「AI失業」を考えはじめるときが来た
以前から人工知能の経済への影響を研究されていた井上智洋先生の新刊が出た。「AI失業」という刺激的なタイトルがついている。
2023年に入ってからChatGPTをはじめとする生成AIの進撃が止まらない。
大方の予想に反してテクノロジーの発展により失業することになるのはブルーカラーよりホワイトカラーのほうが先のようだ。
1. AI失業の現状とは?
AI開発の歴史は70年続いてきましたが、最近はAGI(汎用人工知能)の実現に向けた動きが活発化しています。2022年には生成AIのChatGPTやMidjourneyが登場し、その使いやすさと敷居の低さから、急速に普及しているのです。これらのAIは従来のものとは異なり、文章や画像を利用するホワイトカラーの仕事全体を機械化しようとしています。その結果、ホワイトカラーの雇用が奪われる可能性もあるのです。
2. AI革命に伴う失業とは?
前述の「AI失業」によると現在のAI革命は第四次産業革命にあたるそうです。これまでの三次は次の通り。
AI革命が起こることで失われる職業は、「オフィスワーク」や「専門職」などです。これらは主に知識やスキルを活かした仕事であり、汎用人工知能が得意とする領域です。一方、ブルーカラーの仕事は肉体労働が主体であり、ロボット技術の発展まで待つ必要があります。そのため、ホワイトカラーの仕事よりもブルーカラーの仕事が影響を受けるまでには時間がかかると予想されています。
4. ホワイトカラーの失業に備える方法は?
著書「AI失業」の中で井上先生は「スマート化」「アイディア即プロダクト」という言葉を提案しています。それぞれ「AIを活用して生産性を向上すること」「アイディアがあればAIが即プロダクト化してくれること」を表しています。
このような時代でも人々は狩猟時代の名残で群れで何かをするような仕事が増えるという予想もあります。小さな会社が乱立するのではないか?という見通しで、これを提唱した東大 松尾先生は「部族ごっこ」と呼んでいます。
井上先生は、どちらかというと雇用が広範に失われるディストピアにも備えるべきと考えているようです。
そこで「レイバリズム」という考え方が邪魔になると考えていらっしゃるようです。「レイバリズム」は「労働こそ人間の本質ではないか」という考え方。井上先生は、これはもともと人間に無かった概念だと言います。そして、AIやロボットの登場により「脱労働社会」と「ベーシックインカム」を導入すれば良いと説きます。雇用が失われることを恐れずとも良い社会を構築するということです。
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