ゼロ地点から向かいます
かなり久しぶりの投稿です。
なかなか状況が変わらなくて、いつまでやってんだろうな〜とか悩みつつもなんとか生きてます。
突然ですが、なんとドラマにハマりました。
6月-9月のあいだ、TBS系金曜ドラマで放送されていた『MIU404』のことです。
3日間で駆け抜けるように全話観たあと、あまりにハマって月刊ドラマ11月号(4話「ミリオンダラー・ガール」脚本掲載)を取り寄せました。シナリオブックも予約済み、そして明日には公式メモリアルブックが届く予定です。楽しみ。
わたしにとって、ここまで勢いよくハマったドラマは久しぶりです。さらに生活がうまくいっていなく、感受性が尖っている(?)今の時期に観られたことで考えたこと、受け取ったものがすごくある作品だったと感じています。
実際、SNSを見れば新展開を待ち望むファンの方々の多いこと!
突然、わたしの「人生の大きな出会い」となってしまったこの作品について、この気持ちをこの機会に、noteに書き置いておこうと思います。
ヘッダーのポリまるくんも絵心ないなりに描きました。思っていたより消した線が目立つ。
ちなみに、年明け1/3(月)には地上波で一挙放送も予定されています!未見の方はこの機会にぜひ。
※本記事ではネタバレは極力避けていますが、リンク先の記事で内容の核心に触れられている場合があります。未見で視聴を楽しみにされている方は、どうかご注意ください。
「ドラマ好き」、だった
まず、これまで書いてきた記事は音楽についてばかりだったので、わたしがどの程度「ドラマ」に思い入れがあるのかについて、最初に整理しておこうと思います。
実は、ここ数年はドラマを全然観ていませんでした。
振り返ってみると、『MIU404』の前にちゃんと熱心に視聴したドラマは、2018年秋クールの『獣になれない私たち』。その前は2017年秋クール『奥様は、取り扱い注意』、またその前は2016年秋クール『逃げるは恥だが役に立つ』です。
こう並べると秋クールドラマしか観とらんのか?という感じですが、2019年は丸1年なにも観ておらず、その他も年に1本程度しかしっかりドラマを観る機会がなかったようです。自覚はありませんでしたが、どおりで最近ドラマを観ていた感覚がないわけです。
でも、もっと遡ると、小学生の頃は『オレンジデイズ』『ごくせん』『女王の教室』『ハチミツとクローバー』『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』『ガリレオ』『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』など… 書き出したら止まらないくらい、たくさんのドラマを観ていました。夜にドラマを観ることを楽しみに、なんとか学校に行っていた思い出もあるほどです。それくらい当時のわたしにとって、ドラマは日常の楽しみで、大きな存在でした。
しかしその後、遠距離通学で「毎週決まった時間にテレビを観る」という機会が減ったからか、単純にわたしが最近のドラマをキャッチアップできる感性を持ち合わせていなかったからなのか、突然ドラマを観る頻度がめっきり低くなってしまっていました。
ダイマを受ける
そんななかで、なぜ『MIU404』を観ることになったのか。きっかけは、長い付き合いの友人からの熱烈なプレゼンでした。
『うたの☆プリンスさまっ♪』のオタクとして仲良くしていた友人。「推し」の基準が厳しく、また2次元ばかりを推してきていた彼女が、ある日突然綾野剛さんの話しかしなくなりました。当然「何があった?」と思います。
「『MIU404』をとにかく観てくれ」
この時期、SNSでやりとりしていたあらゆるメッセージの終わりに、彼女はそう付け足していました。並々ならぬ思い入れを感じました。
これをきっかけに、リアルタイムでスルーしてしまったドラマから「機会があったらちょっと観てみたい」ドラマへと、少しずつ意識が変わりました。
脚本家・野木亜紀子さん
最近はまったくドラマを観ていなかった一方で、脚本にはずっと興味がありました。映画学校(的なもの)に通っていたことがあるので、そこでは専門の勉強もしたほどでした。途中で制作に挫折してしまって、特に大成できなかったけれど…
ここ数年で観ていたドラマを振り返ってみると、野木亜紀子さん脚本作品が多いことに気づきます。『逃げ恥』をはじめ『図書館戦争』『空飛ぶ広報室』など、最近の名作ドラマは大体この方が書いてらっしゃるのでは?と思うほどの人気脚本家さんで、原作モノの作品も、丁寧に脚本へと昇華される手腕に定評のある方です。
