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メイキングストーリー 成瀬拓也 39歳誕生日サプライズの舞台裏その①

令和元年5月4日 土曜日

時計の針は18時になろうとしていた。薄暗いオフィスの中で、成瀬さんはテレビの前のソファに腰掛けていた。泣いていたのだろうか。肩が震えていたようにも見えた。

鼻をすする音が幾度となく聞こえた。成瀬さんの周りで聴いていたメンバーも、数人涙を流していた。ふじこさんとショウタさんは、ティッシュを取っては濡れた顔を拭いていた。

キッチンに隠してあるバースデーケーキ。その近くで優しい表情で成瀬さんを見つめるひなさん。ケーキに火をつける役割だった紀子さんは、落ち着かない様子でキッチンを見ていた。

あるぱかさんはキッチンとリビングの間を行ったり来たり。そして、確かめるようにその作品を聴いていた。

その作品には、沢山の人の想いが詰まっていた。成瀬さんへの感謝の気持ち。そして、成瀬さんに「世界はひとつの家族だって感じて欲しい」という想いが詰まっていた。

平成31年4月23日 火曜日

きっかけは、はるさんから届いた一通のメールだった。

「ねぇ、ジョージ。5月4日が成瀬さんの誕生日なんだけど、なるカレメンバーでなにかできないかな?」

この時はまだ何にも思いつかなかった。だけどわたしはすぐに「やろう!」と返事した。やりたかったから。何か、わたしもしたいと思ったから。

平成31年4月24日 水曜日

結局何にも思いつかなかったけれど、やるべきことはなんとなく分かっていた。わたしはメッセンジャーアプリを開いてグループを作成し、「成瀬さんの誕生日をお祝いする会」とグループ名をつけ、勝手にひなさん・ゆうさん・むすびん・れぉさん・あやかさん・ぽぉちゃん・ショウタさん・かすみんをグループに追加した。

そして、企画してくれたはるさんをメンバーに追加していないことに気がつき、追加した。はるさんは笑っていた。

平成31年4月25日 木曜日

わたしはまずは思いついたものを列挙してみて、みんなの意見を聞こうと思った。そこで5つ案を提示してみた。

①ひとりひとり手紙を書く
②ひとり一輪花を買う
③「なるせたくや」のあいうえお作文をそれぞれ作る
④成瀬さんへのメッセージを集めて「なるカレ卒業文集」を作る
⑤およそ60人÷12カ月=5人だから一年間「週刊なるなる」を発信して成瀬さんへのメッセージを毎週お届けする

尚、わたしが5つの案を提示している時、はるさんは勝手にメンバーをバンバン追加していた。あるぱかさんがグループに参加したのもこのタイミングだった。

はるさんの勢いは増すばかりで、このタイミングでメンバーは20人程になった。1期生はほぼ揃っていた。そしてメンバー追加の通知の鳴り響く中、かすみんが⑤の案に賛成してくれて、ゆーきりんが③の案に賛成してくれた。

メンバーが増えると、会話はカオスになってきた。わたしはぽぉちゃんが風船で空を飛んできて成瀬さんをお祝いする案や、あるぱかさんがくす玉から出てくる案も出してみた。

みんなの会話が進む中、わたしはメンバーそれぞれお互い何期生なのかを知らないことに気づく。そこでメッセンジャーグループのニックネームをツイッター風に名前の後ろに○期生とつけることにした。

ゆうさんは2期生でかつ3期生のサポーターを務めていた。凄く分かりづらいから本人にどっちなのかを聞いてみた。「たぶん2期生」と答えが返ってきたので、わたしはゆうさんのニックネームを「ゆう@たぶん2期生」に変更した。

あるぱかさんが5月4日の体育祭の後の懇親会の場でサプライズをしたらどうかと提案してくれた。ショウタさんとひなさんは間髪いれずにそのコメントにイイネしていた。

「成瀬さんがなるカレやってて良かったなーと思ってもらえたらいいな」とわたしが言うと、はるさんが「さすがジョージ」と褒めてくれた。嬉しかった。そして、はるさんはこう続けた。

「どんな形でもきっかけをみんなもらえたと思うんだよね。今すぐ返したいぐらい感謝してるけど、まだまだ力なくて何もできないし、お仕事でもまだまだ関われないけど。成瀬さんが喜んでくれたらうれしい!世界は1つの家族だって成瀬さんに感じて欲しい」

これとほぼ同じタイミングだった。メッセンジャーアプリの通知が来て、成瀬さんが別のメッセンジャーグループでコメントをしていた。なるカレTシャツのグループだった。

「Tシャツをつくることで『みんなが家族になる!』みたいなのやりたい!」

同じことを言っていた。成瀬さんが、はるさんとほぼ同じタイミングで同じことを言っていた。これは間違いない。「絶対成功する!」わたしはそう思わずにはいられなかった。

懇親会の会場で渡すのなら、メッセージビデオもいいかもしれない。ゆーきりんとよっしーがそう話してくれた。はるさんは「ならTシャツ着なきゃ!」と目をキラキラさせていた。

