伝説は神が創り、人が広める

久しぶりの投稿になります。しばらく月末にかけて仕事をこなしておりました。
急ぎの案件がいくつかあり東奔西走、家に帰るのは午前2〜3時など、私が従業員であればブラックだ!と訴えたくなるような日々を過ごしておりました。
日曜日は選挙速報のため19時には仕事から帰りましたが、そこから開票速報を見ていたら午前3時。
そのままの勢いでメルマガ制作。何やってんだ。
ひと段落したので今日から月末までは寝て過ごします。
いやまじで寝たい。

さて、以前の記事『神は細部に宿る』
https://note.com/genyohsha/n/n32ad28104b54
にて、友人の話を少し書いたと思うが、本日の主役は彼だ。
某社社長であり、本人も積極的に業務に関わり顧客と良い関係を築いている。私とはバイク友達であり、もう10年の付き合いだ。
そんな彼が2年前、長く乗っていたハーレーを手放すと言い出した。
きっかけはBMWのバイク試乗会である。せっかくだし一緒に行かないかと誘われ、当時の愛車、カワサキのZ1000を目覚めさせる。
相変わらずエンジンをかけた途端アドレナリンが噴き出すような、そんな音で吼えてくれる。良いバイクだ。
…といった自画自賛は置いておいて、バイクのBMW。知ってたとはいえ、やはりスペック至上主義であった私からすればノーマークの会社。
しかし車のBMWといえば文句もない高級車。私は外車ディーラーなんて敷居の高いところに入った経験など、人生において一度もない。いや、ある。
母がベンツを買う際に、見積もりチェッカーとして行ったことがある。
人生で一度だけだ。
そんなわけで自ら外車ディーラーに行くのは初なのだ。
そんな人間が堂々と店内に入れるはずがあろうか。
ガタガタと震えながら恐る恐る入店した。ぼっち・ざ・ろっくの後藤ひとりを思い浮かべてほしい。
そう、私の姿は完全に作画崩壊だ。作画崩壊がガタガタ震えているのだ。
店員さん、お客さんは恐怖だったに違いない。
そして不審者はバイクを見る。主にスペックシートを見る。
ふん、スペックは良く言えばそれなり、悪く言えばパッとしない。
まぁ、このエンジンならそんなもんだろう。どうせ付き添いだし、適当に眺めとくか。と思ったら、
『一緒に乗らん?』
…断れるわけないじゃないですか。乗ります。

試乗コースやバイクの操作など、一通りの説明を受けまたがる。
私の乗ったバイクはR1250GS。オフロードも走れ、長距離も快適なアドベンチャーと呼ばれるジャンルのバイクだ。
道の駅によくいる、大きめのBMWエンブレムがついたバイクは大体それだ。
さて…またがってみた感想は、
『足届かん』
仕方ない、ゲルマン人の体格に合わせて作っているのだ。
身長172cm、ダックスフントと呼ばれた、貧相な股下の私にはとてつもなく辛い足つきだ。
シートからお尻を横にずらして足をつかねばなるまい。
これでも一番車高が低いグレードだと言われた私の絶望感は、足の長い民族には決して理解できないであろう。ガッデム。
…走り出せば足なんてつかなくても良いんだよ、と自分を慰め、特になんの感慨も期待もなくスロットルを煽りクラッチを繋ぐ。

ー走り出しから脳には違和感。
なんだこれ。なんだ、これ!?
速い感覚はない。当然だ、スペックはそれなりなんだ。
なのにスピードメーターにはとんでもない数字が表示されている。
いやいやいや、これはおかしいだろ。なんなんだ一体!?
脳の感覚と実際の感覚、双方のズレが大きければ大きいほど、人間には酔いというリアクションが生まれる。
いかんいかん、感覚を合わせないとこれはきつい。
必死に感覚のズレを直し、バイクに集中する。
慣れてきた頃に感じたバイクへの想いは、
『なんて出来た嫁だ…!』
そう、このバイクはとても出来た嫁なのだ。全時代的と言われるかもしれないがあえて言わせてほしい。
例えば手を持ち上げ、指をチョキにした時にはすでにタバコが持たされており、火まで用意してくれているような、
食事が終わって浴室に向かうと、すでに寝巻きと肌着とタオルが用意されており、風呂にはお湯が張られているような、
まさに出来た嫁なのだ。
アクセルレスポンスは必要にして充分、パワーの出方もこちらの意図を汲み取ってくれる。
路面の状況に合わせ、絶えずサスペンションの硬さやしなやかさを調整してくれる。
このシートはなんだ、高級なソファーのようでいて、なおかつ必要な情報をしっかりと伝えてくれる。
これはあれだ、アラジンの乗る魔法のじゅうたんそのものだ。
車で言えば1000万円クラスの高級車。
さらにクルーズコントロールや、AFS(曲がる方向にヘッドライトを向けてくれるすごい機能)までついている。
それが300万円でお釣りが来る。
世界は広い。
あんなに大したことないと思っていたBMWのバイクに、ここまで心を震わされるとは。

試乗はあっという間に終わり、友人と話すが感想は同じだった。
とんでもなく良いバイク。世界でユーザーが多い理由も納得である。
そして友人は即見積もりを取った。
私は
(でも300万か…BMWがいいのは分かったが、もっと安いのがいいな…)
と中古車を見る。
そこで一目惚れしたバイクを買うことになるのたが、これはまた別の機会に。

さて、友人は買ったのか?と席に戻るとなんか揉めてる。
どうやら下取り額に納得がいかない様子。
話を聞いていたが、だいたい40万ぐらい低い査定額をつけられたらしい。
そこで車屋のそろばんが頭に浮かんでくる。
…希望額は100万か。それならこっちで売り手探せる可能性は高いな。
最悪ヤフオクに流せばそのぐらいになるしな。
「じゃあ僕が買い取りますよ」
と言ってみたところハーレー即決。友人はBMWを買った。
新車でオプションつけて400万。

この友人と一緒にいて常々思うのは、おかねもちってすごいなー、ということだ。
別に高いものを即決できるからすごいのではなく、ほしいものを欲しい時に掴むことが出来る行動力と資本力だ。
人間、やはりどこかで欲求にブレーキをかけてしまうことは多々ある。
収入が決まっている、養う家族がいる、自分の欲しいものより家族が必要なものを、といった具合に、どうしても自分の欲のみで動くことは普通は出来ない。
しかし、このブレーキを取り払えるように行動したものは、自分の欲求に素直に生きられるのだと、友人を見ていると実感させられる。
行動するから資本が増え、資本が増えるからさらに行動の幅が広がり、資本の幅も広がってゆく。
相乗効果でさらに世界は広がる。
神から与えられる伝説は、人々の口を通じてさらに多くの人々に広がってゆくのだ。
つまり、生まれた伝説も人々の口なくして広まることはない。
行動と資本はそのまま置き換えられるのではないか、私は今そう信じている。
これからの人生をどう広げるか、それはこの瞬間からの皆様の行動ひとつで無限に広がってゆくのだ。
挑み、傷つき、それでも歩みを止めない者だけが辿り着ける場所を目指すきっかけを、この文章が与えられたら光栄だ。

今回の文は3,000文字近いものになっている。
非常に長いが、最後まで読んでいただけたあなたに心からの感謝を。

いいなと思ったら応援しよう!