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否定的な言葉は受け取らない…今の時代は「スルースキル」がすごく大事 #4 無いならメイクで描けばいい
髪やまつ毛、眉毛など、全身の毛が生えない難病、全身脱毛症。そんなハンデを負いながら、美容系ユーチューバー・メイクアップアーティストとして活躍し、同世代から多くの共感を集めているGYUTAE(ギュテ)さん。初の著書『無いならメイクで描けばいい』は、そんなGYUTAEさんの壮絶な半生と、力強いメッセージが詰まった一冊。ページをめくるたびに生きる勇気がわいてくる、そんな本書の一部をご紹介します。
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「毎日メイク」の動画がバズった!
YouTubeチャンネルを開設した当初は、YouTuberの真似ごとみたいなことをして簡単な動画を投稿していました。誰にも言わずに、「バズればいいな」くらいの感じで。
その後、会社を辞めてメイクで生きていこうと決めてから、Instagramで仕事や案件を募集。活動していく中で、クライアントに自分のメイクスキルを見てもらいたいなと思い、プロモーション用にメイク動画を投稿し始めました。
動画だと僕の人柄も伝わるし、メイクの技術・工程もわかりやすい。いろんなYouTuberさんのメイク動画を見てテロップの入れ方やカット割りのタイミングなどを研究しました。
メイク動画は、次第にクライアント以外にも届くようになり、いろんな方が見てくれるように。脱毛症のことを語った動画も反響は大きかったけど、一番バズったのは『【GRWM】顔面荒れ地の魔女からハウルになる毎日【整形メイク】』。
女装メイクとか〇〇風メイクとか変身する動画ってわかりやすいんですけど、僕が毎日している普段のメイクで、ここまで反響があるとは思いませんでした。ちゃんとメイク技術を評価してもらえたんだなっていう点で、思い入れのある動画です。
その動画を投稿したのが開設から2年ほど経ったころ。ちょうど新型コロナウイルスが流行して自粛期間に入る前くらいでした。お家時間が増えたこともあって、最初の自粛期間中の3カ月で一気にチャンネル登録者数がアップ。そこから生活がガラッと変わりました。
少し有名になったことで、働いていたZARAの店舗にファンの方がたくさん来て、お店からはちょっと注意されたり(笑)。登録者数が10万人を超えてからは、いろんな仕事をいただけるようになりました。
2020年の夏、ZARAを辞め、フリーランスの美容クリエイターとして本格的に活動を始めました。
否定的な言葉は受け取らない
認知度が上がればアンチコメントをしてくる方も現れます。少し前までは僕も傷ついていましたけど、慣れた部分もあって、今はもうノーダメージ。慣れたくないですけど(笑)。
面識のない方にアレコレ言われても、そんなのただの憶測だし。それを気に病んでいる時間がもったいないし、その時間で自分が受け取るものって何もない。
否定的な言葉を受け取る時って、2段階あるんですよね。例えば「気持ち悪い」と言われたとして、第1段階でショックを受けますよね。その言葉を自分が受け入れるか、受け入れないかが第2段階。
受け入れてしまったらダメージを受けてしまうんですけど、僕の場合はそこで「そういう意見もあるんだな。僕はそう思わないけどね」って受け入れないようにしているんです。
逆に、自分が気にしていることを指摘されて、その意見に納得できればアドバイスとして受け入れることもあります。自分で受け入れるか受け入れないかを決められるようになると、自分の気持ちが整理しやすくなる。
みんな、それぞれいろんな考えを持っているから、「こんな意見もあるんだなぁ、面白いなぁ」で止めておけば自分が辛くならない。このスルースキル、今の時代はすごく大事だと思うんです。
僕の経験上、ネットで失礼なことを言っちゃう人って、大体何も考えていないんです。なんの気なしに言っている意見に対し、こちらが考えて発言するのも、感情を揺さぶられるのも馬鹿らしい。だから、そういう言葉は、僕も何も考えないで受け流しています。
失礼だなとは思うけど、本当に攻撃しようと思っている人って案外少なくて、好きでも嫌いでもないけど思ったことを書いちゃうだけ。そういう人が多い環境の中で発言しているという自覚はあるから、何か言われても「またいるわ~」くらいの感じがちょうどいい。
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