noteサムネ

〈0-0〉 高校に入学する

中学生の時の自分というのは、当然ながら未熟と言うよりほかなかった。

母親の統治下だった。
母のぶつけてくるネガティブに言い返せなかった。
それに言い返せるだけの「実績」を持っていなかったからだ。

無駄に真面目だった。
部活で幽霊部員になった友達を半ば強引にやめさせたこともある。
レギュラーになれる見込みもなく、毎日部活に行った。
ただただ疲れていた。
でもそれは悪いことだけじゃなかったけれど。

でもそれらが揺らいだ。
どちらも「常にそれが正しいとは限らない」と気づき始めた。
きっかけは両親の不仲だった。
自分と姉が泣いて見守る中、家出した母親。
迷いなく単身赴任に赴く父親。
解決しようとする自分の努力は、能力が伴わないのはもちろん、もはや「求められてすらいない」のだと、なんとなく感じた。

受験は上手くいかなかった。
秋頃からモチベーションが下がり、人生を賭けた試験に挑むことから逃げていた。
結果、一つの公立高校の壁を超えられず、偏差値的に一段下の公立高校に入学することになった。
母には
「あんたは夏がピークだったからね」
と繰り返し言われることになる。

それなりに大変ではあったかもしれない。
でも自分は、恵まれていたと今でも思う。
周りにいる人が素晴らしかったから。

しかし、そんな人も、高校に入れば離れていく。
同じ高校を受験した、唯一と言っていいほど大切にしていた親友は受からず、自分は合格した。
合格発表の日に目を合わせた。
その一瞬から、以後、彼は自分の高校生活に関わりを持つことはほぼなかった。

同じ中学の友達は、高校にはほとんどいなかったし、いても同じクラスになることはなかった。全て一から。
さらに悪いことに、自分は部活に入らない選択肢を選ぶ。
「もう運動はしたくなかったから」
という、入部率90%超えの高校にいるには不適当なレベルの言葉だった。

代わりに塾に入った。
高校受験の反省を、大学受験に活かそうとした。

詰まる所、高校に入学する自分ははっきりと「冷めて」いた。
ただ勉強だけ、それなりにやって、それなりに人と付き合って、それなりに楽しい大学生活を・・・と夢想する、この上なくつまらないやつだった。

しかし、「偶然」はやってきた。
なぜやってきたのか、今でも分からない。
でもあえて答えるとするなら・・・

「周りの人が素晴らしかったから」
としか、答えようがない。

基本的に投げ銭待ちスタイルです。 よろしくお願いしたりしなかったりしています。