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闇の王XI 自分用備忘録

 この度ギャラリー・ルデコ様にて行われた闇の王に初出展させていただきました。
なかなか時間が作れず最終日のみ在廊させていただいたのですが、沢山の方から温かい感想を頂き感無量でした。作品を見てくださった方々、闇の王展に関わられた全ての皆様、改めまして誠にありがとうございました。

 今まで何度か展示会などに参加させていただいたことはあったのですが、コンセプト決めから展示方法まで全て自分主導でやるのは初めてでした。
何もかも手探り状態で一つの作品を作るのはありえないくらいしんどくてしんどくて普通に病んでもうカメラ全部売ったろかなと思うレベルでした。
 しかし、全てが終わり、撤収が終わって最寄駅から家に着くまでの道すがら、無事に終わったことと思った以上に沢山の好意的な反応を頂けた事が嬉しく感情が制御できなくなり年甲斐もなくウヲンウヲン泣きながら帰りました。手元に残った額装された己の撮った写真と皆様からいただいた感想という名の御朱印を眺めていると、本当に参加して良かったなと感じております。今も思い出して少し泣いてる。情緒ぶっ壊れ〜〜。私が死んだ時は棺桶に今回の感想ノート入れてくださいマジで。

 リプなどいただいている方、返せていなくてすみません。もう少し情緒がおちついたらまたゆっくり返させていただければと思いますのでもう少々お待ちいただけますと幸いです。

 というわけで、設定や今回の企画の流れなど、備忘録も兼ねて時系列順に書き連ねて行きたいなと思っています。撮ったときの裏話(というかプライベートなこと)とかも日記的に混ざっちゃうと思います。
 長いです。文章を書くことに慣れていないため悪文で申し訳ございませんが、良かったらお付き合いいただけたら幸いです。

闇の王XI geppi展示作品

応募まで

 ポートレートに無知すぎる私は、恥ずかしながら闇の王という展示会を知りませんでした。たまたまおすすめに回ってきた(ここだけはありがとうイーロン)闇の王の二次募集を見て腕試しにいっちょやってみっか!とモデルの佐久間さんに相談を持ちかけてみました。ダメだったら今年の回は市場調査がてら見に行って来年の応募に向けてがんばってみようぜ!くらいの気持ちだったのですがまさかの出展者に選別していただきプチパニックを起こした記憶があります。
 応募写真は確かこれ。3年ほど前に荒廃的なバンドマンをテーマに撮った写真の一枚でした。佐久間さんとは好きなものや物事の考え方、そして今まで撮ってきた写真などからお互いの好みは熟知していたため、絶対闇ってテーマっておもろいじゃん!我々得意じゃん!やったろ!みたいな軽いノリでした。

応募写真

コンセプトについて

 今回作成した写真は、煙草を吸うと念仏を唱えたことと同義になり、極楽浄土に行く手段とすることができるという大乗仏教の新たな宗派「浄土煙宗」の仏像、というコンセプトで作成しました。
 名を是殻(しがら)観音といい、信仰者が出した煙草の煙を頼りに極楽浄土へ迎えにきてくれるという教えです。一応、私が調べた限りでは仏教では煙草は否定されていません。
 しかし昨今の禁煙ブーム(?)のおかげで我々喫煙者は大変肩身の狭い思いをして生きております。
 今回は”仏像”という圧倒的な光を作り出し、それを祭壇に祭り、世間一般でははみ出しものとされ迫害されている人たち(=喫煙者、闇)が救いを求めてやってくるという、展示空間までを光と闇で満たしたいという意図での作品制作を目指しました。

