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文章の書き方の基本は、日本語も英語も同じ
もうすぐ小学1年生になる友達に手紙を書きましょう。1年生の生活のどんなところが楽しいか教えてあげましょう。
これは、小1の息子のある日の宿題です。息子は、アメリカの公立小学校に通っています。
ただの作文ではなく、心に「誰か」を想定して手紙を書くなんて、粋な宿題じゃないかとわたしは思いました。
もうすぐ小学1年生になるといえば、我が家の娘です(今年の8月から1年生になります)。ちょうど娘あてにお手紙を書いたらいいじゃない、ということになりました。誰に向けて書くのかがはっきりしている方が書きやすいはずです。
早速息子は手紙をしたため始めました。
Dear ●●(娘),
First grade is so fun! …
我が家では、宿題をする時間は、いつも夕飯の後と決まっています。わたしはごはんの後片付けをしながら横目で見守っていました。
息子の周辺にあるお皿やコップを回収しているときに、紙に書き進めている文字がふと目に入りました。
First thing to do is morning work. Next, …
どうやら、小学1年生の毎日のルーティンを説明しようとしているようです。
モーニングワークとは、午前中に取り組むプリント学習のことで、新しい単語を練習して文章を作ったり、算数の計算問題を解いたりします。
それでもいいんだけどな、息子よ。
わたしは、つい口を出してしまいました。
「これは、1年生になったらこんな楽しいことがあるよって教えてあげるお手紙でしょう。だから、君が楽しいと思うことを書けばいいんだよ。」
息子は、わたしを見つめて、そうか、という顔をしました。でも、いざ書こうとしても、何から書いていいやらわからない様子で、手が止まってしまいました。
最近、毎日noteを書いているわたしには、その感じが身につまされるほどよくわかりました。ネタは決まっているが、どう書くか。どんな材料をどう調理して仕上げるか。いきなり自由に書いてごらんって言われても、難しいよね。
英作文は本来ならパパの出番なんだけど、今日はママの出番だな。わたしは勝手にきっぱりとそう感じました。
よし、まずは書く材料集めからいこう。
わたし「モーニングワークをするのは楽しい?」
息子 「うーん、そうでもない」
わたし「じゃあ、なにをする時間が楽しい?」
息子 「お昼ごはんを食べる時間!」
わたし「そっか。お友達とお昼ごはんを食べるのは楽しいよねえ。でも、キンダーガーテン(小学1年の前年の学年)にもお昼ごはんの時間はあるよ。キンダーガーテンと1年生とで違うところはある?」
息子 「1年生はお昼ごはんの時間が早い!」
わたし「そうだね。じゃ、お昼ごはんが早く食べられるよって書いたらいいんじゃない?」
息子は、手探り状態から、答えになるものを探し当てたことで、ぱっと明るい表情になりました。早速文章にして書き込みます。
The first fun thing is early lunch.
もうちょっと説明がほしいところだけど、まあよしとしよう。
一つ例を出したところで、「こんな感じでやってごらん」とわたしは言って、残りは自分で考えてみるよう促しました。
後片付けがひと段落し、テーブルに座ってパソコンをかたかたし始めたところで、息子が隣の席にやってきました。宿題の紙を手に持っています。
「ママ、残りも手伝って。ママにはいいアイデアがあるみたいだから」
息子には、書く材料をもっと集めるのに壁打ち(相談)できる相手が必要なようでした。それもわかるなあ。それに、「ママにはいいアイデアがある」なんて言われてまんざらでもない気持ちになり、いいよと快諾しました。
「キンダーガーテンのときから変わったことで、君が嬉しいと思ったことを考えてみたらいいんだよ」
「あ!キンダーガーテンではiPadを使うけど、1年生になったらノートパソコンが使える!」
「お、いいね。娘ちゃんもそれは喜びそうだね。」
Next, you will get a laptop instead of iPad.
2つ目の材料が調理できました。
「3つくらい挙げられたら十分だから、もう一つ考えてごらん。」
息子は、うーんと頭をひねります。
「遠足はどうだっけ?1年生の遠足で楽しかったところ、ある?」
「国立動物園!」
即答でした。いいね、いいね。
国立動物園はワシントンDCにあって、学校が休みの日にたまに家族で行きます。国立というだけあってこのエリアでは一番立派な動物園です。その遠足の行先を知ったとき、息子が「遠足でDCの動物園へ行けるなんて!」と大はしゃぎしていたことを思い出しました。
The last fun thing is the field trip. You can go to the National Zoo.
これで3つ出そろいました。いいんじゃない。最後に一言添えてあげたらいいね。
Have fun!!!!!!!!!!
びっくりマーク(!)でスペースを稼ごうとする息子。そういうことはすぐ思いつくんだね。
でも、一日のルーティンを並べたお手紙より、格段にいいものができたと思うよ!
文章を書くときはオリジナリティが大事ですよね。自分だからこそ書けることに焦点をあてる。文章を書くことは、自分との対話の積み重ねのような気がします。
それは、日本語だろうが、英語だろうが、同じ。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
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