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どん底の前園真聖を救った、ダウンタウン松本人志の「粋なひと言」 #2 第二の人生
元人気プロサッカー選手で、現在は解説者やタレントとしても活躍している前園真聖さん。しかし一見、順風満帆に見える前園さんにも、かつてある挫折がありました。著書『第二の人生』は、世間を騒がせた「あの事件」から、執筆当時までの思いを正直に告白したエッセイ。意外な素顔が垣間見える本書から、内容の一部をご紹介します。
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肩の力が抜けて楽になった
その日、僕はサッカーワールドカップのブラジル大会に出場する日本代表についてコメントするために、番組に呼ばれていました。スタジオに行ってみたら、僕の席の前にグラスに入ったウーロン茶が用意されていました。
それを見た松本さんが「ちょっと待ってください、それ、ウーロンハイでしょ!」とお酒ネタでいじってくれてスタジオが笑いに包まれました。『ワイドナショー』でも、事件後の僕の謝罪会見を取り上げたみたいですが、そのとき松本さんは「謝罪するときは、事件を起こしたときと同じくらいベロベロで謝罪しないと説得力ない」とコメントしてくれたみたいです。
そのひと言で、僕は憑き物が落ちたように肩の力が抜けて楽になりました。「みんなが避けていたのに、やっと誰かがそこに触れてくれるようになった」という安堵感が湧いてきたのです。
メディアでは触れにくい話題ですが、だからといってそれをいつまでもなかったことにして封印していては、もといた場所から再出発できないからです。
長い間アンタッチャブルだったところを松本さんにズバリ触れてもらい、僕が感じていたもやもやはかなり取れました。
その道のプロではないからよくわかりませんが、芸人さんをいじるよりも、元スポーツ選手をいじる方が難しいのではないでしょうか。しかもスポーツ選手が競技でミスをして非難を受けているわけではなく、僕の場合はスポーツとまるで関わりのないプライベートな場面での不祥事ですから、それだけ何ともいじりにくいと思います。
松本さんにはそれまでテレビの番組で何度かお会いしたことはありますが、とくに親しくさせてもらっていたわけではありません。でも、難しい問題を抱える元スポーツ選手というやっかいな存在の僕をいじってもらい、松本さんには心から感謝しています。
「素の自分」をさらけ出そう
その後も、緊張してサッカー日本代表についてうまく解説できない僕に向かって、松本さんからは助け舟どころか「(お酒を)飲んでるでしょ?」「絶対に反省してない!」という突っ込みが入りました。
復帰してから初めてお酒のことに触れられたとき、考える間もなく、とっさに反応しました。
事件を機に不自然なキャラ設定を捨て去り、計算をしない素直な自分でいこうと決めていましたから、「ウーロンハイでしょ!」「飲んでるでしょ?」と松本さんに突っ込まれたときに真面目に「飲んでないです。これはウーロン茶です」と真顔で答えました。
そのリアクションでスタジオがわっと沸きました。受けを狙ったリアクションではなく、素直かつストレートに返答したのが受けたようなのです。翌週もゲストとして呼ばれ、いつの間にかバーテンダーのような衣装を着てレギュラーとして出演させていただけるようになりました。
僕にとってはサッカー関連のテレビ番組以外で初めてのレギュラー出演。サッカーでいうなら、アウェイでプレーする気分です。復帰したら素の自分で勝負しようとは決めていましたが、実際のところは初めての番組に呼ばれて僕はとても緊張していました。
ですから、「こうしよう」「ああしよう」という細かい作戦を考える心の余裕すらありませんした。それで否応なしに素でいくことになり、それからはずっとそのスタイルでメディアでは活動させてもらっています。
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