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時間とお金に親切でいよう 「親切第一」の星一を私淑しつつ

おはようございます! 「時は金なり、とも稼ぎ」根太幸吉です。

 私たちの生活において「親切」という言葉は、他者に対する思いやりや優しさを示すときによく用いられます。しかし、物や資源、さらには抽象的な概念に対して「親切である」と言うことは、あまり日常的な表現ではないかもしれません。実は、これは単なる言葉遊びではなく、私たちが有する「時間」や「お金」をより有意義に活用するための重要な視点を提供してくれる考え方なのです。

 このヒントを与えてくれる一つの手掛かりとして、日本の近代製薬業界を築いた実業家、星一(ほし はじめ)の存在があります。ショートショートの名手、SF作家の星新一の父としても知られる星一(1873~1951)は「親切第一」をモットーに、「親切」をあらゆる局面での行動指針として説きました。彼は、創業した星製薬を通じて、顧客・社員・社会全体との関係性において「親切」であることが企業の健全な発展に寄与すると信じていました。彼がまとめた小冊子『親切第一』は、単に人と人との間の善意ではなく、資源や財産、知識や技能といったあらゆるものを、丁寧かつ有益な形で活用することを奨励するものであったと推測されます。

 推察されますというのも実はこの『親切第一』という小冊子、わたしは読んだことがありません。読む機会があればぜひ読みたいのですが日本の古本屋にもなく、国立国会図書館にもなく……もし、ここで読める!ここで売ってる!とご存知のかたがあれば教えていただければ望外の喜びです。
 国立国会図書館のデジタルコレクションでは星一の著書がオンラインで何冊か読めるのですが、その中に1923(大正12)年刊行の『自己発見』という本があります。その中で星一は小冊子『親切第一』に触れ、内容はここでは述べないが参考までに目次を掲げてくれています。そしてその目次の中に、「時間に親切なれ」「金銭に親切なれ」と書かれているのです。

星一『自己発見』 https://dl.ndl.go.jp/pid/924064

 時間やお金に対して親切であることを星一がどのように考えていたかは定かではありません。ですが、星一の基本方針である「親切第一」から推測してみることはできるでしょう。
 「時間に親切である」とは、時間を粗雑に扱わず、自分や他者にとって意味あるタスクに振り向けることを意味します。例えば、漫然とSNSを眺め続けるのではなく、学習やスキルアップ、家族との対話や休息など、将来への投資となる行為に時間を振り分けること。さらには、他者の時間を尊重し、約束を守り、効率的なコミュニケーションを心がけることは、より円滑な人間関係を構築し、結果的に自分も他者も時間を有意義に使えるようになります。

 同様に「お金に親切である」ということは、お金を単なる「使い捨てのツール」として見るのではなく、その使い方がもたらす影響を考えた上で、丁寧に資金を配分することです。無計画な衝動買いや浪費を避け、将来の目標達成や生活の安定、ビジネス拡大のための投資に資金を回すことは、自分と社会の双方に利益をもたらします。また、他者への公正な支払い、社会貢献活動への寄付など、お金の使い道を熟考することで、周りの環境をも整えることができるでしょう。

 こうした「時間」と「お金」に対する親切な態度は、一見遠回りに見えるかもしれません。しかし、時間とお金を戦略的かつ思いやりをもって扱うことで、結果的には効率化や信用獲得を通じて、より多くの成果(時間的余裕や収益)を得られるのです。余裕が生まれれば新たなチャレンジが可能となり、信用を得ればビジネスやコミュニティでの存在感が増し、そこから新たなビジネスチャンスや人脈が広がります。

 星一が説いた「親切第一」は、人対人の関係性だけでなく、私たちが扱うあらゆる資源や概念に適用できる普遍的な哲学であるといえます。時間とお金を、まるで大切なパートナーであるかのように思いやりをもって扱うとき、私たちは単に「稼ぐ」「貯める」「使う」といった表層的な行為を超え、「活かす」「育てる」「繋げる」といった、より豊かなライフスタイルやビジネススタイルに近づくことができるのです。

 ぜひ、今日から「時間とお金に親切でいよう」という視点を取り入れてみてください。親切心をもって資源を取り扱うことで、あなたの人生やビジネスはより充実し、結果として、時間とお金に関してもより有利な状況を手に入れることができるでしょう。

というとこで、幸吉でした。
今日もご安全に、時間とお金をともに稼いでいきましょう!

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