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発達障害の人はなぜ要領が悪いのか?

一般的に言って、発達障害の人は要領が悪いとされます。要領が悪いと、仕事や家事に時間がかかり、周りからの評価も下がってしまいます。この記事では、発達障害の人の要領の悪さの原因について解説したいと思います。


そもそも「要領が悪い」とは?

「要領が悪い」とは、物事を効率的に進められず、無駄な時間や手間がかかる状態を指します。これは、仕事や日常生活において計画を立てられなかったり、優先順位をつけられずに混乱したりすることが原因です。

例えば、仕事でタスクが複数あるのに、最も重要なものから取り掛かるのではなく、あまり意味のない細部に時間をかけてしまうことがあります。また、買い物の際に、メモを忘れて余分なものを買ったり、必要なものを買い忘れたりするのも一例です。このような要領の悪さは、無駄な労力を生み出し、結果的に生産性を下げてしまいます。

発達障害にありがちな要領の悪さ①【注意力の問題】

要領の悪さに直結する発達障害の特性としてまず思いつくのは、ADHDをメインとした【不注意】です。不注意特性には、ケアレスミス、集中力の低さ、ワーキングメモリ不足などが含まれます。これらの特性は、日常業務や仕事での効率を低下させ、要領が悪くなる原因となります。

ケアレスミス
ADHDの不注意特性の一つであるケアレスミスは、細部に気を配ることが難しく、結果的に単純なミスを繰り返すことが多いと言えます。たとえば、書類の記入漏れ、金額等の計算ミス、メールの誤送信など、です。こうしたミスは、後から修正が必要となり、余計な時間と手間がかかるため、仕事全体の進行が遅れる原因となります。

集中力の低さ
集中力の低さも要領の悪さにつながります。たとえば、業務中に注意がそれたり、他のことに気を取られてしまうことで、一つの作業に集中し続けることが難しくなります。話し合いの最中に注意が散漫になったり、途中で集中が切れてしまうと、重要なポイントを見落としたり、誤解を招く結果になることでしょう。これにより、同じ作業を何度もやり直したり、タスクの完了までに余計な時間がかかることが多くなります。

ワーキングメモリ不足
ワーキングメモリとは、短期間に情報を保持して処理する能力を指しますが、ADHDの人はこの能力が不足している傾向があります。たとえば、会議中に複数の指示や情報を受け取った際、内容をすべて覚えて処理するのが難しく、後から指示を忘れたり、誤って作業を進めることがあります。また、複数のタスクを同時に進める際に、ワーキングメモリが上書きされて、必要な作業工程を抜かしてしまいがちです。

発達障害にありがちな要領の悪さ②【シングルフォーカス特性】

発達障害の要領の悪さのもう1つの原因は、ASDのシングルフォーカス特性(以下、SF特性)です。SF特性は物事の全体像を把握することに困難がある特性です。この特性があると、仕事の全体を眺めた上で、どういった順番で作業するのが効率的か、と考える視点が欠けてしまうことがよくあります。

例えば、ASDのシングルフォーカス特性を持つ人が、新製品の企画書を作成するプロジェクトに参加しているとします。このプロジェクトには複数のステップがあり、それぞれが連携して進行していく必要があります。最初に行うべきは市場調査のデータをまとめることで、次にそのデータを基に企画の骨子を立て、最後にプレゼン資料を作成するという流れです。

しかし、シングルフォーカス特性がある人は、全体像を捉えるのが苦手なため、市場調査のデータを無視して、いきなりプレゼン資料の細かいデザインやフォントの選定に集中してしまうことがあります。この時点ではまだ内容が確定していないにもかかわらず、最終段階の作業に取り掛かるため、結果的に非効率で要領の悪い仕事ぶりになってしまうでしょう。

発達障害にありがちな要領の悪さ③【完璧主義】

同じくASDタイプに多い完璧主義も要領が悪くなる原因の1つです。一般的に言えば、仕事は完璧さを追求するより、完成させることが重要です。まずそうした上で、問題点があれば、適宜修正を加えることが望ましい順番です。

しかし、完璧主義の人は、はじめから正確性や細部へのこだわりを求めます。この傾向はSF特性とも関連しているでしょう。ただし、SF特性が仕事の全体像が見えずに細部に集中してしまう特性であるのに対して、完璧主義は、たとえ全体像が見えているとしても、細部にこだわってしまう気質のようなものです。

ASDの人は、SF特性と完璧主義、少なくともどちらかの特性を持っているため、仕事の効率は必然的に悪くなります。

発達障害にありがちな要領の悪さ④【処理速度の遅さ】

最後に考えられるのは、処理速度の遅さです。処理速度とは、情報を理解・判断し、行動するスピードのことを指します。発達障害のある人は、この処理速度が遅い場合があり、結果的に仕事の効率が下がってしまうことがあります。

処理速度が遅い発達障害のある人は、仕事においてさまざまな場面で要領が悪くなるのです。例えば、会議中に話された内容を理解するのに時間がかかり、議論の流れについていけなくなることがしばしばあります。これにより、発言するタイミングを逃したり、適切な意見を出すことが難しくなるでしょう。

また、伝票整理やファイリングといった事務作業においても、他の人に比べて作業の進みが遅くなることがあります。情報を整理するのに時間がかかるため、効率が上がらず、業務が滞ってしまうことがあるのです。

さらに、複数のタスクを同時にこなそうとすると、処理能力が限界に達し、頭がパンクするような感覚に陥ることもあります。その結果、どのタスクを優先すべきか判断できず、すべての業務が中途半端になりがちです。こうした要因が重なることで、仕事全体の効率が低下し、要領が悪くなるのです。

まとめ

以上、発達障害の人が要領が悪くなる原因について、まとめました。解決策については、以下の記事などを参考にしてください。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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