邪魔者デッキ(ミシック到達)レシピと解説

 この記事では、邪魔者デッキのデッキレシピを公開するとともに、どうしてそのカードを採用したのか、あのカードを採用していないのか、考えたことを全部語りつくします。

 ストリクスヘイブンからMTGアリーナを初めて一か月半。邪魔者デッキ一筋で内容を練り上げてきました。
 もう1枚たりともデッキに動かすところがねぇ! というレベルまでカリカリのチューンを施し、おかげで初のミシックに到達できましたので、フォーゴトン・レルムより前に語りたい放題を語ろうという趣旨です。

まずはデッキレシピ

4 デーモゴスのタイタン (STX) 174
3 害獣の世話 (STX) 242
4 セッジムーアの魔女 (STX) 86
4 禁忌の調査 (STX) 81
4 想起の拠点 (IKO) 73
4 検体探し (STX) 73
2 定命の槍 (STX) 207
2 厄介な害獣、ブレックス (STX) 148
2 魂浸し、ダイナ (STX) 178
1 薄暮薔薇の棘、ヴィト (M21) 127
2 耕作 (STA) 51
1 不気味な教示者 (M21) 103
1 古き神々への拘束 (KHM) 206
3 血の長の渇き (ZNR) 94
3 バーラ・ゲドの復活 (ZNR) 180
4 疾病の神殿 (M21) 253
4 闇孔の小道 (KHM) 254
2 寓話の小道 (M21) 246
4 森 (IKO) 272
6 沼 (IKO) 266

サイドボード
3 壊死放出法 (STX) 78
2 害獣召喚学 (STX) 211
1 封印突破法 (STX) 125
1 環境科学 (STX) 1

+ いかにしてこのデッキで勝つのか

 皆さん、邪魔者デッキとは頻繁に対戦するでしょうが、それが何をしているのかは案外わかってないのではないか。自分もそうでした。
 邪魔者デッキの勝ち方は主に2通りあります。

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 1つめは、害獣の世話デーモゴスのタイタンに使う方法です。
 パワー11のタイタンから邪魔者が11匹発生します。パワー11の生物1体を処理できるカードはいくらでもありますが、1/1の生物11体を処理できるカードはなかなかありません。なのでカード2枚のコンボが通ればほぼ勝ちです。当然タイタンを4枚採用
 害獣の世話も4枚デッキに入れたいところですが、害獣の世話は1回タイタンに使えば勝ってゲーム終わる魔法なので、2回や3回使う必要がない。必ず手札に1枚ほしいが、手札にダブると困ってしまいます。なので4枚中1〜2枚はサーチに差し替えます。
 現環境のなかでは、やはり不気味な教示者が良いと思いますね。ヴェラゴスもコンボ揃うまでのブロッカーになるのが良いのですが、除去られるし、切削に弱い、つまりローグ(というか蟹)相手で無効化されるのが致命的です。

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 2つめの勝ち方は、セッジムーアの魔女から邪魔者を沢山発生させる方法です。
 タイタン害獣世話コンボと違って、本気が出るまで多少の手間がかかりますが、魔女がただ突っ立っているだけで、ガンガンにアドが積みあがっていきます。
 特に合わせたいのは、禁忌の調査です。邪魔者を複数体生贄に捧げ、生贄に捧げた数だけドローして、いけにえに捧げたよりも1体多い害獣が返ってきます。このアドが得られたらだいぶ勝ちが近いです。他にももちろん、除去など魔法を使う際にも魔女がいれば、その分邪魔者が増えていきます。
 セッジムーアの魔女と禁忌の調査は、ともに4枚採用です。これらは手札にあればあるほど良い。



+ 拠点+ダイナ=最強

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 大量に増やした邪魔者は、普通にフルアタックしてもいいですが、できれば想起の拠点をあわせたいです。邪魔者はブロックされるとほぼ間違いなく死ぬし、死ねば想起の拠点から1点ドレインが発生します。つまりは実質的に貫通ダメージですね。タイタンの11パワーが貫通ダメージとなって敵プレイヤーを襲うことになる! っょぃ!!
 想起の拠点が2枚場にあれば、当然のことながらダメージも倍になります。想起の拠点もマストで4枚投入です。

