兼業でつくるモノづくり
こんにちは、ジョージ・アンド・ショーン 営業企画の松橋です。
これまで代表の井上から、兼業で会社を始めるということ、兼業でつくる事業ポートフォリオ、社会課題解決をボランティアではなく“事業”としてやる理由などをお話していただきましたが、今回は第1回目の社員インタビュー記事です!
本インタビューでは、ジョージ・アンド・ショーン(以下G&S)に参画されている皆さんに、入社二年目の私、松橋が「実際どんな会社なのか、どんなことをしているのかイマイチよくわからない…」という疑問をストレートに聞いていきます!そこにはG&Sが4年目を迎えるまでの、苦悩やマル秘ノウハウなどちょっと聞きにくいことも数々--。
ぜひお楽しみいただけたら幸いです。よろしくお願いします。
第1回目社員インタビューはG&Sのデバイス開発・Webシステム開発等を担当されている、小野幸村さんに兼業Wokerとしての仕事スタイルややりがいについて、たっぷり語っていただきました。
プロフィール
―これまでの経歴、本業でのお仕事について教えてください。
本業では、大手電機メーカーにて機械系エンジニアとして研究・開発の仕事に10年ちょっと携わっています。少し珍しいタイプかもしれないのですが、僕は大学3年の時に、今いる会社のまさにいま所属している部署に当初から狙い撃ちで入りたいと考えていました。そのためにドンピシャのテーマを扱う研究室を探し、その部署と産学連携の実績もあるということを事前に下調べした、外部の大学院に進学して、就活でも名指しでその研究部署に志望して入社した経緯もあり、かなり計画的で事前準備を入念に行うタイプの人間です。
具体的には、カメラやプリンタのキーパーツを内製する生産装置の研究・開発で、熱や強度のSimをしてCADで装置を設計し、実際に製作した装置の評価までを行う仕事です。ナノメートル精度のレンズを成形するために、600度を超える高温下で±1℃レベルの温度精度を追求する、世界でもトップクラスの成型装置の開発に携わっています。
昨今ではエンジニアというとIT系のエンジニアを想像する方が多く、G&Sのエンジニアも大半がそうですが、私は機械系エンジニアでまわりとは少しバックグラウンドの異なるエンジニアとしてG&Sに参画しています。
―G&S設立直後の2016年から参画された小野さんですが、毎日本業もお忙しくされている中で、兼業でスタートアップ企業に参画することに不安はなかったですか?
代表の井上とは、大学時代にやっていたダンスチームの先輩後輩の関係で、もともとよく飲みにも行く間柄でしたが、ある日突然、「作りたいものがあるんだけどちょっと手伝ってくれない?」と秋葉原に誘われたのがきっかけです。その時作りに行ったのが一番最初のbiblleのモックです。
その後、3回目くらいに創業メンバーとの最初の会議があり、メンバーと会話していくうちにいつの間にかスタートアップのおもしろさにはまっていて、もうその頃には気づいたらG&Sの名刺が出来上がっていた、という感じです。(笑)きっと初めにオファーという形でお誘いいただいていたら、兼業で通用するかな、などいろいろと考えてしまったかもしれないですが、先にやることありきだったというのが大きかったかもしれないです。
(3Dプリンターやレーザー加工機を使った、biblleモック製作の様子)
兼業でつくるモノづくりーbiblle誕生秘話
―参画当初取り組まれていたこと、エピソードをおしえてください。
参画当初は、秋葉原にあるDMM.makeというモノづくりのためのコワーキングスペースによく通い、3Dプリンターやレーザー加工機を使ってbiblleのモック製作に励みました。可愛いキーホルダー型の目に見える「モノ」が最初にできた時にはチームのテンションがぐっと上がったのを記憶しています。
またそこで試作したものを、九州にある、現biblleも生産する工場に尋ねに行ったときも、事前にモノを作って訪ねてくるとことは少ないようで、その試作品があることで自分たちの作りたいイメージを共有しやすくスムーズに会話できたように思います。
―ですが、やはり新しいモノを1から生み出すことの大変さはありましたか?