 今回はモデルの佐久間さんとほぼ共同出展という形にしていたため、撮影に関する諸々はすべて佐久間さんと2人で話し合って決めていきました。

 コンセプト出しにあたり、
 ・応募写真が煙草を吸っている写真であったこと
 ・二人とも煙草吞みであり、周囲にも喫煙者が多いこと
 ・二人とも宗教に興味があり、宗教観を生かした作品を作ること
 ・光と闇の対比をはっきりとさせたいこと
などを尊重しました。
  たまたまその当時東京博物館で浄土宗展をやっていたこともあり、浅慮ながら今回のコンセプトに近いものを感じたのでその考えに類似した経典を採用させていただいております。(本当はちゃんと教えのパンフレットとかまで作りたかった・・・無念) 

アホみたいな初期のブレストが残ってた 色々間違ってるけど許してください 

 けど仏像と言っても色々あるよね!阿弥陀如来から地獄の鬼まで、日本の仏に限ったとしても飛鳥文化から現代まで、みんなジョジョみたいにテイストが違うしどれベースにする?となり、できる限り現地に行って実物見たり、仏像全集みたいな写真集などを見まくった結果、法隆寺や中宮寺の仏像、特に法隆寺の百済観音様の雰囲気が佐久間さんにぴったりだと考えたため、装飾や衣装のテイストはその頃のものに合わせてデザインしていただきました。

 こんな写真を撮っておいてなんなんですが、私自身はゴリゴリの神道なので家に仏壇も無く仏式のイベントにも出たことがなかったため、正直ほぼ手探りの状態でした。旅行先でも寺より神社に行くタイプだったんです。仏像って博物館などでしかみた記憶なかった。中学の修学旅行で京都奈良とか行ったけど清水寺行ったら舞台しか見ないし奈良行ったら鹿しか見ないじゃんね。あ、けど三十三間堂は行った記憶あるな…そういえば…
 全然仏教詳しくないけどちゃんと厳かさとかってわかるかなぁって不安だったんですが、中宮寺の御本尊の前に行ったときにはっきりと空気の違いを感じて。何が違うんだろうって思ったときに、厳かさって静けさと香りで感じるものなのかな、と自分なりに解釈しました。
 今回は写真展だから正確には視覚で全てを感じるのがベストではあるんですが、少しでも本作の御本尊としての威厳を感じて欲しかったので今回展示には祭壇を設け、御朱印帳には白檀の香りを染み込ませてみました。どれくらいの人にわかってもらえるか不安だったのですが、少なくとも御朱印帳を開いてくださった方は気づいてくれた方が多かったみたいでとても嬉しかったです。

カタログ掲載写真

カタログ掲載写真

 いきなりちょっとショッキングな画像ですみません。
 図録用の写真の提出の期限が迫っていたのですが、製作チームはお互い進捗ゼロ、撮影も二週間以上先、なんかわからんけどタバコはある!ということで急遽私の手首で撮影しました。
 ”仏に祈る”なんてことするのは現代日本においてはよっぽど信仰心の厚い人ではない限りどこか影がある人間しかしないんじゃないのかな、と思います。ましてや煙草を経典に盛り込むような宗派に縋る人は、きっと”普通”の世の中に迎合できず、居場所がなくて苦しみ抜いてきた人が多いのではないかと考えます。
 苦しんで、もがいて、最後に救いを求めたのがこの仏だったのかもしれない。自分は救われる資格などないけれど、もしかしたらこの観音様ならお救いくださるかもしれない。そんな人間が今際の際に最後に縋る祈りの行為としてイメージをつくりました。

…嘘です、ただ単にこの時明確な方向性がちゃんと決まってなくてど〜しよ〜タバコしかねぇわ〜〜ポトレ展だから腕だけでも映り込ませなきゃだけど私のメンがヘラりすぎて傷だらけだけどど〜しようえ〜いこのままでいっか!こっちのが闇っぽいよね!というそれだけでした。すみません。

ちなみにポトレ展じゃなきゃ多分こっち使ってた
これお気に入りです

 ちなみに、この写真を撮影したときにMUCCの「フリージア」の一説が脳裏を過ったので一部歌詞を捩って使用させていただきました。今聞き返すと意外と全体的な世界観も少し近いかも・・・?と自惚れてしまう。自惚れです。すみません。

