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2月は君の嘘

どうも。

KONGです。

2月になる度に
「今年もあの男の誕生日が来たか」
と思い出す後輩がいる。

今日はKONGの人生で数少ない『サプライズ』に関わったお話。

それは昔。

アルバイト先にサトシ君(仮)という後輩がいて、彼がもうすぐ誕生日を迎えるということで

「よーし!みんなでサトシにサプライズを仕掛けよう!」

という事になった。

サプライズの内容は、サトシが馴染みのバーで細々とご飯を食べているところに
突然よく知る先輩たちが来店してサトシ君を囲むというもの。

みんな『サトシ!ハッピーバースデー!』
サトシ『えー!なんで知ってるんですか!うれぴー!!!』

こんな感じだ。

まあ元々このサプライズは、発起人でサトシと仲良しのリョウタ君(仮)が

「今度サトシの誕生日パーティーやりたいんですが、一緒に祝ってくれませんか?」

なんて誘いから
「オッケー!なら他の先輩も声かけてみる?」

「え!いいんすか?!人数多ければアイツも喜びます!ありがとうございます!!」


「おお、じゃあアイツも呼ぼう!」

・・・と、本人が知らぬ間にどんどんと参加人数が増えていった事によるのだが。

サプライズの流れとしては

①まず他の客に迷惑が掛からないよう、知り合いのBARにも協力してもらって
オープン1時間前に店を開けてもらう。

②サトシとリョウタが2人で軽くお祝いをしている所に、まず同僚であるKONGが偶然を装い入店。

③次に、他の先輩が入店。

④さらには、職場を辞めたサトシと縁のある先輩2人もやって来て。

⑤サトシの頭は大パニック!

完璧である

・・・筈だった。

サプライズ当日。

サトシとリョウタが2人でBARに入る所を確認して、先輩方より先にKONGが偶然を装い入店。

「じゃあ先輩たちも適当に来てやってください!」
「任せろ!」

「ターザンロープで登場してやるよぉ!」

「何でお前が先に入るんだよ!さみぃーから早く行け!」


猛獣の様にうるさい大声で喋る先輩方のトークを聞き流しながら

(ガチャ!!)

入るなり、無言でカウンターに座るKONG。

学生時代にパチンコ屋で培ったイギリス紳士も拍手をしてくれる様な、優雅な立ち振る舞いで。

「あ!あれ?!」

驚くサトシ。

そりゃそうだ。

嬉しそうな発起人のリョウタ。

そして優しい笑みを浮かべるBARのオーナー。

KONG人生で、俳優としての才能を光らせていたこの瞬間。

スマートに、さらに優しく、曇りなき眼(まなこ)でサトシの肩にポンと手を置くと同時に一言。

「誕生日おめでとう」

「なんすかそれ。
自分誕生日じゃないですよぉ!www」

いるいる、テストで良い点とって『勉強してないよぉ』って言うタイプの人間。
恥ずかしいのかな?
可愛いヤツだ。
でもなんだろうこのモヤモヤは。

「いやいや!!改めて!おめでとう!」

「いや、違いますよぉ!!ww
なんすかこれ!?w」

リョウタを見ると何やら顔が青ざめている。
フリーザ最終形態を目にしたベジータのように。

オーナーは目が点だ。

リョウタが恐る恐る、禁断の質問を口に出した。

「え?・・・今日・・・誕生日だろ?」

サトシが言う。

「え?来月だよ?」

天空の城の如く何かが崩れ始めた。

なんてこった。

(ガチャ!!)

「おらぁーサトシいいいい☆€〆○%$!!」

「おめでとう!!」

「ぁぁッピーバーースデーーー!!」

冷え切った空間になだれこむ先輩たち。

もう訳がわからん。

驚くサトシの隣で、リョウタが静かに立ち上がり、先輩たちに言った。

「すみません・・・。

誕生日・・・来月でした」

時が止まったように固まる先輩たち。

その一人が言った。

「なんだ・・それ・・・俺達へのサプライズはいらねぇよ」

そして

「お前の誕生日は2月だ。」

こうして、3月産まれのサトシ君は2月を誕生日にされたのでした。

それでは!

また!

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