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SKE48『恋落ちフラグ』泣ける要素がないのに泣ける理由
初noteです。
今までは、自分でブログを運営していましたが、もろもろの管理が面倒なので、純粋に書くだけに特化した場所として、こちらのnoteを利用していきます。改めて、よろしくお願いいたします。
泣ける要素がないのになぜか涙が
さて、一発目の話題は、SKE48『恋落ちフラグ』について。この曲は、松井珠理奈さんの卒業曲であり、彼女がセンターを務めるSKE48全員参加の27枚目シングルです。
松井珠理奈さんといえば、SKEのみならず、AKBグループをけん引した功労者。その珠理奈さんの卒業曲はどんなものになるのか。秋元康はどんな歌詞を書いたのか。非常に楽しみにしていました。
そして初解禁の日。
深夜ラジオで明かされた楽曲に、度肝を抜かれました。
想像していたのは、別れを惜しみつつも、彼女の足跡を辿るような、いわゆる「泣かせ系」です。しかし蓋を開ければ、その方向性とは真逆。明るい、楽しい、激しい。おもわず口ずさみたくなる。泣ける要素はどこにも見当たりません。
なのに、泣けるんです。
なぜか、泣けるんです。
最初は、珠理奈さんの卒業曲だから感傷的になっている。泣ける理由をそんなふうにフワッと自己分析していましたが、ミュージックビデオ(MV)を見たとき、はっきりと理由がわかりました。
MVにも泣きの要素はほとんどありません。珠理奈さんの卒業を思わせる演出はありますが、あくまでスパイス程度。MVのロケ地や衣装、振り付けなど、アピールすれば涙を誘える仕掛けを前面に押し出すこともしていません。ストレートにSKE48のパフォーマンスが凝縮されたMVです。
やろうと思えば、わかりやすく泣かせる内容にできたはずです。メンバー全員が泣きながら珠理奈さんに駆け寄ったら、それだけで多くの涙が流れたでしょう。
でも、そんな演出はありません。メンバーの泣き顔もない。みんな笑っています。最後の最後まで、みんな笑顔。そして全力です。だれもが全力でした。
この「笑顔」と「全力」の先に見えたのは、まぎれもない、「SKE48の未来」でした。
SKE流の引退試合
この曲は、珠理奈さんの卒業シングルです。いわば、SKE48松井珠理奈の引退試合。しかも、引退する選手が完全燃焼する試合です。
プロレスにおいても、しばしばそういう引退試合があります。
完全燃焼のためには、自分が本気を出すのはもちろん、相手にも全力を出してもらわなければいけません。引退するからといって手を抜かれたら、それは最大の侮辱です。
全力で叩き潰しにくる。
それを全力で受けきる。
――あなたが引退しても、俺達でこのリングを守りますよ。
――俺がリングを降りても、こいつらがいれば大丈夫だな。
引退するレスラーは、最後の勇姿とともに、完全燃焼する価値のあるリングとレスラーの未来を見せてくれる。そこに言葉はいりません。体と体で語る姿に、強く胸を打たれます。
『恋落ちフラグ』MVから感じたのは、まさにそんな引退試合です。
もちろんプロレスとは違いますから、実際に戦うわけではありません。ただ、言葉ではなく、気持ちでエールを交換する姿に、同じ感動を受けました。
卒業する珠理奈さんに負けない、いや、圧倒するぐらいの気迫が、メンバーの表情や指先からほとばしる。珠理奈さんが卒業したあとは、わたしたちがSKE48を守る――。ひとつひとつの技(パフォーマンス)から、そんな声が聞こえてくるようでした。
珠理奈さんだって、おとなしくしてはいません。「わたしはまだ全然余裕だよ」と言わんばかりに、圧巻の存在感を見せています。
熱い戦いを繰り広げ、全力を出しきった珠理奈さんは、背中を向け、手を振りながら去っていきます。まさに引退の花道。その背中には、やりきった充実感と安心感が見えました。
こんなにわかりやすいフラグ立った
インタビューを見ると、全員参加を希望したのは、松井珠理奈さん本人だそうです。そして全員に、自分ができる最高のパフォーマンスを見せ、最高のパフォーマンスを引き出し、最高の未来を見せてくれました。
曲から感じるSKEらしさ。MVから感じるSKEの全力。メンバーの笑顔。そのすべてが未来に繋がる。未来には無限の可能性という光があります。『恋落ちフラグ』が泣ける理由は、そんなまばゆい光が見えるからだと思います。
そしてその光を演出した松井珠理奈。自分の卒業曲でそれをやってのける大きさに、改めて感動しました。
珠理奈さんは、SKE48というリングをおりました。しかし、彼女の旅がここで終わるわけではありません。まだまだ続いていきます。SKE48もここで終わらない。むしろ今が一番と言えるだけの光を放っています。
「ああ、松井珠理奈卒業か。この先、SKEだいじょうぶかな」。そう思っている人がいたとしても、「だいじょうぶだよ!」と思わせるパワーを感じる楽曲。松井珠理奈とメンバーの魂のやりとり。ぜひ多くの方に感じてほしいです。
そして彼女の、彼女たちの未来にドキドキしたら、
もうそれは、恋落ちのフラグが立ってますよ。
さあ、いっそのこと好きだと白状しましょう!