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君の知らない物語

ある日の事。

喫茶店でGET BILL MONKEYSとA&Rの和田さんでミーティングが行われた。

「ワンマンライブをやりませんか?
場所は…

"JZ BRAT SOUND OF TOKYO"で…」


脳裏を過ったのは、強烈な思い出を残した
    『Once Dance Romance』

あれから2年。

このお話は、完全なる2部構成として帰って来た

『Once Dance Romance
      〜SpringEdition〜』


の、知られざる物語である。

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迎えた当日。

我々のLiveはステージ上でのハプニングはあまり起きない。

そう、

ハプニングが起きるとすれば毎回ステージ外なのだ。

1部は『morning』
パジャマ姿で登場し、
終わったらスマートに2部の準備に取り掛かる為、2部の更衣室である車に向かい今回"初披露"の新衣装に着替える。

『失敗は許されない』

その為メンバーは流れを入念にシミレーションする。

それと同時に新衣装のチェックも行う。

まずは、前回存分にドタバタコメディーを披露してくれたメンバー『ノロナオキ』

『寝坊』『忘れん坊』『食いしん坊』と見事に三拍子揃った『ノロナオキ』が、ソワソワしながら新衣装を楽屋で確認する。

もちろんノロ以外のメンバーも『万が一』のハプニングが"お約束事"になりつつある為、同様にチェックをしていた。

数分間のゴソゴソの後、新衣装をメンバー全員がしっかり準備している事が確認され、少しピリついた楽屋に安堵の空気が流れた。

そして、ここからが2年前の経験を活かしたシミレーション。

『着替える車の中で"アレもないコレもない"とバタバタしない。』

この経験を脳内再生し、今回は新衣装とその他の備品(携帯、私服等)を、それぞれが一つにまとめ一箇所に置く。

パッと見でわかる5つのケース達。

5人の頭脳を集結した準備。

隙は微塵もない。

一仕事終え、ここまでなかなかスムーズに事が運んでおり、メンバーも少しリラックス出来ている。

ちなみに、このリラックスな状況を作ってくれた影の功労者は、KONGの友達『ウルトラ寿司ふぁいやー』のドラム、翼である。

彼が誰よりも早く会場入りして、厄介なドラムの搬入、セッティング、チューニング、さらに他のメンバーのステージ周りでの不安(電池交換等)を全て手伝ってくれており、なによりKONGのメンタルケアをしてくれていたのだ。

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その数分後。

お客様の会場時間になり、各々一部の衣装『パジャマ』に着替え始めた時、

「あっれぇー?」

聞きたくない言葉がカーテンで仕切られた楽屋に響く。

声の主は勿論この男。

ノロナオキ。

上下パジャマ姿になったこの男がソワソワしている。

見た感じ、何も『あれ?』要素が見当たらない。

湯口翔平が半笑いで聞く。

「えっ…なに?」

ポケットが付いていないパジャマにも関わらず、腰あたりをパンパンしながらノロナオキも半笑い。

その愛くるしい姿はまるでペンギンのようだ。

だが、
次に口を開く時は、耳を疑う一言を放つに違いないので、

(どうか…その可愛いパジャマ姿で何も言わず眠って欲しい)

と神様に祈った瞬間

「やっちゃったぁ〜


サングラスがない〜」

……

…祈り届かず。

静まりかえる楽屋。

恐らく、この時渋谷で1番静かな空間を作り上げたノロナオキ。

ノロナオキにサングラスがないだと?

ドラえもんの4次元ポケット。

ジャムおじさんの帽子。

ノロナオキのサングラス。

自分の大切なアイテムを忘れるとは何事だ。

だが、
不思議と焦る人物はいない。

ノロがボソッと言う。

「…買いに行けるかなぁ。」

おいおい。

眠りにつかなかったくせに寝言を言うな。

だが…

神様は居たのだ。

重いカーテンが開き和田さんが入ってくる。

恐らくカーテンの外で聞いていたのだろう、

「サングラスなら、車にあります。」

まさに救世主。

和田さんは即座に車に向かい、2つのサングラスを手にして楽屋に戻って来る。

1つノロに渡して、渡されたサングラスを装着するノロ。

これでひと安心。

と、思っていたが、ノロ本人は少し首を傾げ鏡を見ている。

すると、

「……一応…こっちもあります。」 

と、もう一つのサングラスを見せるが、そのサングラスに纏わるエピソードを話し出た。

その話から『とても大切な物』だと理解でき、遠回しにあまり貸したくないオーラも伝わってきたが、

相手は『ノロナオキ』

半笑いで

「これにしまぁ〜すぅ♪」


と、和田さんの大切なサングラスを装着して、ノロナオキが完成したのである。

お気付きだったろうか?

この男のサングラスが違った事を。

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こうして、

アレよアレよと一部が終了。

新衣装に着替える車に向かう為、会場の外に出たメンバーに和田さんが声をかける。

「衣装はもう車ですか?」

数秒の沈黙。

「えっと…楽屋で…一箇所にまとめてます…」

和田さんは

「……ちゃんと共有してください…

お客様が出てくるかもしれないので…

早く車に行ってください…。」

そう言われた、ズッコケ5人組は急いで車に向かう。

だが、

車の前に到着するも、誰も車の場所を伝えておらず、さらに携帯を持っていない状況で、パジャマ姿の5人がオシャレな建物の駐車場で立ち尽くすのだった。

その後、『逃走中』のハンターのように、和田さん、翼、さらにモンコックさんが走り回ってくれたおかげでお着替えが成功。

何事もなかったかのようにライブを行えたのでした。

めでたしめでたし。

それでは!

また!

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