【読書記録】家にいるのが楽しくなる本/中山 庸子
この本は大好きな亡き祖父から中学生の頃にもらったものです。
当時祖父はなぜこの本を私に選んだのか、知る術はもうないのですが、それでもたまに思い出しては読みたくなる、自分にとっての原体験のような本。
この本を読むほどに家にいるのが好きな自分を自覚して、そんな自分を認めて好きになれるのです。
なので、今回は厳密には読書記録というより、再読の感想かもしれません。
本書の「はじめに」は、こんな一節から始まります。
”あなたは、旅行に出かけたホテルの一室に着いたとき、まずバッグやトランクから荷物を出して、畳んであったジャケットをクロゼットに備え付けられたハンガーに掛けたり、持ってきた化粧品を洗面台に並べたりする方ですか?それとも、トランクはそのままに必要最小限に物だけを手にして、まずはホテルの外へと「探検」や「冒険」に出かける方なのでしょうか。"
(中山庸子「家にいるのが楽しくなる本」p3, 2006)
私は圧倒的に前者です。旅行も家にいるとの同じくらい大好きですが、旅先でも自分の「ホーム」のような空間があるとホッとする。
また、同じ「はじめに」の中でこんなことも書かれています。
”本屋さんに行けば、大小さまざまな旅のガイドブックを始めとする「外での冒険」のための本は何冊も揃っているけれど、「家の中の冒険」のガイドブックは……となればうーん、見つからない。それで、この際家にいるのが好きな私は、自分で書いてみることにしたのです。”
(中山庸子「家にいるのが楽しくなる本」p4, 2006)
全部で45話のエッセイからなる本書は、まさに家を楽しく過ごすためのガイドブック。各話もコンパクトにまとまっていて、文体も読みやすく、作者のラジオを聞いているような感覚で読み進められます。
毎日使っているトイレ、何気なくものを飾っている階段、そんな空間がワクワクみえてくるはずです。
まだしばらくは、おうち時間が続くでしょう、この本を読んでおうちの中に少しだけ冒険のエッセンスを加えてみませんか。
きっと祖父には中学生の私が人と会ったり外に出かけるよりも「家にいるのが好き」だとバレていたのでしょうね、そしてそのまんまのタイトルの本を渡してくれたのかもしれません。
十数年経っても私の大好きな本です。おじいちゃんありがとね!
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