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ハルウララ

はるが きて
めが さめて
KONGさん ぼんやり かんがえた
さいているのは たんぽぽだが
ええと ぼくは だれだっけ
だれだっけ

はるが きて
めが さめて
KONGさん ぼんやり かわに きた
みずに うつった いいかお みて 
そうだ ぼくは KONGだった 
よかったなぁ

         KONG feat.まど みちお

どうも。

KONGです。

すっかり入学、進級、入社の春です。

本日は中学生の春のお話。

小学校から上がったばかりの新入生には、好きな部活へ数日間だけ仮入部できる制度があった。

色々な部活動を体験した上で、最終的に自分が入りたいと思った部活に入部する。

そんな新入生の一人だったKONG少年。

狙いは、小学校から没頭していた『バスケットボール部』一択。

そんな訳で仮入部届を、KONGをバスケの世界に引っ張ってくれた同じ小学校の石本タダシ(仮)と一緒に出しに行った。

この男がいなければKONGはバスケを好きになる事はなかっただろう。

小学校の頃もほとんど一緒に過ごす事が多く、違う遊びをしたもんなら『あれ?石本は?』と言われるぐらいで、まさに『大空翼と岬太郎』『アシベとゴマちゃん』『サトシとピカチュウ』ぐらいの関係だった。

仮入部初日。

地元でも厳しいと言われていたそのバスケ部。
練習風景。
ゴールの高さ。
先輩達の雰囲気。
小学校の世界から来たばかりのKONGから見ると、一気に大人の世界に足を入れたと実感せざるを得なかった。

先ずはお世話係の先輩に挨拶をして、コートの外から練習を見学。

先輩からは『あの人が主将』『あの人がエース』『あの人はまだ2年だけどレギュラーの○○』と解説をしてもらう。

そんな時、ボールがコロコロとコートの外にいる石本タダシの足元に転がってきた。

石本タダシがそれを拾い、コートの中の先輩に『シュッ』っとパスをだす。

するとコートの先輩達の動きが止まり、主将がこちらに歩いてきた。

「お前!石本タダシだろ!!」

そこからワラワラと他の先輩達がやってきて、石本を囲みだした。

「よろしくな!」
「○〒♪☆%々〆だな!」
「うわぁすげぇ!」
「そっくりだ!」

そう。

石本には、去年までこの中学校の主将で、しかも地元でもメチャクチャ上手い選手として名を馳せていた兄がいたのだ。

そんな「弟囲み」イベントが落ち着いた頃、仮入部の一年生達が全員別の場所へと呼び出された。

いよいよ部活動っぽくなってきたか、と思っていたら、

「今から外周を5周走ってもらいます。」

と、先輩から悪魔の一言。

「ちなみに雨の日以外、バスケ部は全員5周走ってから練習参加。」

と、更に追い討ち。

学校の外周はおよそ700メートル。
それを5周なので、約3.5キロのランニングである。

(まだ仮入部ですよねえ…なのに小学校の地獄のマラソン大会みたいな事を毎日やるのか…)

そんな風に凹んでいる間も無く一列に並ばされ、先輩が手を叩く。

「はいスタート!!」

心の準備もないまま走り出す仮入部員たち。

なんやかんやで、やがて最後の一周に差し掛かった。

長距離走が苦手なKONGは、安定の最下位をキープ。

すぐ目の前には石本がいる。

そこへなにやら休憩中の先輩方が、ゴール前から声を出し始めた。

「石本頑張れ〜!」

「負けるな石本先輩弟〜!」

「しっかり走れ石本〜」


おいおい、

皆さん、

アンパンマンと助けに来たカレーパンマンが

『あ!!アンパンマン!』


としか呼ばれなかった時の気持ちを考えた事ありますか?

だがこの展開、逆に燃えるぜ。

さらばだ石本!!

一気に石本を抜きゴールを決めるKONG!!

湧き上がる先輩たちの歓声!!

・・・などと言うことは起こらず。

結局、最下位をキープしたままゴールしたKONG。

すると先輩が歩いて来て、KONGの肩に手を起き

「ドベはもう一周な」

なんてこった…。

この部活名物『一年生レース』は仮入部、本入部した後も続き、『一年生レース』でKONGは全部最下位で、毎回ペナルティーを受ける結果となった。

しかし、この頃はまだ誰も知らない。

2年後、このオール最下位の男が主将になる事を。

それはまた別のお話で。

それでは

また!

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