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日本最大の砂丘は猿ヶ森砂丘ではない #4
また会いましたね。地図ねこです。
これは、
の続きなので、まずはそちらからどうぞ。
個人的に、この #4 は本稿で筆者が最も伝えたい部分にあたるので、ぜひぜひ最後まで目を通していただければ幸いである。
…………てなわけで。
それでは、始めよう。
本当の「日本最大の砂丘」はどこか?
正解は「わからない」
「日本最大の砂丘は、一体、どこかわからない。」
こう答えるしかない。
これまで長々と本稿に目を通していただいた読者諸賢には、その理由は十分にお分かりいただけたのではないかと思う。
砂丘の規模を比較するのは難しい。
どう比較しようと、いずれは筆者のようなひねくれ者がケチを付けるであろう。
「わからない」と答えるしかないのだ。
なんでも「一番」が気になるのが人間というものである。
砂丘のような地形に限らず、人間という生き物は何につけても「比較」や「格付け」が好きな生き物である。
しかしながら、世の中には安易に比較して「一番」を決めることのできないものが数多く存在する。
むしろ、安易な格付けが、かえってそのものごとについての理解を遠ざけてしまうことすらある。
日本最大の砂丘は、わからない。
その答えこそが、砂丘について「わかる」ということなのだ。
おわりに:情報社会を生き抜くために
まずは筆者の拙い文章を最後まで読んでいただいた読者諸賢に深くお礼をば。
以降は後書きになるが、どうせここまで読んでしまったのだからということで、最後までお付き合いいただきたい。
さて、「日本最大の砂丘は猿ヶ森砂丘ではない」という題名に釣られて本稿を読むに至った読者の方は、おそらく本稿を読み始めるにあたって「じゃあ本当の日本最大の砂丘はどこなの?」と思って読み始めたのではないかと思う。
しかし本稿はどうであったか。
まず「砂丘とは何か?」という問いより始まり、次に「日本最大の砂丘は猿ヶ森砂丘である」という言説に対する反論をひたすら長々と述べた挙げ句、最も読者が気になっていたであろう「本当の日本最大の砂丘はどこか?」という問いには最終的に「わからない」と開き直る始末。
読者諸賢にとっては、かえって余計なモヤモヤを残す結果となったかもしれない。
しかしながら。
そもそもなぜ「猿ヶ森砂丘は日本最大の砂丘である」という言説がここまで流行ったのかといえば、「最も有名な砂丘の鳥取砂丘が実は日本最大ではない」「猿ヶ森砂丘は自衛隊の敷地になっており一般人は立ち入りできないためにあまり知られていない」といった、安易にスッキリとした説明をつけることのできる内容が大衆に受け入れられやすかったからに他ならない。
情報化の進んだ現代では、「雑学」の皮を被った誤情報や安易な解釈がそこら中に溢れ返っている。
それらのすべてについて、専門的な知識を持たない一般人が正誤判断をするのは難しいかもしれない。
ただ、「日本一」などのわかりやすい数字を使った情報や、あまりに単純明快な説明がなされている情報などの、明らかな「地雷」を鵜呑みにしないことという自衛手段は存在する。
また、可能であればその情報の根拠を確認することも手段としては有効である(ただし、日本語版 Wikipedia はしばしば誤っているため注意)。
どうかこの嘘と虚構に塗れたインターネットを、あなたも私もお互いに生き抜けますよう。
ちなみに、日本一広い湖は琵琶湖です(注18)。
注18:Wikipedia「湖沼の一覧(面積順)」より
地図ねこ