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 拠点は4枚でも足りないぐらいなので、代わりになる5枚目6枚目のカードも入れておきます。5,6枚目の想起の拠点とするのが、魂浸し、ダイナです。害獣が死ぬと1点ライフが回復するので、敵に1点ダメージが発生します。
 特筆すべきは、拠点とダイナが同時に場に存在する場合で、害獣しぼり汁による回復でダイナから1点ダメージ、拠点ドレインの1点ダメージ、拠点ドレインによる回復でダイナから1点ダメージ、つまり害獣1体の死から3ダメージ2回復が発生します! しかもダイナ自身の能力で好きな時に害獣を生贄に捧げることができます。っょぃ!!!
 強いのでダイナも3枚ぐらいは欲しいですが、一つ問題があって、ダイナは伝説のクリーチャーなので手札にたくさん来ても場に出すことができません。

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 なので、拠点の代役であるダイナの更に代役も投入します。薄暮薔薇の棘、ヴィトです。
 ダイナと違って回復点数分のダメージを敵に与えることができるため、通常はダイナの側がヴィトの下位互換とみられています。しかし邪魔者デッキの場合は1点回復が複数回発生するので、ヴィトの強みは活かしにくい。むしろダイナ2マナに対してヴィト3マナなので、どちらかといえばダイナのほうが強いです。マナカーブ的に3マナ帯渋滞しているし。あくまでもダイナのダブり対策として、1枚刺しとしています。
 なお、ヴィトには、5マナで起動する絆魂付与能力をつかってゲームに勝つ役割ももあります。タイタンの絆魂パンチがプレイヤーに入ったら、一気にライフが22も減らせる! っょぃ! ……しかしパンチの準備したうえで5マナ出す、しかもヴィトもタイタンも除去を喰らってはだめ、そんな状況を作るのはなかなか大変ですから、この勝ち筋は運が良ければ使う程度の話で、やはりヴィトは1枚ぐらいでいいんじゃないでしょうか。



+ いかにして勝つためのコンボを通すのか


 以上のカードを使ってコンボを決めるのが、邪魔者デッキの勝ち方になります。邪魔者デッキの基礎であり、ここまではどの邪魔者デッキもそれなりに内容が一致するはずです。
 しかし、だからこそ、敵プレイヤーもここまでのカードのことはわかっています。熟練の決闘者であれば、はいはい邪魔者ねと思ったら、ここまで紹介してきたカードに対処し、コンボ成立を防ごうとしてきます。   
 特に、デーモゴスのタイタンとセッジムーアの魔女は、見た瞬間に必ず除去ってきます
 そりゃそうだ。11/10の生物が突っ立てるのに、放置するわけがない。召喚酔いが解けるよりも早く、最速で除去が飛んできます。タイタンには次のアンタップフェーズとか基本的に来ない。

 だから、除去られるよりも先に、コンボを決め終わる必要があります。具体的には、敵の除去魔法がスタックにのった瞬間、インスタントタイミングで害獣の世話を唱える必要があります。そうすれば敵の除去を不発にして、追加のカードアドバンテージすらも得られる。タイタンのヘイトを逆手に取る作戦です。
 もしくは、他のカードを先に出して相手の手札の除去を使わせるとか。タイタンや魔女を4積みにするのはこのためで、2枚目のタイタンや2枚目の魔女はぜひとも手札に引いておきたい。
 実は、邪魔者デッキにとってここが最重要です。
 これを意識するかしないかで、同じデッキでも全く勝率が変わってくる。

 この作戦には余剰マナが必要です。害獣の世話を使うためには2マナ必要ですから、つまりデーモゴスのタイタンを場に出すためには、実は6マナが必要です。

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 さすがに6マナはおいそれとは出てこない。邪魔者デッキには、実はランプ要素が必要なのです。
 自分のデッキレシピの場合は、耕作を採用しました。3枚入れたいところですが、ゲーム後半に持てあます事が何度もあったので、泣く泣く2枚に減らした。でも、最初の7枚の中に最も入っておいてほしいカードは、実はこのカードです。
 ダブり対策で耕作の代わりにするのが、古き神々への拘束です。4マナでないと置けないのと、土地が2ターン目のタップインというのが少し辛いですが、除去もついてるしといったところ。でもエンチャントなので魔女の魔技が発動しないし、3番目の接死はあまりうまく使えないし、正直今後の変更第1候補ですね。
 占術ランドを4枚投入しているのも、ランプ寄りの意図です。必要マナが出るまで、普通のカードは容赦なくデッキ下に入れていく。


+ 履修すべきは害獣召喚学……ではない!

