【GENT'S STYLE】クラフツマンシップ列伝 ペコラ銀座 佐藤英明氏 前編
Text Yoshimi Hasegawa
Picture Marco Spola
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日本においてイタリアの仕立てを追及するビスポークスーツの巨匠、佐藤英明氏。
イタリアの仕立てといえばナポリに代表される南イタリアで修行をしたテーラーが多いが、佐藤氏は北イタリアを代表するマエストロ、マリオ・ペコラ氏に師事。イタリア貴族を多く顧客に持つペコラ氏独自の気品ある仕立てを日本で継承している。
佐藤英明氏は千葉県館山市に今年で創業90年を迎えるテーラーの3代目として生まれた。幼少の頃から家業の仕立て業に親しみ、高校卒業後は楯の会の制服デザインで知られるデザイナー五十嵐九十九氏に師事した。その後渡欧し、パリの裁断学校を経て、ミラノのマリオ・ペコラ氏のもとで5年間修行を積む。
1995年に帰国し、家業のテーラーを継承し、3代目となる。2000年に師匠であるペコラ氏の名を冠した「ペコラ銀座」をオープン。現在は銀座にサロンと工房、館山市にストックルームと工房を構える。
銀座に自身のテーラーをオープンして20年以上の歴史と、加えてさらに長い仕立ての経験を持つ佐藤氏だが、近年、スーツの仕立てで変わったことはあるのだろうか?
「僕はもともと好奇心が強いので、いろいろ新しいことをすぐにやってみたくなる方です。実は、やりたいことの半分は抑えようとしています(笑)。
僕がパリで学んでいた時はデザイナーズブランドが真っ盛りの青春時代で、デザインしてないと服じゃないといった風潮がありました。パリ時代はラグランスリーブのジャケットとか色々な服を作りましたし、それはそれで好きでした。それでも最終的に究極の美しい服を作りたいと思ってペコラさんに行き着いたんです。
イタリアのクラシックな服は変わらないものです。ペコラの形、スタイル、服の持つ雰囲気を今でも尊敬しているので、いつも目指したい、ペコラさんに近づきたいと思って作っています。
一方で、新しいものにも挑戦してみたい。
こういう形っていいなと思っていて、それが似合う良いお客さんに会った時は試したくなりますね。強いハウススタイルを訴求するよりはビスポークはお客様ありきなので、お客様の要望に合わせながら、変化しては戻るの繰り返しです。
仕立て自体に関しては、最近新しく挑戦するというより、いつもこうしたらよくなるんじゃないかと思って作っているので、これが大きな変化というのはないですね」
イタリアの仕立て方法ばかりでなく、副資材もイタリアから輸入していると語る。その理由は?
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