多くのIT系スタートアップとは異なり、G&Sは立ち上げ当初からソフトウェアと合わせて、ハードウェアの開発(biblle)も行っています。やはり、ハードウエアの開発はソフトと比べ圧倒的に時間軸が長く、電波ものを扱っているがゆえ不安定な部分も多く、どのくらいの精度で検知できるか、安定性はどうか、といったハードの評価にはかなり時間を要しました。
また、デザインにこだわるメンバーも多く、この限られたスペースの中でいかに機能を盛り込んで、かつ可愛いものに仕上げるかといった部分では、様々なサイズ感を試し、いろんなデザインを試して、数えきれないほどの試作を繰り返したと思います。
結局今となっては、1st biblleはデザインが30種類以上のとっても管理が大変なデバイスとなりましたが、マーケティングツールとして様々なブランドとコラボレーションしたり、施設や地域コミュニティの方と協業する時には、必要な情報(家族の写真や電話番号など)をデザインに盛り込むことができるデバイスとなっているので、その先のサービスを展開していくうえでも非常に良いツールとなったと思います。
また、このようなモノづくりができたのも、兼業であることのメリットが効いていると思っています。このデバイスでしっかり利益をあげて日銭を稼がなければいけなかったとなると、このようなカタチにはおそらくなっていなくて、その後に展開していくサービスのことを考えて、もっと大きい画を描いて開発できたことが、今のサービスに繋がる、G&Sの良いスタートになったと思います。
―兼業でモノをつくるG&Sだから、徒競走でやっては意味がなく、G&Sだからこそ生み出すことできたbiblleのカタチなのですね!
また、スタートアップゆえの難しさはありましたか?心がけていたことを教えてください。
ハードとしての専門性を活かした仕事をこなしつつも、まわりには宙ブラリンになって手についていない仕事はたくさんありました。5人からスタートした会社なので当然です。なので、チームに必要であれば全然やったことのない業務でも積極的に拾いに行くようにしました。
ECサイトの立ち上げやSNSの運用、クラウドファンディング、展示会のポップ作成から問い合わせ対応までいろいろな仕事を経験したと思います。もちろんそれぞれの専門家がそれぞれの業務をこなせれば、それだけクオリティの高いものができると思うのですが、リソースは限られていて必要な場所に必要な人材を配置できるスタートアップは稀だと思います。なので、6-70点の出来でもとにかく大枠の形を作って、とりあえずチームを前に進めていけるよう、出来ることは何でもやるように心がけていました。
今はチームも少ずつ大きくなり、それぞれに専門性の高いメンバーも増えて、必要なメンバーが必要な場所に配置されていき、組織として大きくなってきていることを実感しています。ですが、基本的にはこの考え方は今も変っていなくて、また創業当初から関わっているからこそ理解できる部分もあり、仕事は拾いやすい立場にはあると思うので、開発の仕事を行いながら、その他の仕事もできる限り選り好みせずに拾っていくというのが、自分なりの役割かと考えております。
本業と兼業それぞれのやりがい
―現在、G&Sで取り組んでいることを教えてください。
現在のメイン業務は、「施設360°」のPM兼、フロントエンドのエンジニアとして開発に取り組んでいます。
―G&Sでのお仕事でやりがいに感じることを教えてください
本業とG&Sではフェーズが全く異なり、それぞれにやりがいがあります。特にこれは僕のケースになりますが、本業の方は長年続く機械系メーカーで僕自身の専門もメカなので、もう何十年も蓄積された技術を後輩が継承してさらにそれを進化させていくといったものです。装置開発にかける予算も、関わる人数もスタートアップと比べるとやはり多く、その中で最高峰の精度を追求する研究開発です。
一方でG&Sの方は、まだ会社ができて数年、0-1で生まれたばかりのモノをこれからさらに1-100にしていく作業です。何もなかったところから、製品・サービスができる過程を体験し、かつエンドユーザーと直で触れ合うことでき、そのリアクションを感じられるというのは本業の方では経験できません。これから一緒に事業を共創するパートナーを増やしていき、こなさなければならない仕事の幅も広い。本業とは大きくフェーズが異なります。これらを同時に経験できるのはなかなか無いことだと思うし、どちらにも違った楽しさがあります。
―副業ではなく、兼業というかたちで働くというのはなにが違うと思いますか?