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 ランプ寄りにデッキ運用をする理由はもう一つあります。検体探しです。
 2マナで履修して、3マナの講義を持ってきます。この時、5マナが出れば、一連の流れを1ターンで行えるのが強いです。壊死放出法封印突破法を持ってきて使うところまで一気にやれば、この魔法を5マナソーサリーの追放除去と見做せる、あるいは2ターン目で使うことで疑似的な予見ギミックと見做せる訳です。
 5マナあれば、セッジムーアの魔女を出して同じターンに検体探しを使うことができます。2マナで2体の邪魔者が出た上に実質ワンドローという計算でこれも地味に強い。
 というわけで、やはり邪魔者デッキが強力なのは5~6マナ圏からだと言えます。

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 なお、このデッキは邪魔者デッキなので、履修ギミックではついつい害獣召喚学を優先で持ってきたくなります。でも、実は優先すべきは壊死放出法です。なぜならば、このデッキでは邪魔者をチャンプブロックの材料にするのは望ましくありません。1匹でも多く禁忌の調査の餌にしないといけないし、どうせ殺すにしても次のターンに想起の拠点やダイナを引いてからにしたいです。自分のライフを使って邪魔者を守るぐらいのつもりでいないと、結局はジリ貧になる。
 それよりは手札に除去があることを見せつけてやりましょう。上手くいけば、敵は生贄用の邪魔者1体を除去するために貴重な己のリソースを、何よりもターンを使わざるを得なくなる。

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 害獣召喚学を積極的に使うのは、相手を見てからになります。
 例えば、根本原理や赤バーンみたいなクリーチャーがでないデッキが敵の時は積極的に使います。生贄に捧げるまえからチクチク殴れるなら、害獣といえども強い。
 あるいは、相手に除去が尽きていてセッジムーアが2体場に突っ立って居るときなどは、リーサルの一種として積極的に使うことがあります。3マナで4体の害獣がでるだって? それはもうドレインで勝ちでは?
 しかし相手がクリーチャーを並べる普通のデッキでは、1/1が2体出てきたところで、実際たかが知れてるんですよねえ。群れてこその邪魔者ですからね。よほど検体探しばかり手札に来たなら、なんぼかはこちらに履修を回してもいいけれど。
 あと、環境科学は一応サイドに刺してありますけど、これを使わなきゃいけない状況になった時点で正直致命的。2ターン目で履修して3ターン目で環境科学が必要な手札で戦ってるなら、それはマリガンすべきでしたということ。

+ プレックスを出すのは最初か最後

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 邪魔者ロードの厄介な害獣、ブレックスは2枚の採用としています。なくても良いが、あれば強力って位置付けのカードです。
 このカードはゲームの3ターン目に出すか、あるいは決定的瞬間まで手札に抱えていてください。
 3ターン目に出すのは、相手に除去させるためです。ブレックスは死んでもライフゲインするので、致命的なロスにはなりません。それよりも、次の4ターン目にタイタンや魔女に使うべき除去が、一枚相手の手札からなくなることが重要です。パワー3となかなか攻撃力があるのも良くて、デコイの役割が期待できます。
 最後まで手札に抱えた場合は、タイタンの死体で世話した邪魔者11体が、いよいよオールアタックするターンに出します。当たり前ですが、1/1が11匹殴ってくるのと2/2か11匹殴ってくるのでは、話がぜんぜん違います。11ライフなら1クロックまで耐えれる!……とか甘く見てオールアタックかました敵のライフが22点消滅するのでまず間違いなく勝てます。
 基本、この2パターンで使うので、手札に寝かせっぱなしになることが多いです。半端な中盤に出すことは控えたほうがいいでしょう。
 一応、「今この瞬間に禁忌の調査を引く以外の勝ち筋がない!」時など、ソーサリー面のブレックスの捜索を使うこともあります。が、そこまできてたら大抵はもう負けです。ワンチャンのためだけのソーサリーです。

+ 土地のバランス

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 バーラゲドの復活は、リーサルになり得る魔法なので、1ターン目以外は以外はソーサリーとして温存しておきたい。「さっき除去されたタイタンを墓地から拾ってくればギリギリ死ぬ前に害獣の世話が使える!」とか、よくある状況です。
 バーラゲトの復活が入るために、基本地形の森は枚数が少なくなります。なので実戦では、沼を多めに出します。古き神々への拘束は森しか呼び出せないのでライブラリーには森を残したいです。耕作も沼2枚とか選ぶ。デッキ的に森がなくて困ることはあんまりないし、2種の小道も基本的に沼に使うべきです。

