大学受験の思い出、音楽編
※ 一旦通し読みしましたが、受験に直接役立つような内容には仕上がりませんでした…
初めての「大学入学共通テスト」が終わり、早くも2週間が経とうとしています。もし万が一、受験生でここにたどり着いた方がいらっしゃれば、まずは労いの言葉を贈らせて頂きたいと思います。最初の戦い、お疲れさまでした。
大学受験はわたしも経験しましたが、なんかもう遥か昔のような気持ちで振り返ってしまいます。実際そこそこ昔だし、わたしは3日前の晩ご飯も思い出せないんですけど…
今、またほぼ受験のような「就活」という戦いの中に身を置いていることもあって、共通テストのニュースを見て、わたしもなんとなく、自分の大学受験のときのことを思い出したくなりました。
そこで、記憶の端々をなんとか辿ってみたところ「大学受験の勉強中に聴いていた音楽」を少しずつ思い出してきました。なんて懐かしい!
当時ぶりに、その頃よく聴いていた音楽を聴いてみたのですが、当時の思い出も含めて新たな発見がいくつもありました。楽しい。
なので今回は、わたしの大学受験期の頃について、聴いていた音楽を中心に振り返ってみようと思います。
「気を紛らわす」ための音楽
初めに、わたしが受験期、どのように音楽を聴きながら勉強していたかについてからお話します。
そもそもですが、「勉強中に音楽を聴くのはよろしくない」と言われています。
受験会場は無音なので、その環境で集中して問題を解く練習をしておかないと、本番の環境で十分なパフォーマンスが発揮できなくなる、というようなことが理由だったと記憶しています。わたしも言われていました。完全に無視していました。
理由は3つあります。
① 単純に音楽が好きで、聴くことでメンタル維持をしているから
② 外出時は、イヤホン+流れる音楽で周りの雑音をブロックできるから
③ わたしがかなりのビビリで、夜、無音環境の部屋にひとりでいるのが怖いから
ほぼ③の理由でした。
そのため、勉強中はその音楽をちゃんと「聴いて」いるのではなく、ただ気を紛らわすため、"1人じゃない感"を出すために音楽を「流して」いました。なので、受験期に聴いていた曲は歌詞の記憶が基本的にありません。
普段聴いている、軽音楽部でコピーしていた曲(UNISON SQUARE GARDEN、ストレイテナーなど)や元々好きな曲(THEE MICHELLE GUN ELEPHANTなど)は、テンションを上げる目的にはよかったのですが、次第に曲のほうに集中してしまうので考え込む問題には向かず、勉強中はやめておくようになりました。
そうしてわたしは、これまでに聴き馴染みのない「勉強のときに聴く」ための音楽を探すようになっていきます。
BPM? 歌詞?
といっても、軽音楽部所属、当時は国内アーティストを少しずつ新規開拓していくのが楽しみだったわたしにとって、意識的に「これまでと違う音楽に触れる」というのはなかなか難しいことでした。そこで、まずはロックよりもポップ、それも曲調的にゆったりした感じの曲ならいけるんじゃないか? と考えました。
そのときに出会ったのが、星野源『エピソード』です。
当時聴いていた『Stranger』とはまた違う、アコースティックギター中心のシンプルな音色と、何より星野さんの深みのあるやさしい声。テンポもゆったりとしていて無駄にテンションを上げてこないし、勉強にもいい具合に集中できました。でも何度も聴いていると、次第と歌詞の日本語が目立って聞こえるようになってきてしまいました。
そこで、次に選んだのがSAKEROCK『SAKEROCKの季節 BEST2000-2013』です。
Spotifyでは配信してないみたいでした…
ご存知の方も多いことかと思いますが、SAKEROCKといえば星野源さん、浜野謙太さんらが所属されていたインストバンド。そう、そもそも歌詞のないインストなら、歌詞に引っ張られることもなく勉強に集中できると思ったのです。
でも、結果はだめでした。1曲目の「慰安旅行(DEMO Ver.)」の音色が楽しすぎて、ノらずにはいられなくなってしまったからです。
インストでもだめなんて…
曲のBPMも、歌詞の有無も、わたしの集中力には特に関係がなかったようでした。
48:13
BPMがゆっくりでも、インストでもしっくりこなかった…
これは日本のアーティスト以外の曲を聴いてみろということだ! と思ったわたしは、少ない知識のなかから、海外の音楽へと目を向けるようになります。
そこでたどりついたのが、Kasabian『48:13』でした。
このショッキングピンクのジャケ、最高に懐かしい!
Kasabianはこのもうちょっと前から聴いていて、ベタに「Underdog」とかが好きでした。「Club Foot」が、[Alexandros]改名直後ツアーの開演前SEに使われていたのも覚えています。でも当時は、同じ世代のバンドならどちらかというとArctic Monkeysのほうが好みだったのもあって、そんなに詳しくないバンドでした。
このアルバムを知ったのも、元々Kasabianを知っていたこと、さらに当時(2014年)がリリース直後のタイミングで、特に目新しく映ったからでした。
Arctic Monkeysも前年に新作『AM』をリリースしていますが、このアルバムを知った頃には「十分聴き倒した」感覚があり、あまり聴かなくなっていました。このことも、『48:13』に目が向いた理由かもしれません。
このアルバムが妙に勉強中にハマり、その後勉強するときは大体、この『48:13』を聴いていました。なぜかあまりにハマったので、正直メロディの記憶も「bumblebeee」「stevie」くらいしかありませんでした。
(もはやこれは聴いていたと言えるんでしょうか…)
改めて聴く
改めて聴いてみましたが、まずこのアルバム、なんかめっちゃ音圧高くないですか? 特に「bumblebee」のイントロなんてなかなかの騒がしさ。
でも、これがなぜか当時のわたしにはBGMとしてハマりました。賑やかな音が「気を紛らわす」には最適だったのかもしれません。
またアルバム全体として、シンセや打ち込みなど電子音も多いサイケデリックな感じで、過去3作とは明らかに雰囲気が違います。インタールード(インスト曲)を使って3部構成としているのもめちゃくちゃコンセプトを感じる。そのコンセプトを感じようと歌詞の翻訳にもトライしてみましたが、全曲訳すのは難しくてまだできていません…
アルバムのWikiも英語版にしかなかった(泣)英語の勉強になります…
WIki掲載の各紙レーティングを見ると、本国・イギリスでも賛否両論のアルバムだった、というのはなかなか興味深かったです。確かにクセは強めかもしれない。
(でも、過去一番全体的に評価が高かったのが、Spotifyでも再生回数少ない『Velociraptor!』だったのが一番興味深かった…!)
