SF的小噺 「八話 ビーナス」
ビーナスの首飾り。人類が作り出した史上最大の構造物。金星の赤道直上数万キロの高さをぐるりと取り囲むリングである。
その目的はテラホーミング実験である。惑星改造技術の実験として作られた。
地表に作られた二酸化炭素分解設備に対して、「首飾り」からエネルギ供給するのだ。首飾りは太陽を周回する発電衛生群からのマイクロ波送電を受信し、それを地表に転送する。また制御も行っている。
リング上には金星政府もある。金星政府は前世紀の世界大戦を逃れてきた難民たちで構成されている。彼らは過酷な環境で生活するために、産まれてすぐにサイボーグ化されるが、基本的に人間である。
今日は、金星政府と機械国家「サイロン」との通商会議に同席した。
金星政府は、太陽を周回している発電衛星群の開発とメンテナンスをサイロンに委託しているのだ。
今回は首飾り自体の増設に伴う小惑星資源の採掘に対する協力要請の打ち合わせであった。金星のテラホーミングを加速し、地表への早期移住を目指そうということであった。
つづく
参考:gigazine
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