元機械系設計者の独り言 5.形にはすべて意味がある
設計業務で苦労している方やこれからこの業界に足を踏み入れようかという方の参考になればと思い掲載を始めたコラムの5回目。
今回の話は「形にはすべて意味がある」という話です。
機械系の設計者の方は、新しく部品を設計する際には前モデルの部品を参考にされるケースが多いと思います。
その際によく感じることは、「なぜこの形状しているんだろう?」という疑問。
ほとんどの場合その理由があるはずです。理由がないのは何も考えずに設計した場合です。(これは設計とは言えない)
身の周りのものでも、なぜこんな形しているんだろう? と感じたことがあるはずです。
例えば、鉛筆と色鉛筆の形の違い を例にとります。
鉛筆は六角形が普通なのに、色鉛筆は丸が普通です。この差は何でしょう?
鉛筆が六角形の理由、1つ目は転がりにくくするためです。机の上に置いたときに丸だと転がるので、角を作ってそれを防止しています。
2つ目の理由は、持ちやすさ です。通常、鉛筆を持つときは3本の指で持つので、3の倍数であることが持ちやすさにつながります。三角では、角が鋭角すぎて持ちにくく、九角だと丸に近くなって転がりやすい、そこでその中間の六角に決まったそうです。
では、色鉛筆はなぜ丸なのでしょう?
色鉛筆の使い方は文字を描くよりも色を塗る方が多くなり、鉛筆とは持ち方が変わるので3の倍数を意識する必要がありません。色鉛筆の芯は鉛筆よりも強度が弱く太くなっているので、六角形だと辺の部分の厚みが少なくなってしまい芯を十分に保護する事ができなかったそうです。そのため均一に芯を保護できる丸軸が採用されています。
最近では、強度の問題も改善された六角形の色鉛筆もあるようです。
形にはすべて意味があります。
部品設計で参考にしようとした前モデルの形状の理由がわからない場合でも必ず理由はあるはずです。
・強度の確保
・組立しやすくするため
・保管時、輸送時に重ねた時のスペース効率
・成形、加工設備の制約
・部品交換しやすくるため
・ユーザー、工事業者の要望
・材料費、成形加工費削減等のコスト低減
等々。
前モデルの担当の方が在籍している場合でも、その理由を聞く前にまずは自分で考えてみてほしい。
本来は技術伝承のためにも、設計内容に関しては書面に残しておくことが一番望ましいと思います。
自分で部品設計するときも、形状の理由を説明できる設計を目指してください!
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