キャンプファイター
どうも。
KONGです。
夜は涼しく、日中は暑くなってきたこの頃。
本日はKONGが小学5年生の林間学校で体験したキャンプファイヤーでのお話。
さてさて。
林間学校といえば、緑に包まれた大自然の施設に宿泊する大イベント。
とはいえ、内容は至ってシンプル。
日中は大自然で遊んで夜はキャンプファイヤーを囲む。
当然ここで行われるキャンプファイヤーは、
火を囲んで『ぼぉ〜』と眺めるだけではなくレクリエーションが組み込まれていた。
そのレクリエーションとは、
各クラス毎、『見ている人が楽しめる出し物を披露する』コンセプトとなっており、歌、劇、ダンス等、いわば宴会芸のようになんでもござれだが、難点をあげるとしたら"クラス全員"での参加が必須な事ぐらいだった。
林間学校の当日まで、各クラスでは学活の授業で"出し物"の話し合いの時間が設けられる。
歌がいい。
クイズがいい。
モノマネがしたい。
アホな男子は肝試しとか言い出す。
紆余曲折しながらKONGのクラスは『劇』となるのであった。
『劇』と決まれば話は早い。
黒板には
題名、配役、係り等が決められていく。
小学生の知恵を集めた結果、
当時話題の"金田一少年の事件簿"といったサスペンスホラーの流行も取り入れた60%パクリの方向で『劇』の話が進んで行くのだが、肝心な題名が決まらない。
【5年1組の事件簿】
【名探偵〇〇】
【林間学校怪奇ファイル】
【サイコメトラー〇〇】
もはやパクリ要素が90%に達した時、とある女子の言った題名が小学生の心を掴む。
そのタイトルは
【その時、とつぜんに】
まさにサスペンス。
クラスが一つの目的に進み始めた時、隣のクラスのイシヅカヒロシくん(仮名)が偵察に来てKONGに話かける。
「お前のクラス何するん?」
黒板を指差すKONG。
ヒロシは黒板を見るやいなや
「うわぁ!だっせー!
チョーつまらなそう!」
小学生の無慈悲で残酷な言葉が放たれる。
ヒロシの言葉に少し腹が立ったKONGはヒロシに質問をする。
「なら、そっちは何するん?」
ヒロシは胸を張り、親指を立ててこう言う。
「おれのクラスは
『ストリートファイター』
やけぇね!」
ん?
『すとりーとふぁいたー?』
思わずKONGは
「それってなにするん?」
と尋ねるが、
「え?笑
カイちゃん知らんの?笑
ストリートファイターよ!」
そう言い、ウヒャウヒャと小馬鹿にしながらヒロシはクラスに去っていき、授業終了のチャイムが鳴り響いた。
授業終了の小休憩でKONGはヤキモキしながらヒロシのクラスに向かい、ヒロシにもう一度尋ねる。
「ストリートファイターってなんなん?」
ヒロシや周りのヤツらはドヤ顔で黒板を指差し、差された黒板には、文字通り
『ストリートファイター』
と、書かれている。
そしてヒロシが少し照れくさそうに自分を指差し
「おれ!リュウ!」
と言ったが、
「いや、ヒロシだろ」
と、言い返し、ふと見渡したクラスの女子達は、何故かどんよりしていた。
それからも何度質問をしようと、
『すとりーとふぁいたー』
としか返答がなく、黒板の情報もストリートファイターのキャラクターの下にそれぞれ名前があり、
リュウ→ イシヅカ ヒロシ
ケン →〇〇〇〇 〇〇
………
と、書かれているだけで、一体何を披露してくれるのか謎のままKONGはヒロシのクラスを後にした。
ただ一つ、
KONGは見逃さなかった。
ダルシムが3人いた事を。
こうして迎えた林間学校。
素敵な汗をかき、大自然のパワーを吸収した小学生達は、陽が落ちるにつれてキャンプファイヤーの不安や楽しみを胸に抱える。
キャンプファイヤーの出し物は、クラス順に披露される事となり、トップバッターを飾った我々1組の
【その時 とつぜんに】
は、死体役が飛び回る虫から逃げたり、立ち上がったり、走ったり、更にイシヅカ組のちょくちょく飛んでくる、
「つまんねぇ」
等の野次と笑いに包まれて幕を閉じたのだ。
あれよあれよと時間は進み、残すは謎に包まれたイシヅカ組の『ストリートファイター』だけとなる。
KONGのクラスだけではなく、他のクラスにも、野次を飛ばし
「おれ達の方が絶対おもれー」
と、敵を多く作り過ぎていた『ストリートファイター』が遂にベールを脱ぐのだ……。
まず、
パチパチと燃えるキャンプファイヤーの前に、レフェリーと思われる男子が立ち、
「ふぁい!!」
手を振り上げると、男子軍団がストリートファイターのキャクターの動きをしながら戯れあっている。
女子達はステージの壁面のように、応援するような動きを無言でする。
何が何だかわからない。
見学している他クラスもキョトンとしている。
ゲームキャラを知っているKONGですら、誰が誰だかわからない。
3人もいるダルシムも見つけられない。
誰が優勢なのか。
聞こえるのは小学生独自の効果音
「どぅくし!」
女子は泣きそうだ。
早く終わってオクラホマミキサーを踊らせてあげたい。
数分後、レフェリーが真ん中に立ち一声かける。
「たいまっぷ!」
(おそらくTIME UP)
そして、
ヒロシ
いや、
リュウの腕を掴み、
こう叫ぶ。
「ユーミン!」
誰だよ。
喜ぶヒロシ、いやリュウ、いやいやユーミン。
悲しむ女子。
悔しがるファイター達。
こうして
ストリートファイターいや、
キャンプファイターによって、
『喜怒哀楽』全ての感情を大自然に放出させたキャンプファイヤーは幕を閉じたのでした。
それから数年後、
「ユーミン!」の正体が「YOU WIN」と知ったのは、
また別のお話。
めでたし、めでたし。
それでは!
また!