何度も聴きたいロック名盤をご紹介 ②
アーティスト:ドナルド・フェイゲン
名盤:ナイトフライ
スティーリー・ダンのメンバー、ドナルド・フェイゲンが1982年にリリースした初のソロ・アルバムです。
まず、スティーリー・ダン( Steely Dan)について触れておきます。ニューヨーク出身のロックバンドで、主にドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーによるデュオ体制で活動してきましたが2017年にベッカーが死去し、
以降はフェイゲンのソロユニットとして継続しています。
各アルバムでは著名なスタジオ・ミュージシャンを起用し高度なアンサンブルを構築し、アルバム「AJA」「ガウチョ」の評価が高いです。
このようなアメリカンロックを代表するスーパーバンド、スティーリー・ダンの中心メンバーだったドナルドフェイゲンが
ジャズ、ソウル、R&Bなどの多彩な音楽要素をフィーチャーしたナイトフライのサウンドは、ポップミュージックの楽しさ、細部までしっかり構築されたアレンジワーク、楽曲自体の質の高さを含め、スティーリー・ダン時代の作品に匹敵する評価を得た文句ナシの大傑作だと思います。
また、その音は初期のデジタル・マルチトラックレコーダーを使用した音響面のクオリティの高い「音のいいアルバム」です。
リアルタイムで聞いたこのアルバムはジャケットのかっこよさが印象的で
当時学生だった私は、友人宅の部屋に「ナイトフライ」のジャケットの大きなポスターが貼ってあるのを見てうらやましいと思ったのを覚えています。
プロデュースを手がけたのはスティーリー・ダン時代からの盟友、ゲイリー・カッツで
参加ミュージシャンはラリー・カールトン、ヒュー・マクラッケン、
リック・デリンジャー、マーカス・ミラー、ウィル・リー、
ジェフ・ポーカロ、スティーヴ・ジョーダン、マイケル・ブレッカー、
ランディ・ブレッカーなどなど書き切れないゴージャスな顔ぶれです。
久しぶりに聴いてもそのクォリティーの高さには驚きを隠さないです。
世界で初めてデジタル録音でレコーディングされたこのアルバムは楽器のひとつひとつの音が立っており、のちに多くのミュージシャンやサウンドエンジニアに衝撃を与えたことは想像に難くないです。
人によっては、AORの範疇に入れて語る意見も見受けられます。私の感覚ではソフトな耳当たりがそのように感じさせる部分もあるかと思いますが、それとは一線を画す音だと思います。
1. "I.G.Y. (International Geophysical Year)"
このアルバムは全体が、「1950~60年代のアメリカの地方都市に住んでいた若者の心情」をテーマにしたトータルアルバムとなっています。
出だしのイントロからワクワクさせるメロディです。
ファースト・シングルとしてリリースされ、Billboard Hot 100では26位にランクインしました。
この曲と "New Frontier "がシングルカットされたが、大ヒットまでとはならずどちらかというと玄人受けするタイプな受け止め方である。
ヒットチューンよりもアルバム単位で聴き込んで、その世界観を堪能するのが正しい楽しみ方だと思います。
2. "Green Flower Street "
流れるようなメロディ、ハイウェイを駆け抜けるビート感がたまらないです。
3. "Ruby Baby"
このアルバムの中で唯一のカバー曲です。
オリジナルは黒人ドゥーワップグループ、ザ・ドリフターズが1956年に放ったヒット曲です。
4." Maxine"
美しいピアノの旋律で始まるスローナンバー。
マイケル・ブレッカーが吹くTenor Saxが素晴らしい!
5. "New Frontier "
ここからB面。レコードではA面とB面があるため、作り手はA面の最初に何を、終わりに何をもってこようか?
B面と最初と最後はどの曲にしようか、いろいろと悩んだに違いない。
そういう視点でアルバムの曲順を鑑みることも楽しみ方の一つであると思います。
セカンド・シングルとしてリリースされた。 この曲は音楽評論家から絶賛されました。
アルバムの中でもPOP度の高い人気曲で、刻まれる16ビートはスピード感あふれるナンバーです。
このノリの良いリズムが、だんだんとクセになってしまいます。
6." The Nightfly"
タイトル曲でこのアルバムのなかで 一番好きな曲です。コーラスも心地よく「WAJZ」というフレーズが印象的です。
ベルツォーニ山の麓にあるという架空の独立系ラジオ局 ”WAJZ” のDJ:レスター・ザ・ナイトフライが歌う、番組のテーマ曲という設定。(ジャケットの写真に写っているのがDonald演ずるレスターです)
粋なコード進行、ソウルフルな女性コーラス。何度でもヘビーローテーションしたくなる曲です。
7. "The Goodbye Look "
サンバ的なエッセンスを取り込んだ陽気な曲です。
8. "Walk Between Raindrops"
以上が今回のアルバム評となります。ロック入門の一助になればと思います。ご参考になればうれしいです。
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