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新年『アンナチュラル』自主一挙放送をしました


新年初投稿です。


年末年始の楽しみといえば、わたしは真っ先にテレビの特番を思い浮かべてしまいます。バラエティ番組、音楽番組の長時間SPは特に毎年楽しみにしているのですが、最近はドラマの一挙放送もよく目にするようになりました。

なかでも、わたしは今回の年末年始一挙放送で、ひとつ楽しみにしていた作品があります。2018年、TBS系金曜22時枠で放映されていたドラマ『アンナチュラル』です。

地上波一挙放送、めちゃくちゃ楽しみにしていた… のですが、すっかり録画を忘れてしまい、結局テレビでの視聴ができませんでした。めっちゃ悔しい。
絶望に暮れていると、さらに『MIU404』を観るために登録したParaviの解約日を1日遅れで覚えていて、もうひと月契約してしまうことに。無料期間にそこまで使いこなせていなかったのに、やってしまった…!

じゃあこのご縁に、Paraviで『アンナチュラル』自主一挙放送をしよう!

ということで、この年明けにはnoteも書かずにひたすら『アンナチュラル』を観ていました。結果、1日で完走してしまいました。

この感想をしたためることで、今年のnote初めとしたいと思います。
極力ネタバレは避けていますが、わずかに言及している部分もあるため、未見の方はご注意ください。

※1/4あたりから書き出してはいたのですが、途中で急に飽きて完成までにやたらと時間がかかりました。せっかくなら書き終えておきたいし、この気持ちもまるごと記録してしまうのもいいか… と思ったので、供養のつもりでアップします。



『アンナチュラル』とは

まず、この『アンナチュラル』とはどういうドラマだったのかについてから、お話していきたいと思います。

2018年1〜3月に放映されていたこのドラマ。昨年注目を集め、わたしもどハマりした『MIU404』、また1月2日には異例の2時間半新作SPが放映され、改めてフィーバーを巻き起こした『逃げるは恥だが役に立つ』の脚本を担当されている、脚本家・野木亜紀子さん初めてのオリジナル連ドラ作品としても注目を集めました。

本作の主人公、石原さとみさん演じる三澄ミコトは法医解剖医。日本には150人ほどしか登録がなく、日本の解剖率は先進諸国と比較しても圧倒的に少ないそうです。その状況を改善するために設立された、という設定の架空の機関・不自然死究明研究所(UDIラボ)が作品の舞台となります。
この設定から分かるとおり、ストーリーは毎話、UDIラボに運ばれてくる遺体の解剖から動き出します。生々しい描写も少なからずあり、正直正月に観るものか…? というと何とも言いがたいところがありますが…
しかし、「何も言わない」遺体の代わりに、その裏側にある出来事や被害者の思いに丁寧に寄り添う描写は、他の医学ミステリーとは一線を画す内容となっています。


「声なき被害者」に寄り添うということ

各話それぞれ事件が起こり、1話完結形式でそれを解決していくという手法はミステリードラマの定番です。わたしは、近い構成の作品では、2007年放映の『ガリレオ』は全シリーズ+劇場版を映画館に観に行くほどハマっていました。

ミステリーは基本的に「犯人のトリックを暴く」ことが話の肝。犯行方法が明かされるところが話のクライマックスで、その後はかなりあっさりと終わります。事件の裏側は、犯人や刑事役の説明語りでのみ明かされることがほとんどです。
1話45分で起承転結をつけるには、山場がいくつもあってはどこを見せたいかが曖昧になってしまうことが、この構成をとる理由でしょう。

しかし、この『アンナチュラル』では、事件の解明というミステリー要素は残したまま「どうしてこの被害者は死ななければいけなかったのか?」を解明することをメインに据えています。このコンセプトだからこそ、事件の解明と、ミコトたちが向き合うご遺体=「声なき被害者」に寄り添おうとする姿勢を表現できているのだと感じました。


わたしがこの姿勢を最もよく感じたのが、7話「殺人遊戯」です。
いかにも物々しいタイトルがついていますが、とても悲しい、切ないお話です。”犯人”を名乗る人物の意図を汲み取り、寄り添おうとするミコトの姿に、彼女と本作のポリシーを強く感じました。
ここでは内容の詳しい言及は避けます。未聴の方はぜひ公式HPのあらすじや、本編を観ていただければと思います。


