロアでお会いするぎね美さんへインタビューの依頼をお送りしたところ、実は現在そんな頻度では通っておられないらしく、単に私が「ぎね美さんが偶然来られている回」を目ざとく見つけていただけ、ということが判明しました。私が怖すぎる。すみませんでした…
アイドルに熱狂していた時期がある、というシンパシーもあり今回お話を聞いてきたのですが、もう音楽がどうとかより単に話を聞けて楽しかった回になりました。
余談ですが、この企画を始めてから初めて「みんなそんなにmixi活用してたんだ…」と知ってびっくりしどおしです。インフラじゃん…
「電気(グルーヴ)に狂わされて機械の音が好きになりました」
「初めて触れたのはポンキッキーズで流れてた『ポポ』かな。そこからちゃんと電気グルーヴとして認識したのがコジコジEDの『ポケットカウボーイ』。ふざけてるのにかっこいい音楽」
「同じ音が一定繰り返されるっていうの好きだし、ズンドコしてるし、歌詞あんまないし、テクノ好きですね」
「私ほんとに文章読解が苦手で、国語全然できなかったんですよ。歌詞が入ってこないし覚えられないし、音しか分からない」
「(音楽系の部活は)苦手。リズム感がないし音も取れないし、自分でやるのは何もできねえ。音楽って脳みそより身体感覚寄りだし」
「私、長縄(跳び)とかもできないんすよ、あれリズム感必要だし、みんなと合わせなきゃいけないし。黙々と竹馬やるほうが好きだった」
「(クラブの良い所は暗いところ)あんま見えないっていう。大体前向いてみんな好きにしたらいい。音もでかいし箱の中で身体に圧をかけられているような感覚が好き。そういう癖かな…」
「フェス自体あんまり行かなくて、ソニマニとか室内がいいな…空調もあるし汚くないし雨にも濡れないし。野外はよっぽどじゃないと行かないっすよ。虫も居るし」
「前にカードの不正利用で、10枚ぐらいフジロックのチケット買われてて、何十万とか。それでカード会社から『最近まとまったお買物されました?』て電話来て『ええ???』」
「(自分が)フジロック行く人だったらまだ『欲しいよな、チケット…』ってなるけど、行かねえんだよ…ふざけんなってなった。それが私のフジロックです」
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「Perfumeは『ポリリズム』ぐらいで認識して、初めてライブ行ったら(会場のAXの)めっちゃ前のブロックに入っちゃって。モッシュがすごくて3列目くらいまで押し込められて、吐きそうになったけど(Perfumeを浴びて)信じられんくらい楽しかった。MCもただおしゃべりしててめちゃくちゃおもしろかった」
「生きててよかった。仕事でけっこうしんどい時期だったので。人間いつ死ぬかわからないし、見たいものは見られるうちにできるだけ見に行こうと思ってライブによく行くようになった」
「やっぱmixiっすね。コミュニティで『Perfumeのチケット譲ります』で声かけてくれた女の子と、譲っただけじゃなく友達になって、もう15年ぐらいになるけど今も一緒にライブ行ったりします。んで、そこから知り合いが増えた」
「(その友達らと)一緒に掟(ポルシェ)さんのDJを見に行って『クラブってイケイケでみだらな大人の世界じゃなかったの?こんなにおもしろおかしい場所なの?』」
「クラブの印象が変わったしとても楽しかった。みんな適当に踊ったりうろうろしたり酒飲んだり喋ったり自由で」
「その友達とか周りが、ちょこちょこDJイベントやってるのに遊びに行って。『とらドラ!』とか『らき☆すた』とかアニメが好きでアニソンイベントもやったりしてた。繋がりでいろんな人と知り合って、マルチネとかMOGRAとかのイベントに行くようになった」
「クラブって松たか子で盛り上がるんだ!最高!って感動したなあ」
「『私とトーフビーツ』…たぶんその辺で、tengal6の曲とかももクロのremixとかやってて、あっこれマルチネの人だ、てなって。周りも盛り上がってて、MOGRAでも観たしWIREでも観たり」
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(その後行っていたアイドル)
「箱推しだったんですよ。だから『推しが抜けたからオタ卒』とかなくて。解散してそこでやっと私も卒業」
「SPANK HAPPYをカバーしていたのがきっかけで聴いて、最初に観たライブがむちゃくちゃすぎて。完全に口パクのくせに一曲終わるたびゼエハア言ってるし、(ステージで)すげえ好き勝手なこと言うし、『なんだこいつら』て面白くって。途中からちゃんとするようになっちゃったけど」
「そもそも外出るのとか旅行とかあんま好きじゃない、でも毎回何かが起こる、見逃したら悔しいし行かなくていい現場はないので、行けるやつ全部行こうと仕事用の小さいパソコン背負ってツアーついて行って」
「3年間、こんだけ行ったらいいっしょっていうぐらい行った、もう一生分やりましたわ。ありがとうございました」
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「VTuberは(仕事が)フリーの在宅になってから見始めて、仕事中に歌枠とか雑談とか垂れ流してます。歌うまい人いっぱいいるし、ボカロとか普段聴かないアーティストとかの曲を好きなVの人の歌声で聴いて好きになることもある」
「『VTuberっておもしろいの?』て聞かれるんすけど、全員を見てるわけじゃないし、個別に好き嫌い全然あるし、『芸人って面白いの?』て言われる感じ」
「子供の頃、ウゴウゴルーガで人格形成されちゃったから、バーチャルとかデジタルとかそういう世界や音楽に抵抗もないし好きなのかも」
「Vの人って『インターネットしかない』みたいな人が多いから、その辺が好きなのかも知れないな。社会にあまり向いていない感じの…私もそっち寄りの人間なので…」
「配信(予定時間)遅刻したり、PCの設定わかんなかったり、寝落ちしたり、人のこと言えないけど『この人普段どうやって生きてんだろう』みたいな人らが活躍できてるのが良い世界だなって」
「できればその人のそのまま、ダメさもそのままの感じでやってる人が好きだなあ。きれいにまとまったりしてない方がおもしろい」
「適当な感じが好き。Perfumeも前もっとMCが多かったの私は好きだったな。気の向くままにずっと喋ってMCだけで一時間とか。今は構成もちゃんとしてる。私はできればずっとおしゃべりしててほしいけど」
「しばりが、ルールが出来てきちゃうんでしょうなあ。みんなだんだんちゃんとしていっちゃう。しゃあないです」
「できねえもんはできねえ、得意なこと好きなことをやりたいだけやる、っていう、 できるだけ人間くささをそのまま出してくれる人やコンテンツが好きなのかも知れないですね」
コントロールされた(ように思える)機械の音が好きなのにアンコントローラブルな人間性を愛してしまうの、理屈じゃないけどめちゃくちゃわかる!てなりました。愛すべき混沌!
いいお話をありがとうございました。
(2024年3月某日・日暮里の純喫茶にて)