そしてオリジナル作品では、『アンナチュラル』(主題歌、米津玄師「Lemon」も大ヒットでしたね!)で評価されているように、社会問題を織り交ぜながら”エンターテインメント”に仕上げる巧みさが本当に素晴らしく、ただ楽しく観られるのではなく胸に残る、観終わったあとに考えてしまうような作品を生み出されています。
しかし『アンナチュラル』、お恥ずかしながらわたしはまだ未見です。ぜひ観たい。
『MIU404』も野木さん作品ということは、主演のひとり・星野源さん(まだnoteに取り上げていませんが、実は『知らない』あたりからのファンです)のSNSで放映前から知っていましたが、なぜかリアルタイムではスルーしてしまっていました。本当にアホなことをした…
信頼できる友人がどハマりしていること、またひっそりとファンだった脚本家さんの作品と知り、「機会があれば」から「機会をつくりたいな〜」と思うまでに興味が大きくなっていきました。
折れた心にしみる
そこからついに視聴を始めたきっかけには、まだ続けている就活が関わっています。
新幹線に乗って、結構な金額をかけて出かけて行った面接にあまりにも手応えがなく、心が折れてマジ泣きしながら、勢いでParaviに登録したのがすべての始まりでした。
映像専門のサブスクはこれまで利用してこなかったのですが(アマプラはおまけのようなものだと思っているので…)、Paraviのドラマの充実ぐあいが想像以上で驚きました。すごい。
そして、長すぎる新幹線の乗車時間でさっそく視聴をはじめます。
せっかくなのでディレクターズカット版で観ました。
1話からがっつりド派手なカーアクション。
すっかり見入ってしまい、気づけば降りる駅に。あっという間に4話まで観てしまっていました。新幹線はいつも乗車時間を持て余していたので、急いで降りる準備をしたのは初めてでした。
めっちゃハマってしまった。
友人が急に狂わされてしまったのも、すぐに納得してしまいました。
綾野剛さん演じる伊吹藍と、星野源さん演じる志摩一未の【機捜404】バディは、破天荒でかっこよくてスタイリッシュなのに、どこかかわいらしい。めちゃくちゃ魅力的でした。
わたしには、起きてしまった悪い出来事について延々と反省を続けてしまうよくない癖があって、そのせいで必要以上にダメージを受けがちなのですが、この日は『MIU404』を観ていたおかげで不必要に落ち込まずに済みました。面接でぽっきり折れた気持ちも忘れてしまうほど、没頭して観つづけられるドラマに出会ってしまったのです。こんなの心の拠り所にしてしまう……
その次の日も、パソコンに向かって書類を作りながら、Paraviを開いて少しづつ観続ける日々を送りました。特に9話から11話は本当に息つく間もない緊張感あふれる展開で、気づけば3日で全11話を観終わってしまいました。
こんなに一気見してしまったドラマは、人生ではじめてです。
ドラマを通して観る「隠された日常」
主役ふたりのほかにも、この『MIU404』には魅力的な人物がたくさん登場します。
勤続35年のベテラン・人望が篤いみんなの兄貴分、橋本じゅんさん演じる陣馬耕平と、父も警察庁役職者のサラブレッド、岡田健史さん演じる九重世人の401バディ。警察の男社会で幹部にまで登りつめた実力者で、小学生の息子を育てる母でもある、麻生久美子さん演じる4機捜隊長・桔梗ゆづる。そして陰で暗躍する、菅田将暉さん演じる謎の男・久住…
もちろんキャラクターの魅力もすばらしいものですが、このドラマの見どころは彼らの仕事を通して描かれる、現代社会も抱える問題点、いわば「隠された日常」こそにあるとわたしは思います。
毎回(10・最終話を除く)1話完結で話が展開していくなかで、テーマとして取り上げられる事件はそれぞれ、リアルの社会でも問題とされていることばかりです。
あおり運転、少年犯罪、外国人労働者、違法ドラッグ。ひとつひとつテーマは重いけれど、ドラマとしてエンターテインメント性高く描くことで、こうも万人にわかりやすく伝えられるのかと、ドラマの持つ力を改めて見せつけられたような気持ちになりました。これは脚本はもちろんですが、アクションシーンも含め、伊吹・志摩のふたりがカッコよく見える画としての演出の力もすごい。
