
刑事コロンボ「仮面の男」
刑事コロンボのシリーズの中では、傑作に属するひとつに数えています。
何よりも今回はCIAのスパイが相手という手強さが、他の作品にはない形式だったと思います(あ、オペレーターでしたっけ)。
コロンボはいつも通りに捜査してるだけなのに、尾行されたり、同行を求められてCIAのボスからの干渉を受けちゃったり、挙げ句の果てには、自宅に盗聴器まで仕掛けられる始末。
普通の人ならそこで音を上げますが、それでもねばり強く食い下がっていくのがコロンボ流。
CIAが相手でも、殺人事件なら決着まで持って行ってしまうところが、この回の面白さなんでしょうねぇ。
アリバイをあばくところも見事です。わざわざ時計に細工をして夜11時のアリバイを作った犯人ですが、コロンボは違う観点から見破りましたね。
冒頭からカッコよく登場しますが、あっさり殺されてしまう役のレスリー・ニールセン。この人はやっぱり「裸の銃を持つ男」のイメージが強くて、コロンボでのクールさは逆に笑ってしまう(笑)。
中国が参加ボイコット表明した五輪…。多分、1976年ですよね。調べたら、モントリオール五輪でした。この時は、中国だけでなくアフリカ諸国などいろいろな国がボイコットしていたんですね。
余談ですが、オールブラックスが、まだアパルトヘイト統治下の南アフリカにラグビー遠征したことが波紋を呼んでいたというのは、この時のことだったんですね。
(以下2020/11/20加筆)
この回で印象的だったのは、カメラのアングル。意図的だと思うんですが、窮屈な構図が目立ちました。
例えば、遊園地の写真撮影の女性と一緒に、容疑者の写真を探すシーン。不自然なほど窮屈な空間に二人収まって演技しています。カメラの位置も、前から撮るときは微妙に低かったり、背後から撮るときは変に高かったりします。
また、ガソリンスタンドで、犯人の車にコロンボが上半身をぐいっと入り込ませて会話する場面を、後部座席からの低いアングルで撮るシーン。
とにかく狭い空間での狭いアングルが気になる回でした。
アングルというと、かのスピルバーグ監督による「構想の死角」を思い出します。この作品に関する批評を読むと、さすがスピルバーグと唸らせるアングルが次々と出てくるといいます。
でも私にはそんなことはさっぱり分かりませんでした(笑)。スピルバーグが監督していようと、コロンボはコロンボでした。
アングルの視点で言うなら、今回の「仮面の男」の方がずっと印象的でしたね。