ポストカード

紙薄いやつにしちゃったからちょっとペラペラだったよごめんなさい

出典は記載の通り般若心経です。

不生不滅 不垢不浄 不増不減 是故空中 無色 無受想行識
意訳:
(ものの形は絶えず変化しているが)ものが新たに生まれたり滅したりすることは無く
(本来の我々の魂は一点の曇りもなく輝いているから)垢が溜まって汚れることも、浄める必要も無い
(宇宙エネルギーは一定であるから、)増えることも減ることも無い
それ故に、自我による苦や迷いのない「空」の世界には、「色」という体への執着も無ければ、その体を通して「受想行識」の心が迷いを重ねることも無い

こちらのフォントと宝冠は切り絵師(であってる?)の棚さんに作成いただきました。
現地ではフォント部分も展示いただきその細やかさを見ていただけたかと思います。マジですげぇの。貰って帰ればよかった〜〜

終わりに

 色々と書き連ねましたが、結局は私の思想の部分を伝えたかったのと、今回関わっていただいた方々のお礼を言いたかったんだろうな〜と自分で書いていて思いました。
 光があるし闇がある。同じものを闇と思うか、光と思うかはその人の考え方次第。一般的にはタバコって闇(=悪)と取られがちだけど、我々にとっては文字通り息をするのと同じくらい生活に必要なもので、今の価値観で勝手に闇に押し込められてしまっているものにすぎない。”普通”で”一般的”な世界の方が眩しすぎて闇に満ち溢れているように感じる人がいることだってある。 ”闇”とレッテルを貼られたものに救いを見出したかった。今回の私の理想はそれだけです。

けどこの量のタバコは闇だと思うよ高額納税愛煙家フレンズたち!
全部で300個越え!愛してるぜ!

 今回の展示はこれで出し切った。色んな人の力を借りて最高のものを作りだせたと思っています。今の私にはこれが最上です。けど、まだ自分の中で出しきれていない闇があるように思えてなりません。来年、またチャレンジしようかな。自分で一から何かを作る楽しみを知っちゃったんだよな。まだ何か表現できる気がするんだよな。
 
 ひとまず、来年までは頑張っていきます。
 ここまで読んでくださりありがとうございました。

スペシャルサンクスという名の私信

model/衣装作成 佐久間ジョバンニ様
アイディア出しから撮影当日まで、お忙しい中私の我儘に付き合ってくれてありがとう。今回のコンセプトは貴方無しでは作れなかった。表情、フォルム、アイデア、どれをとっても最高級です。
ご自身のことをよく卑下されますが、私からすると貴方はどこをとっても最高のお方です。何より私は貴方とたわいもない話をするのが大好きです。ご自身を信じてあげてください。
私が今よりずっとずっと写真が下手くそだった時から「君の写真が好き」と言ってくれたから、勇気を出して今回展示に出ることができました。今まで友達でいてくれてありがとう。これからもよろしく。
宝冠/切り絵作成  棚様
今回どちらも急遽だったのに対応してくれてありがとう。
あんなに本物の金属みたいな紙を見つけてくれてこりゃ本当に頼んでよかったなと心から思いました。
これを楽しいと思ってくれたら、またぜひ一緒に創作撮影手伝って欲しいな!また誘います!
台座レタッチ/アシスタント はち様
モノの影付けとか完璧にこなしてくださって、やはり餅は餅屋だなと思いました・・・任せてよかった・・・ありがとうございます・・・
あと道に転がってる煙草の空き箱見つけてももう私に献上してくれなくて大丈夫です!!ナートゥ!!
タバコ提供してくれた方々 
佐久間家の皆様、棚様、はち様、O3M様、今日子様、くれは様、秀様、まあむ先生

私は貴方たちの肺が心配です。も〜〜〜〜また飲みいこうぜ!!!!
ありがとう!!!
全ての愛煙家のみなさま
禁煙ブームの波に負けず強く生きていこうな!!


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