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修士論文の記録〜その1
ヨーロッパ修士留学しているナナです🐥 今回は修士論文について、一年目から夏休みの間に関する記録です。
わたしが進学した理由は、明確に研究したいテーマがあったというよりは、研究手法を身につけるためでした。なので修論については、一年目の間に大体のテーマが決まるといいなあ、くらいの気持ちでいました。
修士一年目は多くの授業を取り、課題を通して様々な手法やテーマに触れることができました。留学先はいわゆる研究大学なので、先進的な授業というよりは、基礎をとことん鍛えるスタイル。開始直後からどの授業でもリサーチデザインを徹底させられ、さすがに実力がそこそこついてきたと思います。一人前の研究者に求められるクオリティを知ることは有意義でしたし、仕事にしたいかどうかを検討するための材料にもなりました。
一方で、特に二学期目からは、授業を楽しみながらも修了後のキャリアについて悩む日が続きました。長くなるので割愛しますが、研究を仕事にしたい・博士進学したい・地元で暮らしたい、といった希望が対立し、自分の中での修論の位置付けが変わり続けました。テーマにおいて優先すべきものが自分の興味なのか、就活に役立つものか、汎用性の高いものか、研究意義の高いものなのか。もちろん全て成り立つものがベストなのは百も承知ですが、進む可能性のある道が多数ある中で自分自身に振り回されました。
一年目が無事に終了し、三か月間の長い長い夏休み。「夏休み中にテーマを決める」をゴールに、自己分析したり、先行研究をひたすら読んだり、専門分野のレポートで先鋭テーマを確認したり、就職活動を検討したり、前に進むために思いつくことは片っ端からやってみる日々です。これまで何度も経験した、「これだ!」と全てが繋がりパッと道が開ける快感を追い求めながら、二転三転。希望に満ち溢れる日が一週間に一日あれば良い方で、やる気も出ない日がほとんど。何もやらずに終わった日には、学業に専念できる恵まれた環境なのに、なんで頑張れないんだろう…と自己嫌悪に悩まされました。
また、自分のアウトプットへの期待値が高すぎることが進展を邪魔している自覚はありましたが、変わることができない。修論のテーマに対して、実現可能でないといけないこと、キャリアの悩みによる不安定さに加えて、自分が納得できるレベルの高さという制約が上乗せされた状況で、学業に関しては、とっても苦しい夏休みでした。
そんなこんなで、テーマが決まらないまま夏休みが終了しました。学期中は新しい知識を吸収する楽しさが毎日ありましたが、修論に関しては何か月も悩んで、それでも前に進まない感覚でひたすら辛かったです(暗くてごめんなさい)。
もっと言語化すると、修論が完成しないかもとか、卒業できないかもとか、修士論文というプロジェクト自体が自分にできないかもと思ったことは一度もないですし、他の学生よりも劣っていると感じることもないです。どちらかといえば、自分のやろうとしている研究に意義はあるのか・自分がやって意味はあるのか・このまま進んでもいいのかという不安が尽きず、どこかで妥協しないといけないことは分かっているのに、妥協したら後悔するんじゃないかという気持ちがずっと頭のどこかにある。そんな悩みだったのかなと思います。
現在は、三学期目が始まってから一か月の間で、なんとか前に進めそうなテーマが見つかりました。革新的ではないし、心の底から納得できているわけではないのですが、貢献したいと思える分野に小さな小さな石を投げ込めそうな感覚はあります。そういった意味では、ひとりにできることのちっぽけさというか、一度のプロジェクトで達成できることの少なさを実感して、でも学問ってそういうことなんだろうかと考えられる余裕はできました。先人たちの肩の上に立っていること、自分ひとりにできることの限界を自覚して、次の人にバトンを渡す、ほんのちょっと、そんなことができたら万々歳かな。しかも修士って、研究者の入り口にも立ってないような存在なんだけど、、、、プライドの高いわたしが、良い意味での「諦め」を学べているこのプロセスは貴重だなと思える。
この記事を書きながらぴたっとくる言葉を考え調べていたら「諦観」という言葉に出会いました。仏教で「ものごとの道理をわきまえることによって、自分の願望が達成されない理由が明らかになり、納得して断念する」という意味で用いられるそうです(引用元)。思い通りにいかず苦しくても、どこかにはたどり着けると信じて、それが正解だったと自分を納得させて頑張るしかないと思います。
くらーい内容がほとんどでしたが、いまは少し前向きになれているので、また研究テーマの決め方や今後の進捗を記録できればと思います。では!