絶望プログラマー(IT業界40歳からの立ち回り方)
「生涯現役プログラマー」
30代まではこの考えを持っていましたが、周りが出世しまくり生涯現役と言いながらも所詮は都合の良い駒であることを悟ったとき、諦めの気持ちと、どうやって生き残っていくかを考えるようになりました。
20代後半で世の中には凄腕のプログラマーが五万といることを薄々感じてから30代前半で確信へと変わりました。実際にそういった人たちと一緒に仕事をしてみて絶対に適わないと気付いてしまったのです。
それからもうどうでもよくなって、酒浸りの生活に陥りました。
喘息というハンデを抱えてこれしかないんだという思いでそれまで踏ん張っていたのに、プツンと糸が切れてしまったのです。
そこから私の低迷期に入るのですが、コネでSES業界に戻り、上流工程に携わるようになったのがきっかけで活路を見出します。
俺は海賊王プロジェクトマネージャーになる!
プログラミングを散々やってきたおかげで下流の経験は十分にあり、そこに上流工程を上積みすることにより他の人と差別化できると考えたのです。
狙いは的中しました。
他会社のPMやSEから奴隷のように使われるプログラマーの立場から、使う側に回り込むことができたのです。
誤解を恐れずに言えば、
プログラマーは作業者です。
全然クリエイティブじゃないし、モダンでもありません。
IT業界の大半を占めるSESの世界ではプログラマーは作業者という扱いになります。
ダメ押しに、
SESピラミッドの上位層の人たちはソースコードを書きません。
書くのは要件定義書と設計書です。
※この辺のことを勘違いする若者が未だに多いので、採用面接ではよくIT業界のことを調べてから業界の門を叩くように説明しています。
プログラマーの進化型はフルスタックエンジニアであり、インフラ、ネットワーク、DB、設計、何でも来いの万能型です。
今ならここにAIも入ってくるでしょう。
IT業界に入りたいと思っている若者が憧れているのはプログラマーではなく、フルスタックエンジニアのことです。
残念ながら私はそのフルスタックエンジニアになれませんでした。
プログラムはできても、ネットワークとDBがからっきしダメでしたので(涙)
そんな私でも生涯現役でプログラミングして食っていこうという強い思いがあってがんばってきたのですが、上記のとおりで道半ばにして方向転換せざるを得ませんでした。
前置きが長くなりましたが、今日は生涯現役を諦めた私がどうやってIT業界にかじりついて生き残っているのか語りたいと思います。
差別化 上流工程を学ぶ
お堅い業務プログラムの世界ではマルチメディア系と違って、プログラマーの力の差が出にくいです。
DBに強かったり、ネットワークを熟知しているといったサブ的要素がないとライバルに勝てません。
その点上流工程はできる人が少ないので差別化されやすいです。給料もプログラマーに比べて高いです。この辺が日本らしいですね。アメリカと違って技術者が優遇されないのが日本という国です。
それを踏まえてあえてプロジェクトマネージャーを目指すのです。私はそうしました。
おかげで毎日激務で地獄ですが。。。
人の話を聞く(まずは受け入れる)
技術者というのはちょっと変わっていたり、クセがあったりと扱いが大変です。ひとたび機嫌を損ねると渡り鳥のように去ってしまいます。
ご丁寧に開発中のソースコードにバグという時限爆弾を置いていったりする厄介な人もいました。
そんな技術者たちと互角に渡り合うには、まずは相手の話を聞くことです。とにかく聞いてしゃべらせる。そうすることにより相手は気持ち良くなります。
「そんなことも知らないのか」とバカにされてもグっと我慢、アンガーマネジメント、6秒間の辛抱です。
そして、さすが! すごい!と返してあげれば相手はたちまち上機嫌になって残業してでも仕事してくれるようになります。
要は気持ち良く仕事させてあげるのです。これができればどんな技術者もたちまちあなたの味方で鬼に金棒となるはずです。
全体を俯瞰して見られるようになる
林や木を見るのではなく森を見るのです。
スケジュール通りに進んでいなければどこかにボトルネックとなっている箇所があるばず。そこを叩くのです。
みんな自分のパートしか見ていないです。あなたが全体を見回さなければ永遠に誰も気付きません。問題とは些細な場所に隠れているものです。
プログラムだって同じで、小さな処理の集まりで大きなシステムが動いています。メインプログラマーと言われる人は皆この力が研ぎ澄まされているのです。
交通整理能力を身につける
営業と開発は水と油です。
それをうまく乳化することができれば能力者の仲間入りです。これができる人はそうそういないですよ。私はこの能力を得るために日々鍛錬しています。
何が難しいかってお互いに真逆のことを言うわけです。
営業はすぐに欲しい、開発はすぐにはできないと。
そんなのばっかりですよ。そこを間に入って、落としどころを探っていくわけですからそりゃ大変ですよ。
どうやって乳化していくかというと、一番手っ取り早いのが酒の力です。両者を誘い、酒を飲ませてお互いの距離を縮めるわけです。
そんなの仕事じゃねぇー、非効率だ!
とZ世代に言われそうですがこれが私のやり方であり、数々の成果を上げてきました。
人は本音と建前を使い分けています。それが酒の力で取っ払われた時、対立している両者に意外な一面、相手に対する理解の言動が現れます。
「あなたの立場で受け入れられないのは分かる。俺だってそうすると思う」
こういった台詞が出たらチャンスです。すかさずこれを拾ってうまく誘導するのが私の仕事です。
お菓子を差し入れる
これが最強と言っても過言ではありません。
そんなバカな!と思われるかもしれませんが、チームメンバーが皆夜遅くまで残業で頑張っているときに、ちょっと小腹が空いたなというときに、甘い物やお菓子を買ってきてくれる上司がいたらどうですか? しかも自腹で。
メンバーよりも多く金を貰っているんですから、それをメンバーにおすそ分けしたって良いじゃないですか。
昔SESの現場でちょっとした奇跡が起きたことがあります。
ある機能について問題が起きて改善策が無くて八方塞がりの状況が続いていて、皆が皆頭を抱えてお通夜ムードだった時に、突然偉い人が「俺はこんなことくらいしかできないから」と両手にたくさんのお菓子を持って現れて、それまでピンと張り詰めていた状況から一気に和やかムードになったんです。それでリラックスしたからか、突然ナイスアイデアが出てピンチを切り抜けられたんです。
やっぱりね、思いやりって大事です。それがある現場とそうでない現場とでは大違いです。
成功するプロジェクトには思いやりが詰まっているんです。
だから私も真似して、今ではお菓子を差し入れする役をつとめています。
というわけで、いかがでしたでしょうか。
最後のお菓子の差し入れは明日からでもできますよ。
小難しそうなメンバーに試しに旅行のお土産やお菓子でもあげてみてください。もしかしたら話をするきっかけになって、実は良い人かもしれませんよ。
私はそういうことが何度かありまして、最終的に仲良く徹夜するようになって何度も危機を救ってもらいました。
時代が変わり、なんとかハラスメントばかりで人と拘わるのが面倒になりましたけど、やっぱり最後は人と人だと思います。
地道に挨拶から少しずつ。
もうちょっと頑張ってみようと思う今日この頃です。
そんなわけで、チャオ〜。