主題歌「Lemon」

また、このドラマを語るうえで欠かせないのが、主題歌である米津玄師さん「Lemon」の存在です。米津さんの、唯一のテレビ出演(2018年・NHK紅白歌合戦)での歌唱曲でもあります。ドラマは未視聴でも、この曲は聴いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。

この曲は、ドラマの主題歌のために制作された書き下ろし楽曲です。また、制作中に米津さんのお祖父様が亡くなったことも重なり、「あなたをなくして悲しい」という現在のテーマにたどり着いたとのこと。

ドラマはリアルタイム未視聴、さらに「マトリョシカ」MADが氾濫していた世代で(MADて…)、米津さん楽曲は以前から知っていたわたしは、紅白ご出演に際し「お祖父様に向けて書かれた曲」ということだけを、先に情報として覚えていました。

毎話ラスト、絶妙なタイミングで「夢ならばどれほど良かったでしょう」とあの歌い出しが流れるさまは、まさにこの「Lemon」が、このドラマの一部分として欠かせないことを証明しています。特に9話、いつものエンディングでなくクライマックスのシーンで流れる「Lemon」はあまりに、井浦新さん演じる中堂系の苦しむ姿とぴったりで…

爆発的ヒットをした曲は、おしなべてサビだけが切り取られてしまい"全体の世界観"を知られる機会を損失してしまうことが多いと感じています。お恥ずかしいことにわたしも「Lemon」をそのように聴いてしまっていたのですが、この曲の本質にある「大切な人を喪った悲しみ」が、これほどまでに"残された人々の気持ち"にぴったり寄り添うものだったとは。
このドラマを観て、「Lemon」という曲がもっと好きになりました。


そして『MIU404』へ

このドラマは大注目を集め、第55回ギャラクシー賞テレビ部門 優秀賞をはじめ多数の賞に輝くなど、非常に評価も高い作品となりました。続編も期待されているなか、2年後の2020年に同枠で放映されたのが、前回noteにも取り上げた『MIU404』です。『アンナチュラル』とは、脚本の野木さんをはじめ、制作チームが同じという環境で制作されています。

野木さん曰く、『MIU404』は『アンナチュラル』の批評、やりきれなかった部分を回収する目的を含んで書いた作品とのこと。

確かに、舞台となる職業が違うことももちろんその理由ですが「被害者に寄り添う」ミコトら『アンナチュラル』の世界と「加害者側の声を拾う」伊吹・志摩ら『MIU404』の世界では、事件の描き出し方が変わっています。

『MIU404』であれば、きっと白井くんが今後どんなふうに生きていくのかに触れているでしょう。そして『アンナチュラル』のように、相棒の"かつての相棒"の死に伊吹は寄り添います。(この事件に、実は小さく『アンナチュラル』とのクロスオーバーがあるという小ネタもあるのですが!)

この2作を観て、野木さん脚本の進化と本質にすこし触れられたような気持ちになりました。


結論、ドラマを観るのは楽しい

年に1作程度しかドラマを観ない人間でしたが、いろいろなタイミングがあり、ここ1ヶ月で2本もドラマを観てしまいました。作品を長時間観続ける体力が意外とあったことに、自分でもびっくりしています。

そして、改めて思うのが「やっぱりドラマって面白いな〜!」ということ。映画をよく観ていた時期もありましたが、特に邦画は脚本のテンポ感があまり好みじゃない作品が多いというか、観終わったあとに「いやここの描写こんだけかい」と思うことが多々あり…
ドラマはやはり長尺なのもあって、各話ずつ(比較的)丁寧に人物描写をする作品が多く、観ていて感情移入をしやすいところがやっぱり面白いなと思いました。


映像のサブスク、入ったら入ったで楽しいですね!次はなかなか観られなかった仮面ライダーシリーズを一気見したいです。
と思ったらParaviは電王しかなかった…(逆になぜ電王は配信している?)

HuluかdTVあたりに切り替えるかな…?



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