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2024年11月の記事一覧
【孤読、すなわち孤高の読書】“三島由紀夫自決”における独私論
『金閣寺』への違和感
1970年11月25日、三島由紀夫が自決した日である。
その日を私は知らない。
当時幼かった私は、この衝撃的な事件を知るすべもなく、三島の名に触れるのはずっと後年のことであった。
2024年11月、私は京都の金閣寺、そして奈良の圓照寺を巡った。
その旅路は、私の内に巣くう三島由紀夫という名の妄執、あるいは日本文学の鬼才にして狂気の人への探求の旅であった。
そしてまた、あの
【孤読、すなわち孤高の読書】ライナー・マリア・リルケ「ドゥイノの悲歌」
人間存在の苦悩と美しさ、そして有限性の中に希望を見出す詩的試み。
[読後の印象]
とまれかくまれ、リルケの詩は甘美な旋律が美しい。
その芸術性と叙情性は、おそらくあの大彫刻家オーギュスト・ロダンやフランスを代表する詩人ポール・ヴァレリーとの親交とともに深まっていった。
晩年の代表作「デュイノの悲歌」は20世紀文学の頂点に位置する詩集であり、その文体と思想は、読む者をして存在そのものの崇高さと
【孤読、すなわち孤高の読書】マックス・ヴェーバー「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」
キリスト教信仰と資本主義の繁栄との関係を説いた、社会学の巨人の書。
[読後の印象]
当時の私は金が欠乏していた。
しかし、アルバイトなどという俗世の拘束に身を置く気もさらさらなく、ただ時間だけは不気味なほど有していた大学一年の夏、私は灼熱の陽光に狂わんばかりに焼かれながら、新宿駅東口の紀伊國屋書店に足を運び、小銭を握りしめてこの書を手に入れたのである。
何故に、長く重苦しいタイトルの書を求めた
【孤読、すなわち孤高の読書】アルベール・カミュ「異邦人」
人生の不条理を問い、意味を超越した孤独と自由を描いた傑作。
[あらすじ]
この一冊が纏う冷厳にして澄みわたる透明な空気には、まるで人間存在の深淵が反射されているかのごとき重みがある。
物語の主人公ムルソーは母の死に直面しても涙一滴も流さず、その無感動さを自然体として携える稀有な人物である。
彼は世間の常識に従って「在るべき姿」を求める者たちとは異なり、眼前の出来事に冷徹なまでの無関心を示し、己の