どうしても時間的な差は出てきてしまいますが、感覚的にはどちらも本業という気持ちで取り組んでいます。G&Sではそれぞれチーム体制で事業を推進していて、一人一人の責任感的な部分を大事にしているので、あえて副業ではなく「兼業」という言葉を使っています。また、ただ収入を増やしたいということでしたら、兼業でやる必要性は無くて、副業という形でも他にいろいろあると思います。
本業と同じくらいの熱量を持って新しいことに挑戦して、仕事を重ねていくとだんだんとスキルがついてきて、それが蓄積されていく。場合によっては自分の本来のスキルと掛け算されて、新しい自分の価値になる。こういった部分は、明らかに副業とは違うところです。
また、僕のようにクラシカルな企業で働いている人はスタートアップの感覚を感じてみたいでもいいですし、全く違う業界に飛び込んでみたいでも、シンプルに年齢関係なく新しいコミュニティがほしい、同じような向上心を持った人ともっと関わりたい、など兼業で働くメリットは様々にあると思います。
「本業にも相乗効果アリ」兼業で異なるポジションに身を置くことで新しい気づきが生まれ、本業にフィードバックされた
(入社後、COO松林(左)から教わり、コーディングを開始する)
ー本業とG&Sでの仕事内容が少し離れているなと感じるのですが、新しいスキルはどのように身につけられたのですか?
G&Sでは、もともとはハードの経験を活かした開発をしつつ、その他の雑多な仕事にも取り組んでいましたが、せっかくIT系スタートアップに入ったならコーディングも経験したいなと思い、COO の松林にCSSもPHPもSQLも全く触れたことない、本当にゼロの状態から丁寧に教えてもらいました。当然、松林にも本業があり、かつG&Sでシステム開発をしながら、さらに僕の先生役を買ってでてくれて、本当に忙しかっただろうに、感謝してもしきれないです。
また、30歳を超えてから、未経験のことをがっつり教えてもらうということもなかなか無いので、私が教わる側で感じたことは、本業でチームを運営する時などに活かされている部分もあると思います。
―具体的にはどういった部分が活かされたのでしょうか?
例えば、松林は非常に(過剰に)褒めてくれる先生だったのですが、ふと自分の本業を振り返った時に褒める文化があまりないなと感じました。明らかににいい仕事していても、それに対するリスクや、じゃあ次はどうしようか、という方向にすぐ話がいきがちで、まず褒めるということが少ないなと感じていました(大企業に多い気がする)。
でも実際に指導される側になって褒められることがとってもダイレクトにモチベーションに繋がることに改めて気づいて、本業でも、成果を報告する時にまずチームへのねぎらいの言葉を前置きしたり、メンバーに対して「いつも迅速な対応ありがとうございます」、「○○さんじゃなきゃ出てこないアイデアさすがです!」とかシンプルに自分が感じたリアクションを言葉で伝えるようになりました。
―確かにG&Sには褒める文化がありますよね。
他にも当時開発を進めている中、松林は「ちょっとでも迷ったらいつでも聞いてね、時間もったいないからね」といったスタンスで、かなり忙しいだろうに本当に質問しやすい環境を作ってくれて、私のスキルアップを加速してくれました。
本業では開発した技術を生産側に展開する立場になるのですが、現場の方々であったり、あるいはチームのメンバーに、出来る限り質問し易い・話しやすい環境作りを意識して、それに対する即レスを心掛けています。これも、当時の経験が少なからず活きていて、間口を広げて接しやすい環境を作り、即レスしてあげることが開発スピードを高める上でも非常に重要だとつくづく実感しています。
先の話にしても、どちらも当たり前のことなのかもしれませんが、普通に仕事をしていく中ではついつい忘れてしまうような部分で、G&Sで改めてゼロから教わる立場をこのタイミングで経験できたことで、改めてその重要さに気づくことができたと思います。