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【映画日記】『トラペジウム』『青春18×2 君へと続く道』『からかい上手の高木さん』

2024年5月25日(土)

府中TOHOシネマズ 『トラペジウム』
乃木坂46の高山一実さんという人の原作によるアニメ作品。私の娘がアイドルもののアニメが好きなので観に行った。観客席には子どもの姿はほとんどない。主人公は田舎に住む高校生で,それは後で分かることだが一人でオーディションを受けるタイプのアイドル活動はことごとく失敗したため,この田舎町からそれとなく仲間をつどい自分でアイドルグループをプロデュースする形で道を開くという物語。この原作者がどういうアイドルで,自分のことをどれだけ作品に反映しているか分からないが,よくできているストーリー。アイドルの内実についても素人の目から見るとそこそこ丁寧に描かれていて,一定のリアリティを確保している。そんなこともあって,娘はかなり気に入った様子。乃木坂効果でそれなりの集客はあると思うが,もう少しターゲットを子どもにも合わせても良かったとは思う。登場人物のなかでアイドルを諦める子がいるからだろうか。
ちなみに,トラペジウムとは台形をした四つ星のことだそうで,本作の東西南北4人のアイドルユニットを象徴する言葉のようだ。

2024年6月1日(土)

立川立飛TOHOシネマズ 『青春18×2 君へと続く道』
私のパートナーは台湾人で少し映画業界にも関りがあった。本作には知人・友人が何人か関わっている。仲の良い友人は撮影現場の通訳として参加,主人公の学生時代の友人で一緒に会社を立ち上げた人物を演じるフィガロ・ツェンさんは,15年前に来日した時に一度お会いしたこともある。まあ,それはともかく私的には清原果耶さんが目当て。彼女の初(?)主演作『宇宙でいちばんあかるい屋根』と同じ藤井道人監督作品というのも期待が持てます。また,作品のウェブサイトによると監督の祖父が台湾出身で,自らも台湾への留学経験があるという。そういう意味でも,また主人公が台湾の俳優で現地のスタッフがちゃんと参加していることもあり,台湾映画の雰囲気をしっかりと味わえる作品。果耶さん演じるアミが台南の日本人が経営するカラオケで働くことになり,そこで出会った主人公のバイクに二人乗りをさせてもらうシーンで,「台湾映画みたい」というシーンがとてもいい。また,あえて台湾で岩井俊二の『Love Letter』を二人で観るシーンも泣かせます。私の観たスクリーンは座席の少ないところだったこともあり満席で,しかも若い観客が多かったので,何となく泣くのを遠慮してしまったが,本格的に泣くことができる映画だった。ストーリーとしてはオーソドックスだが,こういう映画が撮り続けられるというのは重要だと思う。
そして何より清原果耶さんの素晴らしいこと。また彼女が演じるアミに会うために観てみたい。

2024年6月2日(日)

府中TOHOシネマズ 『からかい上手の高木さん』
本作は山本崇一朗の漫画が原作で,アニメを子どもたちと見ていた。原作本は持っていないが,主人公である西方君と高木さんが結婚して娘と暮らす未来を描いた『からかい上手の元高木さん』という別の人が描いたコミック本がうちにある。原作は映画化もされ,それも娘と一緒に観に行ったが,いまだに実写映画に抵抗のある娘は当初,本作は観たくないといっていた。しかし,後日映画館で本予告を観てからは印象が変わったようで,観に行くことになった。私も永野芽郁が演じるその後の高木さんが予告編で非常に魅力的に見えたので,私自身も楽しみにしていた。『元高木さん』では,西片が体育教師になるという未来像だが,本作では結婚する前を描く。高橋文哉という俳優は初めて見たが,予告編では実写版ドラマをひきずってか,ちょっとひ弱な印象を持った。『元高木さん』で描かれる大人の西片はそこそこマッチョなのだ。しかし,実際に本編をみると体もしっかりしていて,顔もなかなかハンサム。しかし,しゃべり方が少し作りすぎな気はした。いずれにせよ,大人の高木さんを演じる永野芽郁さんは非常に魅力的で,そして原作ファンをも裏切らない(?)高木さんを演じていたと思う。私は原作を最後まで読んでいないので何とも言えないが,この映画は西片と高木さんの心情を語りすぎだと思う。それは前日に観た『青春18×2 君へと続く道』とも共通しているが,確かに観る者は登場人物の心情を知りたい。しかし,全部知らせてしまったら観る者の想像の自由を奪ってしまうし,そもそも原作の魅力はそこを明確には描かないことにあるのだと思う。そういう意味では以前ここでも紹介した杉田協士監督作品はあまりにも登場人物の心情を言葉としては表現していないので,観る者にはある程度のストレスを与えるが,その分自由な想像力を与えるものであり,対照的だといえる。


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