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人の心を動かすには「理由」が必要。つねに「なぜ?」と考えよう
『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK)で脚光を浴びた、ブランドプロデューサーの柴田陽子さん。最新刊『勝者の思考回路』は、さまざまなプロジェクトを成功に導き、名だたる企業のトップから指名される彼女の「成功の秘密」に迫った、まさに「決定版」といえる内容です。迷えるビジネスパーソンの羅針盤になるであろう本書から、柴田さんの心に刺さるメッセージをお届けします。
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「伝える力」を高めるには
私はブランドプロデュースという仕事をしていますが、実際の仕事内容の多くが“クリエイティブなもの”です。クリエイターでありながら、「伝えること」を武器としているので、仕事の成功度が高いのだと思っています。
なぜ私は「伝える」ことに長けているのか、自己分析してみたのですが、「決して伝えるための“技術”が高いわけじゃない」ということに気づきました。
私が伝える力が強いのは、どんなときでも「なぜ?」を考えているからだと思うのです。「なぜこの仕事を受けるべきなのか」「なぜシバジムでは掃除をスタッフ自らやるのか」「なぜ宿題をしなくちゃいけないのか」……。
私は、「理由がないことは、ひとつもあってはいけない」「どんな些細なことにも、理由がなくてはならない」「そもそも世の中に、理由のないものなど存在しない」と考えています。
さらには、その「理由」が、納得のいくものであるかどうか、人から理解を得られるものであるかどうか……ということに常に思いを巡らせています。
クライアントに説明をするときも、リーダーとして人を引っ張っていくときも、共感を求め、理解を得た上で自分の思いを通さなければなりません。
なぜ私がこう言うのか、なぜこの行動をとっているのか、なぜこれを選んだのか……という「理由」で相手の心を動かせなければ、そこからいい方向へ物事を進めることなど、当然ながらできません。
あなた自身に置き換えて考えてみてください。何か聞かされたとき、何かもらったとき、何か提案されたとき、もしそれが誉め言葉であっても、それが高いプレゼントであっても、その理由がわからなければ、嬉しくないですよね?
誉め言葉そのものや、プレゼントそのものより、「そう思った理由」「これを選んだ理由」のほうが、人を喜ばせる、ということはよくあります。
ささいなことにも「理由」がある
今行っている提案について、あなたが素晴らしい「理由」を伝えることができれば、「絶対これでいこう!」とクライアントと一体感を共有することにもなるでしょう。
少なくとも、私のやること、判断することに「理由がない」なんて、絶対にあってはいけないと思っています。ここで述べている「理由」とは、もちろん「言い訳」とは別物です。「相手を納得させるもの」でなくては、「理由」とは呼びません。
どんな些細なことにでも、「理由」は必要です。
あるとき、社員とこんなやりとりをしたことがあります。
「柴田さん、次回のミーティングでは、先方の社長さんは抜きでいいですよね」
「なんで社長がいないほうがいいの?」
「え、雰囲気が良くなると思って……」
それでは、「理由」になっていません。なぜ彼女がそう考えたのか、私はその理由を徹底的に探りました。
すると、「今回の議題は複雑な話だから、事前に担当者の方に賛成をいただき、そのあと、その担当者から社長に伝えてもらうほうが、三方丸く収まるから」というのが理由でした。さらに「実は、社長に同席してもらったほうがいいのかどうか、結構悩んだけれども、今回はいないほうがいいと思った」と。
ここまでの理由を聞けば、彼女が本心では「なんとしても今回の案件を通してもらうんだ」と強く思っていることが伝わってきます。そのために、最良の方法を考えた上で「こうしよう」と決めたのであれば、たとえそれがどんな結果になっても、つまり、もしこの案件が通らなくても、「失敗」ではないと私には思えるのです。
このように、「理由」は、結果も印象もすべて左右するものなのです。