何度も聴きたいロック名盤をご紹介 ⑧
アーティスト:エリック・クラプトン
名盤:アンプラグド
アンプラグドは、1992年に発表されたエリック・クラプトンのライヴ・アルバムです。
MTVアンプラグドで放送された、アコースティック・ギター中心のパフォーマンスを収録しアルバムは全米1位の大ヒットとなります。
グラミー賞ではアルバムがアルバム・オブ・ザ・イヤー及び最優秀男性ロック・ボーカル・パフォーマンス賞を受賞したのに加えて、
本作に収録された「いとしのレイラ」が最優秀ロック・ソング賞を受賞しました。
また、このライブアルバムはギネス認定の世界で最も売れたライブアルバムです。
ロバート・ジョンソンの「ウォーキング・ブルース」「モルテッド・ミルク」、マディ・ウォーターズの「ローリン&タンブリン」といったブルースの楽曲もカバーされ、
MTVの看板番組として世界的に話題になった「アンプラグド」シリーズの人気を決定付けた名盤と言えます。
かつてはジェフ・ベック、ジミー・ペイジらとともに英国ロック3大ギタリストと呼ばれ、また「ロック・ギターの神様」とさえ呼ばれ、
現在ではロック界最高峰のスーパースターのひとりとなっているエリック・クラプトンの演奏がぎっしり詰まったライブ盤です。
DVDでも映像として、その演奏を見ることができ、僕はそちらをお勧めいたします。
「アンプラグド」とは「プラグを抜いた」の意味で、文字通りアコースティックな楽器を使用した演奏のことです。
落ち着いた、渋味のあるステージでバンドと聴衆の間の空気がとても近く感じられます。
聴衆の反応がとても温かくて、ライヴ会場であるスタジオ全体には、終始リラックスした一体感があります。
エリック・クラプトンは好きなブルースを演奏しながらも、濃すぎもせず薄すぎもせず、という絶妙なバランスを保っていて
もともと泥臭いものだったブルースを、聴きやすい感じに仕上げているのは、やはりエリック・クラプトンのセンスの良さに負うところが大きいと感じます。
「アンプラグド」は、「ロック・ギタリスト」として活動を続けてきたエリック・クラプトンが自分の原点に立ち返り、自身が憧れていたブルースをリスペクトした作品だと思います。
彼のリスペクトするビッグ・ビル・ブルーンジーやロバート・ジョンソンなどのブルース・マンの作品を取り上げていることでもそれが窺えます。
リラックスしてアコースティック・ギターを操り、好きなブルースを奏でるエリック・クラプトンは映像でもとても幸せそうです。
貫禄あるギター・プレイだけでなく、枯れたヴォーカルにもしぶい味わいがあります。
"Signe "
オープニングとして、肩慣らしといった風情のインストゥルメンタルです。観客の雰囲気がほどなく温まるのが分かります。"Before You Accuse Me"
1950年代のブルースです。感情豊かに歌い上げるヴォーカルが素晴らしいです。"Hey Hey"
こちらも1950年代のブルースです。"Tears in Heaven"
1991年、エリック・クラプトンの4歳になる息子コナーが、住んでいた高層アパートの53階から転落死するという事故が起こりました。
音楽に打ち込むことで息子を失った痛手から立ち直ろうとするエリック・クラプトンは、精力的に活動を続けます。その中の1曲が亡き息子に捧げられた「ティアーズ・イン・ヘヴン」となります。
しっとりとしたメロディー、憂いを含んだエリック・クラプトンのヴォーカルがとても魅力的です。歌詞を聴くだけでもしんみりとする曲です。
この曲は大ヒットし、若い世代にも「クラプトン人気」が高まりました。"Lonely Stranger"
渋さ満点のブルースです。エリック・クラプトンのヴォーカルから耳に入ってくるブルースはとても聴きやすいです。"Nobody Knows You When You're Down and Out"
デレク&ザ・ドミノス時代にもレコーディングしていますが、ここではややダルに渋くキメています。ちょっとジャジーな感じ。"Layla"
大ヒット曲です。このアルバムではミディアムのシャッフルでブルージーに演奏されています。"Running on Faith"
オリジナル曲よりもライブヴァージョンの方が雰囲気たっぷりで名曲にふさわしいと言えます。"Walkin' Blues"
"Alberta"
こちらも好きなブルースです。"San Francisco Bay Blues"
チャック・リーヴェルのピアノも聴きものの、とても楽しいブルーズ・ナンバーです。途中で鳴るカズーの音色に愛嬌があります。"Malted Milk"
"Old Love"
"Rollin' and Tumblin"
クリーム時代にも演奏しているブルースの名曲。ここではドブロ・ギターの音色が、泥臭くてアーシーな雰囲気を醸し出しています。
以上が今回のアルバム評となります。ロック入門の一助になればと思います。ご参考になればうれしいです。
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