「買う」を見直す時期?
「これはグッドイヤーウェルト製法で・・・」
「このブランドは、メイドインジャパンで、元々〇〇の製品を作っていたファクトリーブランドで・・・」
最近はネットに情報が溢れすぎて、気になった事は検索する事で、「なんとなく分かった気になる」人が多くなったように感じます。
これらは、その製品の持つ1情報ですが、あくまで1つに過ぎません。なにより最も重要な情報は、そこにはありません。
それは、
「自分にとって、カッコいい/かわいい かどうか?」
自分にとってなので、ネットに答えがあるわけがありません。
ネットで雑誌を読んで、ネットで安い店をいくつか見て比較し、セールやポイントアップの時期にベッドでポチっとして、家に届く。
今の時代、これでモノが買えてしまいます。便利な時代になったものです。そんな時代だからこそ・・・
そろそろ、「買う」という行為を見直してみませんか?
ひと昔前に比べて、ネットのおかげで消費者が「賢く」なったと思います。
ただ、簡単に情報だけでなくモノまでも手に入る時代になった事で、元々あった幸福度が下がってしまったのではないか?そう感じる事が多くなったのも事実です。
なぜ幸福度が下がっているのか?
それは、「失敗をしない」事を最優先に考えてしまうから、です。
ファッションの本質は、3色以内に抑えるだ、引き算だ、あえての外しだ、今年のトレンドは〇〇だ、見た目が9割だ、とかの「ルール」では見えてきませんし、ルールを破ったから即失敗、でもありません。
(そもそも引き算ってなんやねん?未だに分からんわ)
あえて失敗を定義するとすれば、
「どこの誰が言ったか分からないルールに縛られ、他人からカッコいいと思われる事だけを考えて、自分の内なる衝動を感じる事なく服を購入する」
これが唯一の失敗ではないでしょうか?
上にも書いたように服で大切なのは、自分にとってカッコいいかどうか、です。では、その感覚をどこで養えばいいのか?
それには、昔から答えがあります。
「良いお店」に出会う事!
私は店舗のOPENに伴い、自分が売る側に回りましたが、元々は服を買う側でした。
最初は雑誌から情報を得て、大手セレクトショップを巡る日々でしたが、ただクローゼットに服が増えていくだけでした。
(注 大手が悪いというわけでありません)
そんな中でたまたまですが、私の師匠であるKubo Classic Styleであったり、アントニオ洋服店であったり、素晴らしい個人店に出会いました。
(アントニオ洋服店のブログは、ぜひチェックしてみてください)
一番最初に久保さんのお店に行くのに、それまで個人店に行った事なんて無かったので、ドキがムネムネながら行ったのを覚えています。
ただ意を決してお店に入って、久保さんと色々とお話しながら、おそらく自分では絶対に選ばなかったであろう、イタリア製の薄いピンク色のパンツを購入しました。
(今や全くウェストが入りませんが、まだ持っています)
自分では選ばないモノを勧められる、これがポイントです。
ネットの情報全般に言えますが、自分から取りにいく情報は無意識のうちに自分のフィルターを掛けています。
最近ではAIが、「お前、どうせこんなん好きなんやろ?」とオススメしてきたりしますが、所詮はビッグデータを解析した最大公約数で、まだまだ人間様には敵いません。
それで集まる情報はどうしても偏りが出ますし、そもそもプロの視点はそこじゃない、という事もあったりします。
その殻を破る一番簡単な方法こそ、個人店にいって直接話を聞く事です。
自分だけでは選ばないモノを買っちゃう
もしこのモノが気に入らなかったら、もうそのお店には行かなければいいだけです。その選択権はもちろん自分にあります。
私はすっかり久保さんのセンスにハマってしまい、それからお店に通う事になり、服や着こなしについて教えを請う日々が始まります。後から振り返ると、この会話が、自分なりの感性を磨く事に繋がったのかな、とも。
ネットにある情報だけで頭でっかちになるのではなく、実際にお店に行って店主と話をして、プロが言語化した生の情報やアドバイスを素直に受け入れてみる。(下手にネットで仕入れた情報で張り合うのは最悪です)
これが私が感じる「買う」の見直しです。
もちろん、生活に掛かる全てのモノに対してこういうアプローチをする必要もありません。自分の趣味趣向にあったモノに限って良いです。
もう1つ重要な事があります。
お店に行ってプロに接客をしてもらったら、「他店やネットで安く買わない」という事です。
わざわざこんな事を書かないといけない事自体が情けない話ですが、例えば本屋で立ち読みしてAmazonで買うのも同じです。
生の情報は、タダではありません。
とまあ大層な事を書いてみましたが、服屋になった私が言うのも変ですが「たかが、服」です。
そんな服だからこそ、「失敗をしないように」なんて考えるのではなく、生活にほんの少しの彩りを足してくれる、そんな感覚で良い服屋さんを見つけてみるのはいかがでしょうか。
そのお店の1つに、フナナカ洋装店が加わってくれれば幸いです。