何度も聴きたいロック名盤をご紹介 ⑦
アーティスト:ビリー・ジョエル
名盤:ザ・ブリッジ
ザ・ブリッジ(The Bridge)は、ビリー・ジョエルが1986年に発表したアルバムです。
『ビリー・ザ・ベスト』で一区切り付けたビリーがまた新たなる頂点へ向かって歩み始めた1枚です。
相変わらずの楽曲の素晴らしさとともに、大いに話題を呼んだのが豪華ゲスト陣。なんといってもビリーの永年の夢がかなった、
故レイ・チャールズとの競演曲を始め、シンディ・ローパーとの競作&デュエット、スティーヴ・ウィンウッドのハモンド・オルガンと絡むなど
豪華ゲストが名演を聴かせてくれます。
また長年の相棒と言えるプロデューサーのフィル・ラモーンとの共同作業は、アルバム単位では本作が最後となります。
「ベイビー・グランド」はビリー・ジョエルとレイ・チャールズのデュエット。「コード・オブ・サイレンス」は、ビリー・ジョエルが作詞に行き詰まった際、隣のスタジオにいたシンディ・ローパーが訪れ、
ビリー・ジョエルのピアノを聴きながら連想する言葉を書き留めて、それを元にタイトルと歌詞ができました。シンディは同曲のボーカルでも参加しています。
「ゲッティング・クローサー」にはスティーヴ・ウィンウッドがゲスト参加。ジャズ色の濃い「ビッグ・マン・オン・マルベリー・ストリート」には、ロン・カーターやマイケル・ブレッカー等が参加しています。
「モダン・ウーマン」は、ベット・ミドラー主演の映画『殺したい女』のサウンドトラックに提供された楽曲で、シングルとして全米10位に達しました。
その後「マター・オブ・トラスト」(全米10位)、「ディス・イズ・ザ・タイム」(全米18位)、「ベイビー・グランド」(全米75位)がシングル・カットされました。
ビリー・ジョエルのアルバムを1枚だけ挙げるのは悩ましく、初期のアルバム「ストレンジャー」「ニューヨーク52番街」も候補だし
中期の「イノセント・マン」も外せないですね。
ただ、このアルバムは全体的に爽やかなイメージで、当時はあまり話題にならなかったい印象があるのですが、聴いてみたら「アラ、いいやん」的な感じでついつい聴き込んでしまいました。
皆さんにも是非聴いてほしい1枚です。
"Running on Ice"
イントロの高速な鍵盤フレーズが、オープニングを飾る元気な一曲です。
ハイテンポで疾走するイントロから、甲高く跳ねあがるサビの部分まで隙がなく、大サビでの高らかに歌い上げる場面もいい感じです。"This Is the Time"
ビリー・ジョエルらしいロマンティックなメロディです。70年代のムードを引き継いだ地味ながら名曲です。
普遍性を持った曲でシングル・カットもされ全米18位にランクされました。"A Matter of Trust"
大サビの部分はビリー・ジョエルらしいきれいなフレーズで頭に残ります。"Modern Woman"
いくぶんテンポを落としつつも、硬質なデジタル・シンセの響きも含めて「イノセント・マン」をイメージする路線かと思います。"Baby Grand"
レイ・チャールズとのデュオ、彼のジャジーなR&Bスタイルを下敷きに甘くファンキーなバラードです。
レイ・チャールズはこの時点でギリギリ現役感があり、今聴いても新鮮です。"Big Man on Mulberry Street"
マイケル・ブレッカーを筆頭に豪華なホーン隊をかぶせた、ビッグバンド・ジャズ風味のアレンジです。"Temptation"
"Code of Silence"
シンディ・ローパーに作詞サポートを受けた曲は、イントロからローパーの存在感が漂って面白い。
これも硬質ですがグルーヴ感が悪くないです。
スキャットできっちり自己主張するローパーの強いキャラクターぶりも見事ですね。"Getting Closer"
ウィンウッドのオルガンをたっぷりフィーチャーして、白人英国ソウルに仕立ててます。
以上が今回のアルバム評となります。ロック入門の一助になればと思います。ご参考になればうれしいです。