+ このカードは採用するな! 邪魔者デッキに向いてるようで向いてないカード群

ウェザーブルームの初学者。
 これは入れている人をよく見ますが、罠カードです。魔技と禁忌の調査の組み合わせが強そうだけど、同じマナでダイナを出せます。ダイナには想起の拠点とのシナジーがありますが、初学者にはそれがない。ダイナを入れて、ヴィトも入れて、なおデッキに空きがあれば初学者入れるといいけど、そんな余裕は間違いなくないです。

ウェザーブルームの命令。
 痒いところに絶妙に手が届か「ない」カードです。特に2点ドレイン効果が無意味なのがキツいです。このデッキは1点ダメージを30回スタックに乗せてオーバーキルするのが勝ち筋なので、2点のゲインとか誤差ですね。かといって他の効果を2つ選んで両方意味がある場面も少ないでしょう。

ヴァレンティン/リセッテ。
 相性がよさそうに見えるし、マナカーブ的に1マナなのが良いかとも思ったのですが、どうもヴァレンティンが役に立ちません。ヴァレンティンが邪魔者を出すためには2マナ必要なのが致命的です。その2マナは害獣の世話や禁忌の調査のためのもの。こいつの為に使わないほうがいい。
 リセッテは、横ならべにした邪魔者を強化できれば強いのですが、1ターン戦闘フェーズを挟んで邪魔者を数匹殺す必要があって、どうにも悠長な感じがします。これを出すよりは、追加の想起の拠点かブレックスを場に出す方が手っ取り早い。

豆の木の巨人
 5枚目以降のタイタンとして使えるかと思いました。が、やはり重いですね。巨人には除去られる前に害獣の世話を使わねばなりませんが、その2マナを残すことが豆の木の巨人の場合は困難でした。
 土地が1枚しか追加されないのも耕作と比較して、速度負けすることが多かった。亭主と一緒に使うのが基本のカードなんでしょうね。 

村の儀式/ひきつり目。
 村の儀式は邪魔者デッキに向いていないです。先に述べた通り、邪魔者は群れてなんぼ。想起の拠点やダイナなどコンボパーツがそろうまで待って、禁忌の調査で一気に生贄にしたい。でも村の儀式で細かく生贄にしてたら、せっかくのコンボリソースがいざというとき無くなってしまいます。ドローは惜しいですが、不採用。
 闇の儀式を使わない以上、引きつり目も使えません。検体探しと合わせて8枚履修があれば相当便利ではあるのですが、引きつり目の場合は、延々とブロックされずに結局履修できないとかあります。村の儀式でノーリスクに生贄にできるデッキなら、良いカードとは思うんですがね。

デーモゴスの悲哀喰らい。
 タイタンと違って、抑止目的で立ってるだけで邪魔者が減っていく。これが非常に良くありません。出さない方がマシまである。害獣の世話をして出る邪魔者が7体なのも悪い点。邪魔者7匹で20点ダメージを与えるの流石にキツいんですよね。11匹なら余裕でできるんですが。

詰め込み期間
 
検体探しと競合してる魔法ですよね。検体探しにすべき。壊死抽出法がすぐ使えないからです。


+  邪魔物デッキの弱点~今後の展望


 邪魔者デッキは飛行に弱い
です。
 除去魔法以外では飛行が全部素通し。
 これが本当に致命的で、邪魔者デッキが上に行けない理由だと思っています。ドラゴンとローグと天使に不利なデッキ、今のトップメタで活躍の余地あります
 飛行に弱いという点は、自分の考えでは、邪魔者デッキがブームにもかかわらずいまいちトップ環境に届かない、最たる理由です。全体除去よりも揺れ招きよりも根本原理よりも、とにかく飛行がどうにもならない。今日も黄金架のドラゴンが邪魔者たちの上を飛んでいく。

 なので、例えば、「全ての邪魔者は到達を得る」、だとか。
 今後、そういうのあったら入れていきたい。未来に届く可能性がある。

 フォーゴトンレルムの前情報が解禁されている、ロルスはどうだろうなあ。上手く禁忌の調査を使えば、出たターンに奥義使うのも夢じゃないけど。それをしたからって邪魔者デッキの勝つ確率が増えるのか? 
 このデッキが強化されるというより、新アーキタイプの基礎となるかもしれないです。想起の拠点に頼らないような邪魔者デッキとして。

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