さらに、各話ごとに解決されていくストーリー展開の裏で、少しずつ大きく動いていくストーリーがあり、それが最終話で合流してくるストーリー構造の巧みさといったら…! 1話完結の形式でありながら、全話を通して伏線がつながっていくさまは見事としかいいようがなく、回を重ねるごとにより物語に没入できる感覚がありました。
続きものを観るときに個人的によくあった「途中で挫折してしまう」こともなく、気づけば全話観てしまった… となったほどです。
調べると、TVガイドにこんなインタビューがありました。タイトルからして、野木さんの視点の鋭さを窺い知ることができるかと思います。
改めて『MIU404』は、野木さんと『アンナチュラル』チームだからこそ生まれた新たな視点の刑事ドラマだったのだと感じました。
わたしも観終わって感じたことですが、ドラマというフィクションの世界ではあるけれど、ここで描かれたことは「どこかで聞いたことがある」ような、「現実でニュースとして見てもおかしくないんだろうな」と思うことばかり。
そして、事件そのものだけでなく、被害者や加害者の視点についてもしっかり描かれていることがとても印象的でした。
実際に、この自分の身近なところで起こったとき、わたしはどうするだろう。
この事件の加害者と同じような状況になったとき、自分は同じようなことを起こさずにいられるだろうか。
刑事もの・事件解決がテーマのドラマはこれまでもよく観ていましたが、こんなことを考えながら観たドラマは『MIU404』が初めてです。
スイッチが押されるとき
キャラクターの魅力を語り始めるときりがないのと、まだ公式メモリアルブックを手に取れていない状況であることから、そちらの方面について深く語るのは今回やめておこうと思います。でも少しお話するなら、わたしはこのドラマは志摩に特に感情移入してしまいました。6話と最終話がつらかった…
そして、最初は「あまり”良い人”じゃない星野源? 想像つかんな…」とあまりしっくりきていなかった志摩のキャラクターが、回を重ねるごとに「志摩一未にしか見えん」となっていったのが個人的な驚きでした。小並感ですが、俳優さんってすごい。
そんな志摩の台詞に、こんなものがあります。
「誰と出会うか、出会わないか。この人の行く先を変えるスイッチは何か。そのときが来るまで、誰にも分からない」(3話「分岐点」より引用)
当たり前のことではあるけれど、人との出会いや行動ひとつが、自分の向かう先を決めるスイッチになっていること。時に、ふいに押されてしまったそのスイッチが、大きく自分の進路を変えてしまうことがあること。
作中では、九重との「自己責任論」についての話題の際に語られる台詞ですが、今まさに分岐点で迷う日々が続いているわたしにとって、なんだか自分のことのようにも聞こえてくる言葉でした。
そしてこの言葉は最終話に、最後の彼の台詞へとリンクします。
「後になって分かる、何が失敗で何が正解か。毎日は選択の連続。また間違えるかもな」
「まあ間違えても、ここからだ」(最終話「ゼロ」より引用)
(これまでのドラマのストーリーを踏まえて聞くと、最高潮に盛り上がる台詞なのですが…!)
ときに自ら間違った選択をしてしまうことがある。
でも、そうだとしても、そこから先にはまだ希望がある。
この言葉から、そんなことも伝えてくれているような気がしました。
タイトルに引用した「ゼロ地点から向かいます」は、この台詞に続く伊吹の台詞の一部です。
このあと、いつもの初動捜査へと向かうふたり。その姿からは、ここから新たに続く彼らの物語を予感させるとともに、間違いも乗り越えて前を向くポジティブな意思を感じました。すごく爽快感のあるエンディング…!
わたしも観て、とても前向きな気持ちになれました。
と、ここまで書いて、シナリオブックをめちゃくちゃ読みたくなっています。早く手に取りたい。12/25の発売がほんとうに待ち遠しい!
Blu-rayボックスはちょっと高価なので、ある程度収入のめどが立ったらぜひ買いたいな〜と思っています。円盤を買いたいと思ったドラマなんて、サブスクなんてなかった高校生のときに買った『勇者ヨシヒコと魔王の城』以来です。
渋谷のミニフェスはめちゃめちゃ行きたいのですが、この状況下行けるかわからないのが本当に残念。巡回とかないかなあ…
ひとまず、メロンパン号キャラバンを直近の生きがいにしつつ、目の前にある人生のスイッチに向けて、そろそろ転がっていきたいと思う今日この頃です。