と、ちょっとWiki等を調べて楽しくなってしまいましたが、歌詞の翻訳に挑戦していたとき、特に目に止まったのが「Stevie」の歌詞でした。
まずは、地元レスターでの凱旋ライブでの映像を。
そして、特に耳に残った歌詞がこれです。
And all the kids they say
We'll live to fight another day
We'll live to fight again
(若い奴はみんなこう言う
今に見ていやがれ
いつか見返してやる)
And the ordinary people
Living ordinary lives
There's more than just existence
I see the fire in your eyes
(普通の人生を生きる普通の奴ら
「生きてるだけ」で本当にいいのか?
お前だってやり返してやりたいんだろ)
カッコ内はめちゃくちゃ意訳です。日本盤の対訳見てみたい。
日本語にはなかなかない比喩表現が多くて意味を取るのに苦労したのですが、簡単にまとめると「鬱屈とした現状、そこに自分を押込めようとする周囲の人に対する、抵抗と脱出の歌」であることがわかります。
MVを観ると、その雰囲気が比較的わかりやすいかもしれません。
当時はメロディくらいしか記憶に残っていませんでしたが、何度も聴いていたこの曲は、(節々の表現がちょっと物騒ですが)実はめちゃめちゃ背中を押してくれる歌詞だったことに、実に6年半越しに気づきました。
これ、受験期に知っときたかった〜!!!
こんなオチがあるかい。
でもこの歌詞を踏まえて聴くと、冒頭でもお話した「就活」という戦いの中に身を置いている今の自分にも、まあ勇気がもらえること!
昨年6月、Spotifyを始めた当初に次作『FOR CRYING OUT LOUD』をよく聴いていたこともあって、よく聴くと音楽的にもなんか変わったことしてるバンドだったんだな! という超今更な発見もありました。これまで聴き流していたことに、反省しかありません…
当時を振り返って
ここまで音楽の話ばかりを綴ってきましたが、ほかにもう一つ、同じく大学受験期によく触れていたエンタメがあります。ラーメンズのコントです。
いかにもビギナーなセレクトだと思うのですが、この「日本語学校アメリカン」がめっちゃ好きでした。
あと「帝王閣ホテル応援歌」。今でもたまにふと頭に浮かんで、なんとも言えない気持ちになることがあります。
なんでハマったのか、これが本当に思い出せません。ラーメンズも名前は前から知っていたけれど、ネタは全然知らなくて、本当に突然ハマりました。ネタを知ったあとに、いにしえのMacのCMに出ていた2人組と知りました。
今は、YouTubeの公式チャンネルでどちらも公式に、無料で観られます。ありがたい…
振り返ってみると、わたしは受験のしんどさをかなりエンタメにぶつけていたんだな〜と実感しました。サボってたわけじゃないんです… いや本当に…
でも、入学してからはこれらの知識——ラーメンズを知っていたり、Kasabianほか海外の音楽をかじっていたり、星野源さんの「SUN」以前の作品を知っていたりしたことが、新しい人間関係作りにとても役立った経験が何度もありました。小林賢太郎さんの演劇を観に行くことが「大学生になってかなえたいこと」の1つになって、入学後すぐにかなえられたりもしました。
学部だとか、周りの人たちの属性の関係ももちろんあるはずですが、それでもエンタメや「ポップカルチャー」というものは、その人の属性を(わりと)簡単に飛び越えて伝わる力があると思っています。わたしがラーメンズに感じていた「なんでか分からないけどハマった」という感覚も、まさにそれなんじゃないかと思います。
「後悔のない程度」が大前提ですが、エンタメないし自分の好きなものへの時間は、自分のメンタル維持に効果抜群だし、むしろ今後の助けやモチベーションになることもあるかもよ? とお伝えしたいです。
あと偶然にも、ここで挙げたKasabianですが、実は昨年8月にメインボーカルだったトム・ミーガンが脱退。「stevie」を歌っているあの声はもうバンドにはいません(今はソロ活動の準備をしているそうですが)。
さらにラーメンズも、小林賢太郎さんが昨年11/16で表舞台に出る活動をすべて引退してしまわれ、ラーメンズとしての活動はおろか、1人コントももう新作が観られなくなってしまいました。
トムがいたKasabianも、2人揃った「ラーメンズ」も、わたしは生で観たことはありません。でもこのニュースを立て続けに聞いたとき、あの受験期にこの2組を知ったことに何となく意味を感じたし、やっぱり知るタイミングってあるよなあ… と思ってしまいました。
無理は厳禁ですが…
やっぱり、推せるときに推すべき! だと思います!!!