メンバー追加は止まらない。「誰か2期生招待してー!」と、はるさんが呼びかけると「ほーい!」とすかさずショウタさんが動いた。このタイミングでグループに参加したみきねぇは、ここまでのメッセージを読んで既に感動して泣きそうになっていた。

のんたんがグループに参加した。「成瀬さんがビックリして泣いちゃうようなことしたい!」と意気込むと、あるぱかさんが「以前の誕生日サプライズで成瀬さん涙ぐんでましたー!」と今までやってきた誕生日サプライズの企画を教えてくれた。

それは7年前の動画だった。ウィルフォワードメンバーが、成瀬さんの鳥取の実家から品川までタスキリレーをしながらメッセージを集めるという企画。かったんとたかちんはその動画に感動していた。ひなさんは「成瀬さんは本作ったりありとあらゆるサプライズ受けてるよねー」と感慨に耽っていた。

参考までにと、あるぱかさんが2012年から2018年までの毎年行った誕生日サプライズの動画や本やnoteを共有してくれた。凄まじい量だった。ウィルフォワードとは、なんて楽しそうな会社なんだとも思った。

あるぱかさんは、2019年はUN国際大学の企画をやろうと思っていると話してくれた。ニックネームをうんこに変えたたちばなさんがタイムリーに「誕生日サプライズの動画泣けた」とコメントをくれた。UN国際大学とは〝うんこくさいだいがく〟のこと。その話題の後にニックネームうんこでコメントするなんて流石だと思った。

ゆーきりんも動画を見て泣きそうになっていた。観る人の心を動かす動画。いつか成瀬さんが結婚式の新婦の手紙の話をしていたが、わたしたちが成瀬さんへのメッセージを贈ることも同じ効果があるのでは、と思った。みんな、ではなく想いの詰まった特定の誰かへ宛てたメッセージ。それが結果的にみんなの心を動かすんだと、成瀬さんは以前話してくれていた。

「ウィルフォワードは今年はUN国際大学で面白路線で行くから、なるカレメンバーが感動路線で行ってくれたらバランスがいい」あるぱかさんがそう話している中で、わたしはメンバーがまだ全員集まっていないことに気がついた。この時は既に40人程集まっていたが、なるカレメンバーは全員で60人程だ。まだ足りなかった。

かすみんが4期生のメンバーを追加してくれた。わたしは60人分のハッピーバースデーをボイスメッセージで重ねたらどうかと案を出したが、かったんに「カオスになる」と止められた。60人は多すぎるのか。

ぽぉちゃん、かすみんが続けて案を出した。なにか60人分のメッセージをまとめる方法はないか考えていた。かったんが、各期に分かれて録音すればその人数ならキレイに重ねられると言った。ななえさんは、ハッピーバースデーソングを4区切りして歌うのはどうかと案を出してくれた。

「人数多いとなると、どういうアウトプットにするかは工夫が必要になりますよねー。参考までに大人数でもやりやすそうかつなるカレメンバーでやれそうなアイディア共有しますね」

あるぱかさんはそう言うと、アイデアをまとめて提示してくれた。はるさんは相変わらずの〝あるぱ神っぷり〟に感動していた。あるぱかさんは案を3つにまとめてくれた。

【誕生日サプライズアイディア】
①なるカレらしい真面目系
各々が自分らしさを出して(成瀬さんとの具体的エピソードを入れるなど)、成瀬拓也T-UPを1分ぐらいで話したものを音声データで作成
→60人分プレイリストにしてプレゼント
(計60分であれば、ランニングしながら聴ける!)
 
②一体感ある系
成瀬さんの好きな曲を皆で合唱
演出例)
体育祭後の打ち上げにて、
誕生日ケーキをサプライズでプレゼントしてお祝い

仕掛け人A「成瀬さんの誕生日を祝して、本日来れなかった方からもビデオメッセージが届いております」

成瀬さんの好きな曲が流れ始め、〇〇が歌い始める
※曲の音源をしょうたのピアノとかは理想かも

一小節毎に歌う人が変わっていく

サビは複数人同時

2番に入ったら、会場の人も歌い出す

最後はみんなで肩組んで一緒に歌う

③ストレートな感動系
一人ひとりがガッツリ成瀬さんへの感謝のお手紙を書く。

手紙は花?の形とかに折っておき、花束的なものを作る。

当日ケーキと共にプレゼント

かすみんが①に賛成し、のんたんは①と②に賛成した。ここでふみさんが参加して、更なるアイデアを出してくれた。

今参加しました!!今更感ありますが、プラスでアイデア出します!蛇足だったらすみません。

1.人数多いので、5月4日から来年のお誕生日まで、ひとりひとりが毎日登場する日めくりカレンダー(顔写真+メッセージ)
60人だと1年で6回登場する計算
今日はだれかな?!って毎日ワクワクして欲しい

2.リアル成瀬さんを探せ!!
当日参加できる人は、みんなが成瀬さんの顔お面を付けて登場。全員成瀬さんでビーチがカオス!

続く≫

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