銚子・その2「待合室」「風のアトリエ」「地球の丸く見える丘展望館」「犬吠埼灯台」「絶景の宿 犬吠埼ホテル」「プれンティ」
旅館のチェックアウトを済ませると銚子港に行った。
なんとなく港の写真を撮っておきたくて、何枚か撮ると銚子の駅に向かった。
今日は犬吠の方を回ろうと思って、まずは駅で荷物を預けようと思っていた。
ところが朝の10時の時点でコインロッカーは埋まっており、観光案内所で他にロッカーはないか聞いたところ、銚子駅付近にはなくて犬吠の駅なら空きがあるかもしれないとのことだった。
面倒なことになったと思いながらロッカーの場所に戻ったら空きが出ていて、すかさず荷物を預けた。
またロッカーは全て使用中になってしまったので、僅かな時間にチャンスを掴んだようだ。
電車の出発まで少し時間があったので駅前の気になっていた喫茶店「待合室」に入った。
なんてことのない喫茶店なのだが昭和な店内でアイスオレを提供されると風情があるものだ。
味も特別なものではなかったが美味しかった。
店員さんが「お兄さん身長おいくつですか?」と、一見と思われる客に質問しており、随分と客との距離感が近い喫茶店だと思って振り返ったら巨人のような男が立っていた。
確かに今までに見た事がないぐらいに背が高くて、私でも、すれ違ったら「身長おいくつですか?」と聞いてしまいそうな外見だった。
店を出ると銚子電鉄の改札に向かった。トンネルみたいな入り口で、これから別の世界に行くぞって感じで良かった。
銚子電鉄に揺られて犬吠駅に向かった。昨日に銚子ポートタワーまで歩いた道のりが窓から見えた。
我ながら、よくあんな坂道を歩いて向かったものだと驚いた。
車掌さんが車内で「切符を見せてください」と忙しそうに回っていたが、観光客で満員の車内で全員の切符を見て回るのは不可能に思えた。
性善説に考えているのだろう。都会では絶対に無賃乗車の人間が出てきそうだと思った。
犬吠駅に着くと土産物屋で濡れ煎餅を買った。
銚子電鉄が予算がなくて廃線になってしまうと困っている時に、インターネットで話題になった名物の濡れ煎餅が売れたおかげで、銚子電鉄は線路や踏切の修理ができて廃線を免れたとのことだ。
私はぬれ煎餅が大好きなので、家に帰ったらスーパーで買ったものと食べ比べてみようと思った。
犬吠駅から歩いて次の目的地である「風のアトリエ」というレストランに向かった。
道中は坂道で、尚且つ誰も周りに歩いていなかったのだが、私以外の人間は車で向かっているのだろうか?
なんとか店に着くと窓際の席を取った。
12時すこし前につくことができたので好きな席を取ることができたが、少しすると大量の人間が入ってきて席が埋まってしまったので早めに行って良かった。
こちらのレストランは海が一望できることで有名で窓ガラス越しに見える景色は絶景だった。
少し目をスライドさせるとヤギがいて驚いた。店で飼っているのだろうか?私の住んでいる都心では動物園以外では見ないので面白かった。
黒板のランチメニューからベーコンとあげ茄子のピリ辛パスタ(1150円)を注文した。
最初にサラダとスープが提供されたのだが、凝ったもので美味しかった。
パスタもしっかりとパンチの効いた辛さで最後まで美味しくいただけた。
店を出るとすぐ近くの「地球の丸く見える丘展望館」に行った。
こちらも展望スペースがあり、銚子ポートタワーとは違ってガラスに覆われているわけではないので開放感があった。
しかし風や日差しが強くゆっくりと見ていられる感じではなく、適当に景色を眺めて写真を撮ると下に降りた。
そこから歩いて外川駅に向かった。犬吠駅に戻っても良かったのだが、銚子電鉄の終点の駅をなんとなく見ておきたかったのだ。
駅には電車の発車時刻のかなり前にも関わらず人がいて、みんな珍しいのか駅舎や止まっている電車の写真を撮っていた。
そこから犬吠駅に移動すると「犬吠埼灯台」に向かった。
灯台に向かう途中には今は営業していない「マリンパーク」の廃墟が当時の原型を留めたまま放置されており良かった。
有名な観光地で、観光客でごった返しており、入場制限で15分ぐらい待ってから入った。
長い階段を上と灯台の頂上に着くのだが、扉を開けると凄い風で凧のように飛ばされそうだった。
柵から下を見ると地面があり当然ながら落ちたら助からないだろう。怖いところだった。
景色はそれまで見た中でも一番良かったが、人も多かったので景色をサッと見ると降りた。
旅も後半戦。「絶景の宿 犬吠埼ホテル」まで歩いていき日帰り温泉に入った。
サウナがあるということで多少は期待して行ったのだが、水風呂は「ぬるま湯」と呼ぶに相応しいもので、サウナの楽しみである「整い」は訪れそうもなかった。
そのかわりと言ってはアレだが、温泉からは絶景の海が眺められたので入浴を楽しんだ。
時刻は17時ぐらいだったが、鈍行電車で4時間ぐらいかけて帰る私には終電が迫っていた。
犬吠から銚子電鉄で銚子駅に戻ると、最後の目的地である「プれンティ」というレストランに行くために、成田線の下総豊里駅で途中下車した。
駅からレストランまでは10分ほどの道のりだったが、都会の駅と違って街灯の1つもなく、私のように大荷物で徒歩移動している人間は誰一人いなかった。
中年の男に襲いかかる変質者は多くないだろうが、それでも誰かに襲われはしないかと恐怖を感じた。
スマホの懐中電灯機能を使って前に進み、なんとかレストランにたどり着いた。
この「プれンティ」という店で名物のパフェを食べようと思っていたのだが3グループぐらいが店外の椅子に座って待っていた。満席だった。
1時間後には駅に戻らないと終電になってしまうので焦った。だからと言ってパフェを食べるのを止めて駅に戻っても1時間は暗い駅で時間をつぶす羽目になるので、とりあえずは台帳に名前を書いた。
15分ぐらいで順番が回ってきて、パフェもすぐに提供できますよとのことだったので、チョコパフェを頼んだ。
提供されたパフェは写真では伝わりづらいが私が今まで食べたものの中でも一番に大きく、恋人とシェアするのが相応しいように思えた。
そうは言っても、これを食べきらなくてはいけないと思いスプーンを刺した。
掘っても掘ってもアイスクリームが出てきた。1日にこんな大量のアイスクリームを食べても良いのかと怖くなった。
味が単調なので下の方にある蜜柑やコーンフレークをほじくり返してアイスに乗せて食べた。
そういえばラーメン二郎でラーメンを食べる時に「天地返し」というテクニックがあって、野菜の下に埋まっている麺をほじくり返して野菜の上に出す技なのだが、それを思い出した。
何はともあれ、なんとか完食した。完食できたことに自分で驚いた。
美味しかったけれど1人では二度と食べないと誓った。また晩飯がパフェというのは量の問題ではなく物足りなさが残るので、やはり食事系メニューを頼むべきだったと後悔した。
なんとか時間的には余裕を持って食事を終えられたので、ゆっくりと駅に戻って、無事に帰りの電車に乗れた。
暑い日だったが大量のパフェを食べて体が冷えて、汗が引いたのは良かった。
そうは言っても朝から出っ放しで、帰りは4時間の鈍行電車に揺られて、流石に疲れた。
ただし久々の旅行は充実した気持ちにもなれたので、この時のモチベーションを糧に、また新たな旅行に旅立とうと思った。