流れ星キラリ
どうも。
KONGです。
本日も前回同様、正体不明の社長(通称:BOSS)とユニークなお客様達を中心に日々珍騒動が繰り広げられた、靴屋の体験記。
しかし、珍騒動を起こすのは毎回社長やお客様だけとは限らない。
KONG自らが騒動を起こしてしまう場合もあるのだった。
この靴屋さんも一般の会社同様、休憩時間があるのだが、
決められた休憩時間とは別に、お店のピークが落ち着いた時には社長の計らいで小休止、
つまりは「一服タイム」のような憩いの時間が随時設けられていた。
この日もお客さんが
ドドドっー!!!
と流れてきて大奮闘。
「いらっしゃいませ!」
「ありがとうございました!」
「いらっしゃいせー!」
「ありがとーしーたぁー!」
「しゃーせ!」
「あとーんす!」
……
…
しばらくしてピークも去り、落ち着いた時間がやってきた頃。
BOSS「カイちゃん!お疲れ様!先に一服しちゃえよ!」
KONG「あとーーーんす!」
BOSS「ほれ!これやるよ!」
KONGに休憩を促しながら、BOSSが後ろからゴソゴソと何かを差し出してくれた。
みんな大好き!栗山米菓の大ヒット商品
『星たべよ』
である。
前回のnoteを読んだ方は分かると思うが、BOSSははっきり言って素性不明。
一言で表すなら「怖い人」なのだが、このような従業員思いの優しい一面もしっかり持っていた。
しかし。
この日はいつも以上にお店にお客さんが来ていて、KONGの疲れはかなりのものだった。
喉もカラカラ。
とにかく今すぐ何か飲み物を買いに行きたい。
正直このタイミングで、おかき系のお菓子である「星たべよ」が目の前に出てきても、KONGの体が受け付けなかった。
とはいえ素直に受け取ればよかったものの、この時のKONGは余裕がなかった。
「ありがとうございます!今は結講です!」
と自分なりに丁重に断った。
するとBOSSが
「あ?いらねぇのか?
俺がやるって言ってんのに。断るのか?」
おや?
社長の様子がおかしいぞ?
初代のポケモンだったらBボタンを連打したくなるシチュエーションになっている。
「あ・・・失礼しました!いただきます!!」
すかさず精一杯の元気でフォローしたKONG。
しかし時すでに遅し。
「さっきのが本音だろ?
別に無理矢理あげたくねぇんだよ。
『いらねぇ』ヤツは『いらねぇ』でいいんだよ」
そう言うとBOSSは、テーブルの上に「星たべよ」を放るように置いて去っていった。
ポツンと置かれた2枚入りの「星たべよ」。
・・・やってしまった。
もう休憩にすら行き辛い雰囲気だ。
「・・・すみませんでした」
KONGは小さな声で呟き、「星たべよ」をポケットにしまうとそのまま仕事に戻った。
……
…
その後も店内は慌ただしく、バタバタしていたのだが、気付いたらBOSSも
「今日は忙しいなぁ!カイちゃん!」
と、いつものニコニコしたBOSSに戻っていた。
よかった。
機嫌が直ったようだ。
心のBボタン連打が効いたのだろうか?
そして閉店間際に恐らく最後のお客様であろう人の、最後の接客をしていたKONG。
その後ろでニコニコと見守るBOSS。
(今日はこの人で最後かな?)
と、そんな落ち着いた雰囲気の中・・・・・・事件は起きた。
KONGが最後のお客様に靴を履かせようと、しゃがんだ瞬間・・・
ウィンドブレーカーのポケットからポトリと
『星たべよ』が落ちた。
「あぁん?」
後ろから聞こえてくる怖い声。
振り返る事が出来ないまま、最後のお客様の接客を終え、レジにお金を持っていった時にチラッとBOSSの顔を見たら、
親の仇と言わんばかりの目つきでKONGを睨みつけているではないか。
KONG「す、すみませんでした。
せっかくご厚意でいただけたお菓子だったので、いただきました……」
BOSS「お前は泥棒か?
警察に突き出してもおかしくねぇだろ?
な?
わかんだろ?
『いらねぇー』っつたんだからアンタのじゃねぇーだろ?」
最後の最後でなんてこった!!!
せっかく鎮火していたBOSSの怒りに再び火がついてしまった!!
もっと頑張れよ!!
俺の左ポケット!!!
平謝りのKONGに対してBOSSが言う。
「警察には言わねぇよ?
でも、給料から引かせてもらうからな?」
と閉店の準備が始まり、その日は終わりを迎えた。
その後、給料から「星たべよ」分が本当に引かれていたかというと、引かれてはなかった。
やっぱりBOSSは優しかったんだ。。。
それでは!
また!